2024年03月29日( 金 )

大名小跡地、風営法の規制外れてビッグバン?(前)

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 福岡市の中心部、天神地区に隣接する旧大名小学校跡地のまちづくり構想(原案)へのパブリックコメント(市民意見)の募集が、12月22日始まった(募集期間は2016年1月21日まで)。ところが、まちづくり構想(原案)は住民の要望とはズレがあり、「検討委員会はただのガス抜きだったのか」と批判が起きている。地元住民の最大の懸念は、風営法の“縛り”が外れて生活環境が悪化することだ。

地元「風営法の規制がかかる施設を」

旧大名小学校<

旧大名小学校

 大名自治協議会長の井上鴻一氏は、こう語った。「風営法の規制がかかるような施設を立地してほしいと(検討委員会で)ずっと言ってきた。住んでいる人が住みよいまちをつくりたい。風営法が外れて、大名小学校前のえのき通りが、かつての親不孝通りのようになっては困る。地域住民は本当に心配している」。
 住民は、避難場所としての防災上の機能、地域交流の場、校舎の一部保存とともに風営法の保護対象となる施設を強く求めてきた。大名地区は、商業化が進むものの、天神地区と異なり、都心部にありながら居住者が生活するからだ。
 井上会長は、「初めから計画が決まっていて、私たちはガス抜き、地元代表をダシに使っているだけのような気がする」と、顔を曇らせる。

 大名小学校は、舞鶴小学校、簀子小学校と合併して、2014年春、140年の歴史を閉じた。現在は、私立小学校が新校舎完成までの間、校舎として利用されている。また運動場は、舞鶴小中学校の第2運動場になっている。1889年市政施行の福岡市よりも歴史が古く、校舎は1929年竣工の鉄筋コンクリート造、アール・デコ様式の残る建物で、文化的価値も高い。

連鎖型まちづくり~天神ビッグバンの移転先?

 旧大名小学校は、東は天神地区の西通り、西は赤坂を経て舞鶴公園や大濠公園。成長する福岡市の中心部で、約1.2ヘクタールの敷地面積を持つ貴重な空間で、都心部でまとまった開発用地となる「最後の楽園」かもしれない。天神ビッグバンと並ぶ開発の目玉で、まちづくりにはさまざまな思惑が錯綜する。

 まちづくり構想(原案)は、まちづくりの方向性として備える要素に、歴史文化性、創造性、居住性、防災性、一体性、回遊性の6つをかかげ、備えるべき機能として、「拠点性を高める機能」「天神・大名地区の特性を引き出し強化する機能」「シンボルとなり交流の中心となる空間」の3つの機能をうたっている。

 「一体性」については、「更新期を迎えた天神地区・大名地区において、まとまりを持った貴重な空間として、跡地の土地利用転換のタイミングを捉えた計画的なまちづくり」と明記。委員長が「周辺施設の建て替えなどとも協調して連鎖型でまちをつくっていく方法を含めた周辺地域の更新との連携という意味もある」と述べているように、天神ビッグバンなどの建て替えの移転先が視野に入っている。今後の検討課題でも「跡地は、更新期を迎える天神・大名地区において貴重な空間であり、連鎖型まちづくりの視点も重要である」と盛り込まれている。
 天神ビッグバン前から、大名小学校跡地が天神地区のビル建て替えに伴う移転先という開発案があるという未確認情報が地元に流れていた。まちづくり構想(原案)では、連鎖型まちづくりという表現で明記された。
 連鎖型まちづくりとは、企業活動を持続させながら建て替えを進める場合、仮移転を伴う現地建て替えが困難なので、種地を取得して開発し最初に直接移転し、順次、解体・竣工、直接移転を繰り返し、地区全体の建物を更新していく手法だ。

 大名小学校跡地は、2017年4月以降に、隣の青年センターが閉館して施設を解体すると、18年度以降に跡地活用への着手が可能になる。

(つづく)
【山本 弘之】

 
(中)

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