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2016年05月23日 07:05

西村先生、カンボジアで学校を作る(前)~リタイア後の余生を孤児たちと過ごし、介護スタッフを育成へ

 経済発展が目まぐるしいカンボジアで、ある日本人の元高校教師が新しいビジネスを立ち上げようとしている。福岡県内の進学校を中心に20年以上、教鞭を取り、退職後、不動産投資の世界に身を置き、着々と準備を進めてきた。カンボジアで就労支援事業と孤児支援事業を行おうとしている西村繕久仁(よしくに)氏に話を聞いた。

現地で介護士を育成、将来は日本で働くため

西村 繕久仁 氏<

西村 繕久仁 氏

 西村氏によると、新興国として知られるカンボジアでは現在、若いシングルマザーが増えているという。シングルマザーは10代で結婚し、子どもを授かっても20代で離婚するケースが最も多いそうだ。なかには母親からも捨てられ、孤児となるケースも少なくはない。また、医療の遅れから、失明する視覚障害者の子供たちも増えているとのこと。「盲人の子供たちの将来のために、自分の持つ整体の技術を彼らに伝えることで、自立の手助けをしたい」。そのような思いから西村氏は一人カンボジアに赴き、昨年、現地で職業訓練校を立ち上げた。

 「カンボジア国内NGOサクラ職業訓練校」は、西村氏が理事となり整体師を兼ねる。現地で整体院を営みながら、スタッフの育成に励んでいる。今年に入り、「SAKURA Hearing Hands Massage」の1号店、2号店を立て続けに出店し、訓練と実践の場の確保も行っている。西村氏はここで孤児らに日本語教育を含めた教育の場を提供する。また、視覚障害者たちには整体師としての技術を身に着けさせる事で、彼らが自立して生活できるようになる事を目標としている。孤児を一人前の介護スタッフとして育成する傍らで、視覚障害者の自立の手助けを行っているのである。

元修猷館高校の教師、海外での視察を契機に

 今年59歳となる西村氏は大学卒業後、福岡県の公立高校の生物教師となった。県内有数の進学校で教鞭を取りながら、環境問題について興味を持っていたが、転機は47歳の時に訪れた。学校を2年間休職して、長崎大学大学院環境科学研究科に入学した時のことだ。「自分は授業の中で生徒に伝えるだけしかなかったが、(環境問題に興味を持っていても)現場に行く機会がなかった。長崎大学大学院は理系の学部ながらも文系も学べる文理融合の学部だったのでそこを選んだ。環境問題を学ぶ上で経済問題は切り離すことができない問題。(長崎大学大学院は)両方学べることに魅力を感じた」と西村氏は語る。

 西村氏は大学院時代、ヨーロッパやブラジルといった先進国や新興国を訪れ、自動車が使えないドイツのフライブルグや中国・モンゴルの植林ボランティア、インドネシアのスモーキーマウンテンなどの調査を行った。そのような時、以前から興味を持っていたブラジルのアマゾンを調査する機会が訪れた。中流域のマナウスで現地の通訳を雇い、視察した。その際、通訳を担ってくれたのがブラジルの日系三世だった。彼との話の中で、ブラジルでは大学を出て就職できる環境はとても恵まれていることに気付いた。さらに日本語を話すことができるのは更に就職に有利になるということがわかった。アジアの新興国や発展途上国において、日本語を身に着けることは裕福な暮らしが約束されているといっても過言ではない。環境問題で各国を訪問するなかで目の当たりにした発展途上国のストリートチルドレンの現状を見て、西村氏は決意した。“途上国の子供たちに日本語を学ぶことができる機会を作り、豊かになってもらいたい”。そう考えると、すぐに行動に移した。高校教師の駆け出しだったころを思い出した。

(つづく)

<プロフィール>
nisimura_pr西村 繕久仁(にしむら よしくに)
 1957年 糟屋郡粕屋町生まれ。西南学院中学、福岡高校、九州大学理学部を卒業後、福岡県の高等学校の生物教諭となる。香住丘高校、修猷館高校、筑紫丘高校などで25年教育に携わった。高校在職中に教員の国内留学制度を活用し、長崎大学大学院環境科学研究科にて2年間学ぶ。50歳で退職後、東南アジアで寄付に頼らない孤児院を作るための準備に入り、現在に至る。

 
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