2024年03月29日( 金 )

甘利にも不誠実な安倍政権金権政治への対応

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 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、著書「日本経済復活の条件-金融大動乱時代を勝ち抜く極意-」について、ジャーナリスト・高橋清隆氏の書評を掲載した2月26日付の記事を紹介する。


 拙著『日本経済復活の条件-金融大動乱時代を勝ち抜く極意-』について、ジャーナリストの高橋清隆氏が同氏のブログに書評を掲載下さった。

 その内容を転載させていただく。

 「NO.1エコノミストの植草氏がつづる2016年版の投資指南書である。毎年恒例化したシリーズだが、投資戦略としての『秘伝5カ条の極意』のほか、最新の内外政治社会動向にも鋭い考察が加えられている」
「金融市場の動向を予測する上で政治社会情勢に目を配るのは、経済が政治と切り離せないからである。同書は中国経済の低迷やギリシャ危機にとどまらず、ウクライナ問題や中東とISの動き、米国の金利引き上げの真相にも迫る。従米ポチ保守言論誌を中心に中国経済崩壊を喜んでいる向きがあるが、警戒が必要だ。中国株価バブル崩壊に伴う不良債権問題は、限定的な規模にとどまる可能性が高いからである。
 しかも、崩壊の影響を最も強く受けるのが日本経済であると指摘する。わが国のアベノミクスについては、資本を富ませ、民を滅ぼす政策であると両断する。『財政危機』が財務省のデマであることを政府保有資産額で示し、消費税再増税を決行すれば、日本発の金融危機が再来する可能性を警告する。とりわけ興味深いのは、円安=株高の関係が恒常的なものでないとの指摘である。実例として1996年の橋本政権下での増税方針決定後の動向や、2000年の森政権発足後の動向を挙げる。目からウロコの反証である」

 「こうした事実経過を踏まえた上で、米国の金融引き締めを前提に置くと(昨年12月利上げ済)、日本株価が上昇を続けるとは限らなくなると指摘する。消費税引き上げの取り扱いを含め、安倍政権がどのような財政運営を展開するかが鍵を握るのである。
 安倍政権は『新三本の矢』を掲げた。名目GDPの増大、出生率の引き上げ、介護離職削減の目標を示し、『1億総活躍』を提示したが、その真意は『1億総動員』だと指弾する。国家のために個人を総動員する政策だからである。
 しかも、GDPを統計作成方法の変更でかさ上げし、介護に対する国の支出は増やさない。過酷な介護労働に対する処遇の引き上げも示されていない。GDPの安定成長実現には、中低所得者層の所得増大こそが効果的なのに。

 こうした政策が続けられる限り、投資戦略上日本企業は目先の拡大という短期では買えるが、中長期では買えないということになると、植草氏は突き放す。その上で、『戦争と弱肉強食』から『平和と共生』への政治の転換を主張している。投資先選びから手に取った人にも、永続的な豊かさを享受できる環境とは何かを考えさせる1冊である」

 記して感謝の意を表したい。16年の年明け以降、海の色が変わった感が強い。日経平均株価は昨年12月1日の2万12円から本年1月21日の1万6,019円へと1カ月半で3,993円、20.0%の急落を演じた。政治の舞台では、安倍晋三内閣の中核を担う甘利明氏にメガトン級のスキャンダルが浮上した。安倍晋三氏は甘利氏を続投させる意向を表明しているが、順序が逆である。甘利氏に関するスキャンダルの真相を明らかにするのが先決で、続投も更迭も、その結果次第であるべきだからだ。

 これだけの不祥事が表面化して、「まずは真相を明らかにする」と表明せず、「続投させる」の姿勢を示すところに、政権の驕りがある。「口利きを依頼され、現金を受領し、実際に口利きを実行した」との疑惑が真実であると判明すれば、甘利氏の辞任は避けられない。刑事責任も追及されることになろう。それだけの重大性をはらむ事案である。

 国会における政府演説や代表質問などが強行されているが、これも順序が逆である。これらの日程を消化する前に、甘利氏が十分な説明責任を果たすべきことは当然であるからだ。この甘利氏は、2月4日にニュージーランドで予定されているTPP最終合意に参加する意向を示している。刑事責任が問われるかも知れぬ状況で、とてもTPP最終合意どころではないはずだ。安倍政権がさらなる暴走を繰り広げるなら、主権者はこの政権に鉄槌を下すべきである。

※続きは1月26日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1350号「甘利にもお粗末なTPPによる売国日本」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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