2024年04月20日( 土 )

1日で約1.9億円!西南学院の豪華すぎる100周年記念行事(6)

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ずさんな妥当性判断?

kaigi2 「学院の同窓生のみんなの手作り」というプロセスで企画された西南学院創立100周年の記念行事(以下、『記念行事』)が、約1.9億円という予算の部分は「みんなの手作り」プロセスから外れて決められていた。

 同学院100周年事業推進室の説明もふまえて整理すると、実際のプロセスは、まず、「創立100周年記念式典準備部会」(以下、準備部会)で『記念行事』の内容、予算を協議。その上位にある「西南学院・同窓会連合会協議会実行委員会」(以下、実行委員会)と、さらにその上の「西南学院・同窓会連合会協議会」では、準備部会から上がってきた『記念行事』の内容は審議されたが、予算については学院の常任理事会の承認後の事後報告であった。

 それぞれの構成は、準備部会が、学院側から総務課副課長、校友課課員、100周年事業推進室長、100周年事業推進室員の4名、大学、高校、中学の各同窓会から2名ずつが委員として参加。実行委員会は、学院側から事務局長、大学事務長・財務部長、広報課長、100周年事業推進室長、総務部長・校友課長の5名、大学同窓会副会長、大学女子同窓会会長、大学同窓会専務理事、高等学校同窓会副会長、高等学校同窓会専務理事、高等学校同窓会100周年担当、中学校同窓会専務理事、中学校同窓会副会長、同窓会事務局長の9名が委員として参加。そして協議会は、学院長や各同窓会長などで構成される。顔ぶれからも、協議会が最高決定機関で、実行委員会、そして準備部会と続くことがわかる。

 まず、実行委員会の委員からは、「費用があまりにも膨大ではないか」として、その内訳と意思決定方法に関する質問があった。これに対し、記録からは、準備部会のなかで議論が尽くされたこと、いち早く予算枠を確保する必要があったことといった説明がなされたと読み取れる。意思決定プロセスから、協議会と実行委員会を外したことについては、「急ぎ」というだけで、しっかりとした説明はなされていない。

事後報告で実行委員会に出された予算の資料a(赤下線はNetIB編集部) 事後報告で実行委員会に出された予算の資料
(赤下線はNetIB編集部)

 次に、「費用があまりにも膨大」という声には、「70周年でかかった費用をふまえて、多分物価は倍くらいになっているだろうと想定して計算して、このくらいの金額が妥当かなと判断した」という意見が記録されている。疑問を感じた実行委員会の委員の1人は、「この30年間の物価上昇率を調べ、実際は、『倍くらい』ではなく、18%しか上昇していないことを突き止め、後の実行委員会で70周年の費用をもとに18%の上昇率で試算した金額から7,500万円も過大であることを指摘したが、『もう決まったことだから』と学院側から跳ね返された」と語る。

 実行委員会の記録からは、準備部会で議論が尽くされたという一方で、どんぶり勘定で妥当とされていたようにうかがえる『記念行事』の約1.9億円の予算。記事に添付した資料の通り、一体、何にいくらかかっているのか皆目見当がつかない内容であり、内訳を求める声に対して、結局、詳細は明らかにされることはなかったという。これでは「決まったことだから、細かいことには目をつむれ」と言われているようなものだ。学院の負担で行われるとのことだが、第19回の実行委員会では、以下のようなやり取りも含まれている。

 ・お金の原資は何か。授業料ではないか。
 ・授業料も入っている。

 企画段階から関わっているならなおさら、後輩たちの授業料が原資に含まれる学院の金が、今回の『記念行事』にいくらつかわれるのかということに、学院任せで無関心というわけにはいかないはず。実際に、実行委員会で疑問をぶつけた“先輩”もいた。

 さて、約1.9億円の予算について、“議論が尽くされた”とされている準備部会だが、実態はどうだったのか。疑念を抱いた実行委員は、準備部会委員に確認した。その返答には、「100周年準備部会では簡単報告のみが行われ、上位委員会で議論されたものだと思っております」「記念式典、記念祝賀会は学院経営内での事業であり、学院が費用を負担するものです。そこにクチを出すことはスジ的におかしいと思い、特にコメントは出しませんでした」などの内容が含まれていた。

(つづく)
【山下 康太】

 
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