政治経済学者 植草一秀
高市首相の辞任が秒読み態勢に入った。高市疑惑三兄弟。
誹謗中傷動画
サナエトークン
経歴詐称
三つの疑惑の追及を受けているが高市氏は正面から受け答えできない。ウソで逃げようとする。しかし、ウソが判明して窮地に追い込まれている。しらを切って逃げ延びようとするが立場は首相。しらを切って逃げ延びた総務相時代と違う。
ここに決定打が撃ち込まれた。タオル贈与疑惑だ。2,000円で販売されていた「サナエ」の名が明記されたタオル。これが高市首相の選挙区の有権者に無償で提供されていた疑惑が浮上した。これが事実なら公選法第199条の2違反。首相辞任は免れない。議員辞職・公民権停止になることも考えられる。
絶体絶命。週刊ポストが報じた。週刊文春、週刊現代、週刊ポストが足並みを揃えて高市首相を追い詰める。背後には消費税問題がある。高市首相が推進する消費税減税を絶対阻止しようとしているのが財務省。この財務省が総力を結集して高市首相を揺さぶっている可能性がある。
財務省と高市首相。ハブとマングース。童磨(どうま)と鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)。どちらも殲滅すべき対象だが、ここは順序を考える必要がある。まずは、高市首相の退場を優先するべきだ。高市首相が日本を破壊するからだ。
高市事務所は選挙区の有権者に無償で物品を贈与していないと主張するが、これは公選法199条の2を意識した主張。認めれば直ちに公選法違反が確定する。過去には国会議員がこれで墓穴を掘っている。しかし、多くの証言が存在する。法と証拠に基づいて刑事責任を問う必要がある。
「サナエ文字入りのタオル」は「サナエビジネス」の一環。高市氏サイドで「サナエ」を用いた「商業活動」が行われてきた。「サナエトークン」もその一環と考えられる。
昨年12月17日のオンライン会議に高市氏公設第一秘書の木下剛志氏が参加していた。会議はサナエトークン発行側のneuとノーボーダー側が開いたもので、ここに高市首相サイドから4名が出席したとされる。
この会議で「インセンティブ付与」が話し合われた。「チームサナエ」の活動に貢献した者に経済的利益を付与する「インセンティブ」が話し合われた。そのなかで、インセンティブを市場で売却して利益を得ることが話し合われたと見られる。会議では「サナエトークン」の固有名詞は用いられていないと見られるが、このとき話し合われた「インセンティブ付与」の具体形がのちの「サナエトークン」である。
高市氏の後援会公式サイトでノーボーダー側の提案による「サナエトークン」の固有名詞の入った投稿がリポストされている。しかし、「サナエトークン」は無認可の販売、仲介をしていたとみられる。資金決済法違反事案だ。金融庁が刑事告発する必要がある。高市案件だから見逃すなら、日本はもはや法治国家とは言えない。国会は高市氏の疑惑を解明するための徹底審議を行う責務を負っている。
高市首相は総務相時代に放送法の解釈を変更して、テレビ番組一つでも放送法第4条の政治的公平違反を問うことができるようにする「工作」に加担したと見られる。結局、「工作」は失敗に終わったが、総務省が内部文書として事実関係を取りまとめていた。
この文書について立憲民主党の小西洋之参議院議員が追及した。高市総務相は文書について「ねつ造文書」だとした。小西議員は「ねつ造でなければ議員辞職するか」と質問。高市総務相は「結構です」と答弁した。その後、当該文書が総務省内部文書であることが判明した。しかし、高市氏は議員辞職しなかった。国会が会期末を迎えて逃げたままになっている。この「成功体験」から、ウソをついても逃げ回れれば逃げ切れるという考えを高市氏は有しているのだと見られる。
誹謗中傷動画とサナエトークンの中心人物である松井健氏との関わりについて高市首相は
「まったく接点がない」
「全然、私たち(高市首相と木下秘書)が知らない人」
と繰り返し国会で断言した。
ところが事実は違った。木下氏はオンライン会議で松井氏と同席し、頻繁に電話でも連絡を取り合う関係であったと見られる。高市首相は大ウソをつき続けてきた。このことについて野党が追及するのは当然のこと。国会での審議が大ウソの上に成り立つわけがない。党首討論なり、予算委員会の集中審議で高市氏が誠実に説明するのが先決である。
与党がこれに応じないから、野党が、与党が強行する審議を拒絶している。「先に審議拒否しているのは与党」との指摘は正しい。
高市氏は国会での答弁に代えて「陳述書」を提出するとしているが、議論が進まないのは大ウソをつく高市氏が答弁するからだ。木下秘書と松井健氏を国会に招致して直接説明を聞けば問題が解決する。自分の「虚偽答弁」で国会が機能マヒに陥っているのだから、機能を回復させるために参考人招致などに協力するのは当然のこと。時間が足りないなら会期を延長すればよい。だが、疑惑三兄弟よりも重大な問題が新たに浮上したから、まずは、この問題に関しての集中審議が必要になる。
高市事務所が選挙区の有権者に利益供与をしていたなら完全な公選法違反。選挙区の有権者に対する寄附の禁止は選挙期間中に限らない。いつでも公選法違反になる。定価2,000円のタオルを無償で提供していれば「寄附行為」に該当する。高市氏の議員辞職に発展する可能性が高い。高市疑惑の決定打が表面化したとの見立てが可能だ。
経歴詐称で問題になるのは「米国議会立法調査官」の経歴を公的書類に掲載してきたこと。“fellow”の表現は極めて幅が広い。正規の機関での“fellow”は極めて格の高い職位を示すものだが、私的に用いられる“fellow”は千差万別で、インターンに対しても“fellow”の名称が用いられることはいくらでもある。議員がインターン制度を“fellowship”と命名することはいくらでもあり得るからだ。この場合、英語名称が“fellow”であっても、日本語に訳す場合には「見習い」や「研修生」、「奨学生」などとするのが妥当である。「米国議会立法調査官」は米国議会に勤務する公務員の官職を示す表現であり、高市氏がこの名称を経歴に用いたのは「詐称」と見るのが適正と考えられる。
「サナエトークン」については金融庁に対して刑事告発の責務を果たすよう要求することが必要不可欠。「サナエトークン」が刑事事件として立件されれば公判で真実が明らかにされる。まずは、高市氏の公選法違反疑惑の解明が先決である。
<プロフィール>
植草一秀(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。経済金融情勢分析情報誌刊行の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門第1位。2002年度第23回石橋湛山賞(『現代日本経済政策論』岩波書店)受賞。著書多数。
HP:https://uekusa-tri.co.jp
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