2024年04月26日( 金 )

本格化する福岡市の都市開発(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

現在、福岡市では、天神や博多駅周辺エリアなどの中心部のほか、広大な九大キャンパス跡地での再開発事業など、さまざまな都市開発計画が進行している。人口増加が進む福岡市は、今後も都市としてのさらなる成長が見込まれており、都市開発もますます本格化していくことだろう。今回、主に「天神エリア」「博多駅周辺エリア」「六本松&箱崎エリア」の3つのエリアについて、都市開発の現況をまとめた。

天神エリア、進む「天神ビッグバン」

パーキングやカフェとして利用されている天神セントラルプレイス跡地
パーキングやカフェとして利用されている
天神セントラルプレイス跡地

 福岡市は今年2月、新たな空間と雇用を創出する、国家戦略特区をトリガーにしたプロジェクト「天神ビッグバン」を始動すると発表した。同プロジェクトは、福岡市の天神地区において、アベノミクス第3の矢「グローバル創業・雇用創出特区」による「航空法の高さ制限の特例承認」を獲得したことに加え、福岡市の独自施策として「容積率の緩和」を実施し、都市機能の大幅な向上と増床を図っていくというもの。さらに、雇用創出に対する立地交付金制度の活用や創業支援、本社機能誘致など、ハード・ソフト両面からの施策を組み合わせることで、アジアの拠点都市としての役割、機能を高め、新たな空間と雇用を創出するプロジェクトとなっている。この取り組みにより、今後10年間で30棟の民間ビルの建替えを誘導し、延床面積を1.7倍に拡大するとともに、雇用を2.4倍に拡大。それにともない、約2,900億円の建設投資効果と、建て替え完了後からは新たに毎年約8,500億円の経済波及効果を見込むとしている。対象となる範囲は、天神交差点から半径約500mの、約80haのエリア。

 規制緩和による建て替え第1弾として、「天神セントラルプレイス」の建て替えによる「天神ビジネスセンター(仮称)」の開発が進められている。すでにビルの解体工事は完了しており、隣り合う2棟のビルとともに大規模オフィスビルへ建て替えられる計画となっている。「天神ビジネスセンター(仮称)」は2019年頃の開業が予定されており、先行して解体された天神セントラルプレイス跡地は、残り2棟の解体が完了するまで、コインパーキングのほか、フローズンヨーグルト専門店「pinkberry(ピンクベリー)」と「天神明治通りカフェ」として活用されている。

 11月には、天神ビッグバンの一環として、天神地区の東の玄関口である「水上公園」の再整備工事も着工した。新たに生まれ変わる同公園では、レストランなどを併設した休養施設やイベントスペースなどが設けられ、来年7月の開業を予定している。

 なお、天神ビッグバンの対象範囲には含まれていないが、周辺地区でも大規模な開発計画が進められている。まず、赤坂1丁目では、九州旅客鉄道(株)(JR九州)が地上25階、172戸のマンション開発「(仮称)MJR赤坂タワーマンションプロジェクト」を進めている。場所は、赤坂交差点のすぐ横で、福岡市営地下鉄の赤坂駅の出入り口の隣。すでに工事は着工しており、竣工は2017年10月を予定している。

 中央区大名2丁目の「JT福岡ビル」は大和ハウス(株)が購入。220戸の分譲マンション「(仮称)JT福岡ビル跡地計画」が進行中である。現在は足場が組まれ解体工事が始まったところと見られ、着工は来年16年9月頃とされている。

(仮称)MJR赤坂タワーマンションプロジェクト
(仮称)MJR赤坂タワーマンションプロジェクト

足場が組まれ、解体工事が始まった「JT福岡ビル」
足場が組まれ、解体工事が始まった「JT福岡ビル」

 ほかに、中央区長浜2丁目の「浜の町病院駐車場跡地」では、地場デベロッパーの(株)コーセーアールイー・(株)ランディックアソシエイツ共同企業体による「レジア赤坂テラス」の開発が進んでいるほか、中央区舞鶴3丁目の「浜の町病院別館・すみれ寮跡地」でも開発が進行。さらに近隣では、福岡法務局の移転・新築工事もすでに始まっており、その跡地利用にも注目が集まっている。

 このように天神エリアでは、天神ビッグバンを起点とした開発が進むとともに、その周辺エリアでもマンションなどの大規模な開発計画が進行している。来年以降も、順次新たな動きがあるだろう。

(つづく)
【坂田 憲治】

 

関連記事