2024年04月30日( 火 )

株価暴落、一因は安倍政権の超緊縮財政政策

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 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。本日は、日経平均株価が暴落を続けていることを受け、日本の国家財政の推移を分析してきた植草氏だからこそ気付いた、「日本経済悪化の最大の理由」について言及した1月20日のブログを紹介する。


 2016年が始まり20日が経過した。日経平均株価は暴落を続けている。日経平均株価は昨年12月1日に2万円の大台を回復した。チャイナショックから一時的には立ち直りを示した。ところが、これを転換点に再び下落に転換。1月20日には16,416円にまで下落した。12月1日の終値20,012円から3,596円、18.0%の急落である。
 株価下落の基本背景は中国株式市場の調整であり、これ以外に、中東におけるサウジアラビアとイランの関係悪化などの地政学リスクの高まりも生じた。
 しかし、原因はそれだけではない。
 安倍政権の経済政策が日本経済の先行きに対する見通しを大幅に悪化させていることを見落とせない。
 このまま、安倍政権が政策路線を修正さずに進むなら、日本経済は再転落。株価は泥沼に舞い戻ることになるだろう。株価の下落は政権支持率を直撃する。安倍政権に対する批判は急拡大して、夏の参院選で安倍政権与党は大敗することになるだろう。

 政治刷新を求める人々にとって、安倍政権与党勢力が衰退することは望ましいことであるが、経済政策の失敗で国民生活が奈落に突き落とされることは望ましいことではない。

 バブルの崩壊が始まって、丸26年の時間が流れた。「失われた10年」は「失われた20年」になり、「失われた20年」はいま、「失われた30年」になろうとしている。日本経済が長期低迷を持続してきた最大の理由は、経済政策の失敗にある。一言で言えば、経済が浮上しかける局面で必ず実施されてきた「政策逆噴射」が日本経済の浮上を破壊し、経済長期低迷をもたらしてきたのである。

 この「政策逆噴射」を主導してきたのは財務省である。財務省の病理=宿痾(しゅくあ)は、近視眼的な財政再建原理主義にある。経済が浮上し始めると、決まって超緊縮のブレーキを踏み込む。その結果、回復初期の日本経済が再転落する。
 経済の再転落は税収の自然減をもたらし、景気低迷と財政赤字存続という、最悪の状況が存続してしまう。財務省の病理が日本経済の長期低迷の元凶であることを、日本の主権者ははっきりと確認しておく必要がある。

 問題は日本経済の先行きである。2012年11月から2015年6月までの、日本株価上昇の時期においても、日本経済は浮上していない。
上昇したのは株価だけだった。経済が浮上していないのに、株価が上昇したのは、生産の果実の分配に大きな偏りがあるためだ。

 大企業の利益だけが拡大し、大多数の労働者の賃金が減少したのである。それでも、株価が上昇していたから、ごまかしが利いた。安倍政権と癒着する大企業が民間メディアの情報を誘導して、アベノミクスが成功しているかのような情報操作を展開したからだ。しかし、頼みの綱の株価が下落に転じると、救いようがなくなる。日本経済が丸ごと転落することになる。
 日本経済が悪化の方向に転じている最大の理由は、安倍政権の経済政策が超緊縮の方向に確実に進み始めたからだ。
 この事実は「知られざる真実」である。安倍政権も気付いていないだろう。財務省も気付いていない。精密に財政計数を精査しなければ分からない「真実」なのである。
 この「政策逆噴射」が日本経済を転落させる。危機を回避するには、安倍政権が政策転換する必要がある。しかし、安倍政権は、現実を精査していない。自分が何をしているのか知らないのだ。知らないまま、無邪気に消費税再増税に突き進むなら、日本経済は間違いなくとどめを刺されることになる。
そのリスクが確実に高まりつつある。

※続きは「植草一秀の『知られざる真実』」第1345号「安倍政権の超縮財政政策が株価暴落一因」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

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