アビスパ福岡、PK戦を制し天皇杯3回戦進出

期待の新戦力MFロメウが初先発

雷雨の影響でキックオフ時間がおよそ1時間遅延
雷雨の影響でキックオフ時間がおよそ1時間遅延

 8月26日、ベスト電器スタジアムで行われた天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会2回戦で、アビスパ福岡(J1)が大分県代表のヴェルスパ大分(JFL)をPK戦の末に破り、3回戦進出を決めた。

 夕方から福岡市内を襲った猛烈な雷雨の影響で、午後7時に予定されていた試合開始は1時間以上遅れ、午後8時5分に変更。ピッチには激しい雨が降り注ぎ、雷鳴が響くなか、選手、サポーターともに長い待機を余儀なくされた。

 今回の天皇杯は、リーグ戦の過密日程のなかで組み込まれた一戦でもあった。前節の鹿島戦から中3日、さらにこの試合から中2日で京都戦を控える。そのため前節の鹿島戦でベンチ入りしたメンバーを中心に先発を構成。リーグ戦とは大きく顔ぶれを変え、これまで出場機会の限られていた選手にとっては絶好のアピールの場となった。

 この試合で注目を集めたのが、新加入のMFオリオール・ロメウだ。スペインの名門バルセロナなどでプレーした経験をもつロメウが加入後初めて先発に名を連ねた。中盤に入ったロメウは、相手のプレッシャーを受けても慌てることなく、確かな技術でボールをキープ。周囲を見ながらシンプルにボールを動かし、派手なプレーこそ多くなかったものの、簡単にはボールを失わない技術の高さや落ち着いた判断には、随所に経験値の高さがにじんだ。

 合流して間もないこともあり、周囲との連携や戦術の落とし込みにはまだ課題が見られたが、チームメートの特徴をつかみ連携が深まっていけば、攻守のつなぎ役として福岡のサッカーに大きなプラスをもたらしてくれそうだ。

試合は120分で決着つかずPK戦へ

 試合は立ち上がりから福岡がボールを保持し、主導権を握った。ディフェンスラインから丁寧にボールを動かし、左右のサイドへ展開。相手陣内に押し込みながらゴールをうかがった。

 しかし、最後の局面で精度を欠いた。サイドからクロスを送り、中央へボールを放り込むがシュートはなかなか枠を捉えられない。ボールを保持する時間は長くても、相手守備陣を崩し切れない時間が続いた。

 逆に、攻撃に人数をかけたところでボールを失い、大分の素早いカウンターを受ける場面も。カテゴリーでは上回る福岡だったが、一発勝負のトーナメントらしい緊張感のなか、思うように試合を動かすことができなかった。

 0―0で折り返した後半、徐々に交代カードを切りながら攻撃の圧力を強める福岡。前線にリーグでも存在感を見せているFWポポらを投入し、フレッシュな選手を中心に相手ゴールへ迫った。それでも大分の集中した守備を最後までこじ開けることができない。一方の大分もカウンターから福岡ゴールを脅かす決定機をつくりながらも得点には至らず、90分を終えてスコアは0―0。勝負は前後半15分ずつの延長戦へともつれ込んだ。

 延長に入っても福岡がボールを握る構図は変わらない。しかし、最後の一押しが足りず、大分も粘り強く対応。結局、120分を戦っても両チームに得点は生まれず、3回戦への切符はPK戦に委ねられた。

 ここで福岡を救ったのがGK小畑裕馬だった。小畑は大分の2人目のキックを阻止。1点リードで迎えた4人目、福岡の選手のキックは大きく枠を外れ失敗。同点のまま6人目を迎え、小畑が大分のキックに鋭く反応してセーブ。興奮冷めやらぬ中、福岡の6人目が落ち着いて決め、福岡が5―4でPK戦を制した。福岡はカテゴリー違いの相手に苦しみながらも3回戦進出を決めた。

 雷雨による開始延期、120分間の激闘、そしてPK戦を経て、試合が終了したのは午後11時になろうかという時間だった。選手にとっても、最後までスタンドで声援を送り続けたサポーターにとっても、疲労困憊の一夜となった。

天皇杯3回戦は横浜FCと対戦

 試合翌日、塚原真也監督は報道陣の取材に対して「カテゴリーの異なる相手との初めての対戦で(慎重にプレーする意識が強く)ミスを恐れるマインドが強くなり、単調な試合運びになってしまった」と振り返った。

 初対戦という難しさに加え、「負ければ終わり」というトーナメント特有の緊張感がプレーに影響したのかもしれない。

 そのなかでも塚原監督は「勝ち切ることがすべてという試合で勝つことができた」と結果を評価。一方で「もう少し短い試合時間で勝ち切ることが理想だった」と課題も口にした。

 天皇杯から中2日で京都戦を控えるだけに、PK戦におよんだ消耗は決して小さくない。それでも、普段出場機会の少ない選手が実戦経験を積み、ロメウが初先発をはたし、出場から遠ざかっていた小畑が安定した存在感を示したことは、天皇杯3回戦(10月7日に横浜FCと対戦)と始まったばかりのリーグ戦に向けた収穫でもある。

【川添道子】

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