2024年04月30日( 火 )

ふくおかFGと西日本FHを検証する(後)

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(2)ふくおかFGと西日本FHの貸出金計(単体)比較表について。【表5】を見ていただきたい。

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◆ふくおかFGの18年3月期の貸出金は前期比+8,224億円の12兆3,773億円(7.1%増)となっている。西日本FHの貸出金は前期比+2,671億円の7兆787億円(3.9%増)とふくおかFGが攻勢を強めているのがわかる。

◆個別で見ると福岡銀行は前期比5,866億円の9兆5,120億円(6.6%増)と大幅に増加している。
 その内訳を見ると公金が前期比+3,487億円の1兆6,328億円(27.1%増)。一般法人は前期比+2,248億円の5兆6,514億円(4.1%増)。住宅ローンなどを含む個人は前期比+132億円の2兆2,277億円となっている。地交体など公金への貸出金が大きく伸びているのがわかる。

◆このなかで目につくのは親和銀行。前期比+678億円の1兆5,507億円(4.6%増)となっているものの、公金への貸出金+754億円によるものであり、一般法人への貸出金は▲103億円となっていることや個人が26億円の増加に止まっていることだ。しっかりと営業基盤を守っておくことが求められているのではないだろうか。

◆西日本FHは貸出金の内訳記載がないため、電話により照会をしたが内訳は教えてもらえなかった。個人ローンの比率が高い西日本シティ銀行の貸出金の動きが知りたいものだ。

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5.ふくおかFGと西日本FHの概要につい触れておきたい。【表6】を見ていただきたい。

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◆ふくおかFGの母体である福岡銀行は1877年11月1日に第十七国立銀行として福岡市博多橋口町にて創業。1945年3月31日、戦時統制により県内4行が解散合併し福岡銀行となった。

◆2007年4月2日、熊本ファミリー銀行(現・熊本銀行)を救済するために持株会社ふくおかFGを設立し経営統合。福岡銀行と熊本ファミリー銀行をその傘下銀行とした。

◆2007年10月1日、自力再建を断念した親和銀行をふくおかFG傘下の完全子会社とした。

◆2016年2月26日、十八銀行と経営統合し、傘下の親和銀行と合併すると発表したが公取
委の審査が長引き、無期延期に。しかし今年5月になって再度経営統合の動きを見せている。

◆西日本FHの母体である西日本シティ銀行は1944年12月1日、県内5つの無尽と野村銀行(後の大和銀行)とで西日本無尽を創業。

・1951年10月20日、相互銀行法の施行により西日本相互銀行に商号変更。

◆1984年4月1日、宮崎県の高千穂銀行を救済合併し普銀転換。同年12月1日に全国地方銀行協会への加入が認められた。

◆2004年10月1日、福岡シティ銀行を救済合併し西日本シティ銀行と商号変更。その後、長崎銀行を完全子会社化とした。

◆2016年10月3日、金融持株会社西日本FHを設立し、西日本シティ銀行と長崎銀行を傘下銀行としている。今後九州の第二地銀を経営統合するための受け皿会社となりそうだ。

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6.ふくおかFGと西日本FHの経営陣について。【表7】を見ていただきたい。

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◆かって福岡銀行は日銀系で、西日本シティ銀行は大蔵系と言われていた。福岡銀行は日銀出身者の寺本清頭取から後継指名された谷正明氏はプロパーであり、2007年4月2日からはふくおかFG社長兼福岡銀行頭取となった。2014年6月から会長となり、後任にプロパーの柴戸隆成氏が2代続けて就任しており、今後は外部から頭取を迎えることはないように思われる。

◆一方西日本FHの久保田勇夫会長(兼西日本シティ銀行会長)、谷川浩道社長(兼西日本シティ銀行頭取)は、2人とも修猷館高校を卒業し東大法学部から大蔵省(現・財務省)へ入省組である。

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まとめ

 ふくおかFGの柴戸社長と西日本FHの谷川社長は修猷館の同級生である。計数を検証していくとふくおかFGの強さが目立つが、西日本FHのバックには財務省がついており、九州地銀の金融再編はこの2人の手によって推し進められることになると見られている。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
(中)

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