2024年04月30日( 火 )

進化を続ける「提案から政策形成へ」~田辺一城県議会議員

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 田辺県議は民進党・県政クラブ県議団に所属。民進党全国青年委員会事務局長を務めるなど、若手議員のけん引役として活躍。1期目からこれまでの5年間、定例会のすべてで質問してきた数少ない議員の1人で、本会議での質問回数は5年間で20回に上る。議会提案からの政策形成は、歩みを止めることなく進化を続けている。

子どもの貧困対策、「対象を明らかに」「数値目標を盛り込むべき」

田辺 一城 県議会議員<

田辺 一城 県議会議員

 厚生労働省が2014年7月にまとめた「国民生活基礎調査」によると日本人の相対的貧困率は16.1%。すなわち6人に1人が相対的な貧困層である。18歳未満の子どもの貧困率も16.3%と過去最悪の数字となっている。しかし、福岡県独自のデータがないために田辺県議は15年9月定例会の一般質問で「県内の経済的困窮状態にある子どもの数を試算し、政策展開の対象を明らかにすべきだ」「福岡県子どもの貧困対策推進計画に実行性を持たせるため、数値目標を盛り込むべきだ」と、取り組みの強化を具体的に提案。その結果、田辺議員の提案を受けた小川洋知事の政治判断もあり、「福岡県内の経済的困窮状態にある子どもは17万5,000人(19.8%=5人に1人の割合)」に上るとの試算が初めて明らかにされ、「全国との乖離が特に大きい指標については数値目標を設定する」との方針が示された。田辺議員の提案が政策形成へと繋がり、社会問題化している子どもの貧困を、実効性ある形で改善していくために「福岡県子どもの貧困対策推進計画」がスタートするきっかけとなった。

「福岡県子どもの貧困対策推進計画」とは

 田辺県議が提案して政策形成につながった「福岡県子どもの貧困対策推進計画」の内容について、福岡県福祉労働部保護援護課に話を聞いた。福岡県は16年度から20年度までの5年間を計画期間とし、基本目標で、すべての子どもたちが生まれ育った環境に左右されず、本人の意欲と適正に応じて教育を受け就業につくことで、地域社会を支える一員として活躍できる福岡県を目指すとしている。そのための重点方針は、乳幼児から早期かつ一貫性のある支援、支援を要する緊急度の高い子どもに対する着実な支援、地域の関係者が一体となって行う支援の3点を定め、「教育支援」40事業、「生活支援」39事業、「保護者に対する就労支援」11事業、「経済的支援」11事業の合計101事業を実施する。

 また、数値目標として、2020年度までに、2013年度数値の「生活保護世帯の子どもの高校等進学率」87.1%、「生活保護世帯の子ども(高校等卒業後)の就職率」42.5%、「児童養護施設の子ども(高校等卒業後)の進学率」14.7%――について、それぞれ全国数値を上回るとした。一方、「生活保護世帯の子どもの高校等中退率」6.6%については全国数値を下回ることを掲げ、全国と乖離の大きい数値の改善を目指すとしている。

現場主義が生きる、古賀市の先進性が県内各地に波及

 田辺県議の提案が具体的政策に結び付いた事例がほかにもある。2015年6月の定例会で、健康測定機器を県としても確保して市町村などに貸し出す体制の整備、保健師や健康づくり推進委員などの担い手の確保と育成、看護大学等教育機関との連携などを挙げながら、県内60市町村の各地域で確実に拠点づくりが進むよう県の支援を求めた。その結果、2016年度当初予算には、新たに健康寿命延伸と介護予防などを目的とした「地域における健康づくり活動支援事業」が盛り込まれた。県内の市町村が実施する健康づくりの取り組みに際し、骨密度測定器や血管年齢測定器、肺機能測定器を活用できるように県としてサポートするようになった。

 田辺県議が信条としているのは現場主義。古賀市が自治会単位で取り組む「ヘルスステーション」の現場を視察したことで、この提案も生まれた。「現場というのは政治家にとって住民が生活している場所のこと。この場所に課題があり、課題を解決するために我々政治家は政策を展開していく、そうした立場にあると思っている」「住民と接点を持つ、地元を回りながらあらゆる立場の人と対話を重ねる中で課題を解決する政策を県政で提起・提案して実現を図ってきた。こうした姿勢を堅持して古賀市・福岡県の振興・発展に今後も努めていきたい」と語る。田辺議員は、まだまだ聞かなければいけない「声」がある、政治に生かすべき「声」があると探究心が尽きることはない。進化を続ける提案で県政にどのような政策形成を実現していくか、今後のさらなる活動に注目したい。

【吉武 輝実】

<プロフィール>
prf田辺一城(たなべ・かずき)
福岡県議会議員、民進党福岡県第4区総支部幹事長
1980年5月16日生まれ。福岡県古賀市出身。県立福岡高校、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、2003年に毎日新聞社記者。福井支局や大阪本社社会部に勤務し、豪雨や地震などの大規模災害や原発事故、日本人拉致問題、障がい者福祉、貧困・格差問題、高校野球やラグビーなどのスポーツ取材を経験。大阪府警本部の刑事部捜査2課や生活安全部・交通部も担当し、事件取材を重ねた。2011年4月の県議選(古賀市選挙区・定数1)で初当選し、現在2期目。民進党の全国青年委員会事務局長も務める。(公式サイトURL:http://www.tanabe-kazuki.jp

 

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