大英産業、25年9月期決算は増収増益 28年目標は売上高436億円、営業利益22億円

 13日、大英産業(株)(北九州市八幡西区、一ノ瀬謙二代表)は2025年9月期の連結決算を発表した。それによると、売上高は390億9,300万円(前期比5.4%増)、営業利益は13億500万円(同44.9%増)、経常利益は9億100万円(同39.2%増)、当期純利益は6億3,900万円(同54.8%増)で、大幅な増収増益となった。 

 決算要因としては、まず分譲マンションを中心とするマンション事業が大きく伸長した。福岡市、北九州市、熊本市など交通利便性の高い地域での大型物件引渡しが集中し、とくにJR小倉駅徒歩4分の大型物件「ザ・サンパーク小倉駅タワーレジデンス」が業績を牽引した。マンション事業の売上高は204億2,000万円(前年同期比27.0%増)、セグメント利益は16億7,100万円(同11.5%増)となった。

 一方、住宅事業は実需層向けの分譲住宅・中古住宅の販売戸数が減少した影響で、売上高は185億6,100万円(同11.3%減)と縮小した。しかし、法人や富裕層の需要が強い投資用戸建賃貸住宅や大型事業用地の販売が堅調で、高採算案件が増えたことにより、セグメント利益は7億5,300万円(同89.0%増)と大幅に改善した。

 その他事業(水道供給や不動産賃貸)は、売上高1億1,000万円(同40.6%増)、セグメント利益2,500万円(同205.3%増)と小規模ながら伸びた。

 全社的には、原価上昇の影響を受けつつも、高採算のマンション・まちづくり物件の比率上昇で売上総利益率が改善した。また、DX推進による業務効率化や販売件数減少にともなう販売手数料の減少により販管費率も低下した。この結果、営業利益が大幅に押し上げられ、さらに固定資産売却益の計上も純利益増に寄与した。

 来期(26年9月期)の業績予想については、売上高は376億4,100万円(前期比3.7%減)、営業利益は12億7,900万円(同2.0%減)、経常利益は7億5,400万円(同16.3%減)、当期純利益は4億6,600万円(同27.1%減)で、減収減益を見込んでいる。大型マンションの竣工案件が一巡し、市場全体として戸建需要も縮小する見通しだとしている。 

28年9月期業績目標を公表 高採算分野へ事業をシフト

 合わせて同社は28年9月期を最終年度とする中期業績目標を公表した。それによると、28年9月期は売上高436億円、営業利益22億円、経常利益14億円、自己資本比率20.3%を見込んでおり、25年9月期実績(売上高390億円、営業利益13億円、経常利益9億円)からの大幅な増収増益を掲げている。 

 まず既存事業モデルを全面的に見直し、高採算分野への事業シフトを進める。具体的には、法人・富裕層向けの収益不動産や大型事業用地の開発を強化することで事業ポートフォリオを再構築し、需要変動の影響を受けやすい実需向け分譲住宅に過度に依存しない構造を整える。さらに、マンション事業では都市部・駅近の高付加価値物件への集中投資を進め、在庫回転の平準化と利益率の向上を狙う。

 一方、住宅事業においては戸建市場の縮小を前提としつつ、投資用戸建賃貸住宅の供給を継続拡大。DX推進による生産性向上を全社的に強化し、業務効率の大幅改善を進める方針だ。デジタル化により営業・契約・施工管理などのプロセス最適化を図ることで、固定費の上昇を抑えつつ利益水準の底上げを目指す。

 マンション大型案件が一巡し、戸建市場も縮小するなかで、同社は成長市場を見据えた再編と収益力改善を軸に、28年9月期に向けた中長期計画の実現を図る方針だ。

【寺村朋輝】

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