2024年04月20日( 土 )

【提言】礒山誠二福岡商工会議所会頭、今こそ胆力を如何なく発揮してください(無知な記者)

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 西日本新聞5月11日朝刊の記事を引用する。『礒山副社長が退任、九州リース会長に』と題するものだ。

 西日本フィナンシャルホールディングス(FH)(福岡市)は10日、礒山誠二副社長(66)が退任する人事を発表した。傘下の西日本シティ銀行の副頭取も同時に退任する。6月28日の定時株主総会後の取締役会で正式決定する。礒山氏は同日付で九州リースサービス(福岡市)の会長に就任する予定。
 礒山氏は2013年6月に西シ銀副頭取に就任。16年10月の西日本FH発足時に副社長に就任した。退任に伴い、福岡商工会議所の会頭も退く見通し。

 (無知な記者)という見出しを書いたが、西日本フィナンシャルホールディングスと福岡商工会議所は別組織ということをまったく理解していない。礒山氏がFH副社長を辞任したからと言って商工会議所会頭を辞める筋合はまったくない。2017年11月から2020年10月までの礒山氏の会頭就任案件は商工会議所組織討議を踏まえて議員総会を経て正式に決定されていることだからである。副社長を辞めるイコール会頭を辞めるというのははありえない(本人が辞意を表明すれば話は別だが―――)。

礒山 誠二 氏

 産経新聞に始まり、西日本新聞までが『礒山会頭辞任へ』という報道をした。西日本新聞に至っては朝刊の1面に持ってきたのだ。辞任の根拠は「西日本シティ銀行副頭取が次期株主総会で退任するから商工会議所会頭を辞める」というものだ。何らかの根拠があっての記事なのだろうが同紙にあえて問いたい。「副頭取を辞めたことがはたして会頭辞任に直結するのですか」である。

 福岡商工会議所は2018年の新年度に入って活動をはじめ、礒山頭取の2期目がスタートしたばかりだ。「えー、どうして?礒山会頭が辞めるの?」と各議員たちが疑問を持つことは至極、当然なことだ。「礒山会頭選出は我々で決めた」という自負を議員たち全員が持っている。一歩譲って2017年8、9月の新人事が検討される時期に『礒山会頭、2期目に立たない』という情報が流れたならば一考の余地はあっただろう。全議員の皆様!!「なんでこんな馬鹿な情報=礒山会頭辞任説が流れるのか!!ふざけるな」と大声をあげましょう。

誰もが礒山会頭辞任すると勘違いする

 「『礒山会頭辞任へ』という記事のネタ元は何処か?」となる。西日本新聞も記事を1面に掲載するにはしっかりとした裏取りが必要。人事の話だけに慎重さが求められたはずだ。だが、先程から指摘しているように人事の時期を勘案する必要がある。商工会議所に関係ない何処かのお偉いさんが「礒山会頭が辞めますよ」と漏らしたのを「スクープを得た」と飛びつくのもいかがなものか!!

 かつて西日本シティ銀行の専務以上のポストに就いていたOBに聞いてみた。「軽率か企みがあってかはさておき、マスコミに対して人事を口にすることができるのは誰なのか?」。すると「人事を堂々と公表できる立場にある人は唯1人しかいない。考えればわかるでしょう」という返事だった。

 人事を語れる唯一の人間が、どうして新聞記者たちに軽々しく(魂胆をもってとも言えるが)人事を漏らしたのであろうか!!

前会頭逝去で緊急事態発生

 前会頭の末吉紀雄氏は非常に低姿勢で人あたりの良い人柄で、皆の意見を受け止めて方針を決める組織運営に徹していた。関係者全員に支持された結果、福岡商工会議所は非常に活動が活発となり、末吉会頭体制は順風満帆とみられていた。

 ところが2期目の出端から体調を崩して業務に専念できずに15年8月に会頭辞任の表明をした。2期目途中のことであり緊急事態だった。新会頭選びは混迷を極めた。これまで副会頭から会頭を選ぶことが慣例になっている。当時の副会頭は榎本重孝氏(福岡地所特別顧問)、前川道隆氏(西部ガス興商代表取締役社長)、安部泰宏氏(アキラ水産代表取締役社長)、西川ともゑ氏(博多石焼大阪屋会長)そして礒山誠二氏(西日本シティ銀行代表取締役副頭取)といったメンバーである。

 従来、商工会議所の歴代会頭は旧7社会から選ばれてきた(九州電力・福岡銀行・西日本銀行・福岡相互銀行・九電工・西日本鉄道・西部ガス。西日本銀行・福岡相互銀行は合併して西日本シティ銀行になりJR九州を補充)。最近、商工会議所人事に協力的なのは九電工、西日本シティ銀行、西部ガスで、ほかは非協力的であると言われている。

 関係者は礒山氏擁立に向けて奔走した。まず説得相手の一番手は西日本シティ銀行の久保田勇夫会長である。「緊急事態発生です。残り期間2年2ケ月、ぜひ礒山副会頭を会頭に昇格させてください」と頼み込んだそうだ。久保田会長は沈思黙考して「非常事態ならやむを得ない。礒山君の商工会議所会頭就任を了解した。応援しよう」と英断したそうだ(詳細は15年9月3日NetIB-News参照)。

 久保田会長の脳裏には「緊急事態であるから礒山君の会頭就任を認めよう」という思いがあったのだろう。ところが礒山会頭の2期目がトントンと決まり「当初とは話が違うな」となった。もともと、礒山会頭誕生を各メディアは「頭取、社長、会長という組織トップではない副頭取が商工会議所会頭に就任するとは異例」ととらえていた。久保田会長が商工会議所会頭に就任していれば今回の不可解な事態を招くことはなかったのだ。

礒山会頭の胆力が問われる

 さらに西日本銀行出身の専務以上を経験したOBたちに取材を続けた。「人事権のあるボスから、銀行から勇退するのだから会頭も引退しなさいと命令されたら、その命令に従いますか?」。すると彼らは異口同音に「誰であれ会頭職の辞意を表明するでしょう。やはり西日本シティ銀行の戸籍を失いたくない」

 礒山会頭!!上記の先輩たちの証言通り、難しい試練であることは間違いありません。しかし、商工会議所の人事は別物です。辞任を選択されたら議員たちからは「会頭決定の組織ルール通りの決定を銀行の鶴の一声で転覆されるとはけしからん」と激怒の声が高まるでしょう。これがエスカレートすると会頭の出身母体である「西日本シティ銀行憎し」の流れが必ず強まります。

 礒山会頭!!この流れはどうしても阻止しなければいけませんね。阻止できるのは礒山誠二氏自身の胆力を発揮することです。何も「辞めません」と発言する必要はまったくないと思います。ここは1つ、「福岡商工会議所の新年度がスタートした。辞めることはできない」と覚悟を決めるだけの話です。
全力で職責を全うしてください。黙々と業務に専念して現在の福岡商工会議所の活動をさらに強固なものにしましょうや。「会頭辞任話」は知らない間に消えていくでしょう。

追記:5月15日、礒山氏と面談。その際、会頭退任の意向を漏らす。

▼関連リンク
・福岡商工会議所会頭に礒山誠二氏

 

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