2024年04月25日( 木 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~今年はどうかな

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 交流戦が18試合になり、大きな変動がないように思っているのだが、やはりこの時期に好不調が顕著に出るようだ。そこのところを考えていくと、18試合の対戦順に関係があるのかな?
 調子の良いときに不調のチームと対戦して3連勝をすると、貯金ができる。逆に考えると、不調なときに3連敗をしない工夫をどうするか――。3連勝をすると次のカードで失敗しても5割の数字が残る。反対に、3連敗したチームは次のカードで頑張っても5割しか残らない。これを頑張って1勝2敗で乗り切ってくると、4勝2敗という数字が残るのだから、頑張らなくてはいけない。
 最後に笑うためには、やはり頑張りどころをしっかりと締めておかなければいけないということだ。

 そんな目線で対戦カードを見ると、交流戦を得意としているソフトバンクが最初に戦うのが中日、そして広島、DeNA戦と続いていく。セ・リーグの3チームは、相当覚悟を決めて戦いに臨まなければ、パ・リーグを独走しているソフトバンクを倒すことは難しいだろう。

baseball その他パ・リーグでは、調子の良いロッテ。そして、大谷選手や中田選手、レアード選手と長打を売り物にしている選手を持っている日本ハム。これら3チームが、交流戦ではセ・リーグのチームを苦しめそうだ。だが問題は、このチームらの投手ローテーションが、どのチームと当たるかだろう。
 力はあるのだが、まだ調子の出ていないオリックスには、金子投手、西投手、ディクソン投手という素晴らしい投手がいる。
 また、西武には菊地投手や、今は休んでいるが岸投手がいる。彼らと対戦となると、打線はかなりの工夫をしなくてはならないだろう。
 そして、楽天には則本投手という元気の良い投手がいる。対戦が回ってくるか、それとも外れるかで、大きな違いとなるだろう。

 こんなことを考えながら見ていくと、セ・リーグのチームのなかで、比較的スケジュールに恵まれているように見えるのが、阪神ではないだろうか。
 阪神は、初戦が楽天戦。ここには、先ほど挙げた則本投手という強敵が1人いるが、この投手のローテーション次第では、勝ち越しは難しくないだろう。2カード目が西武戦ということも、勢いをつけるには良い相手だと思う。そして、調子の良いロッテ戦を迎えるのだが、以前在籍したスタンリッジ投手、涌井投手、石川投手というなかで、誰が回ってくるか。ポイントはここだろう。この3カードでうまく滑り出せば、調子をつかめそうだ。後半の日本ハム、オリックス、ソフトバンク戦を、余裕を持って戦うためにも、最初の3カードを大切に戦いたい。

 巨人もその点では、もう1つ調子の波に乗れないオリックスが交流戦の初戦の相手で、勢いをつけるには格好の相手ではないだろうか、ここは波に乗りたいところだと思う。そして日本ハム、西武と戦うのだが、相手打線を乗せなければ勝ち越しは難しくないと思う。今年の巨人打線では、日本ハムや西武の打線と打ち合いに持ち込むと苦しいと思うだけに、接戦に持ち込み、セ・リーグの野球のペースで戦いたい。

 ヤクルトは、これからどこまで調子を上げてくるかは見えないのだけれど、日本ハム、オリックス、楽天という順番での対戦は、恵まれていると思う。チームの打線が調子さえ整えば、十分に勝ち越しを計算できる対戦相手と見ているのだが、どうだろうか。短期決戦だけに、最初に勢いをつけることがどうしても必要だと思う。

 中日は、初戦がソフトバンクということで、この初戦にあまり力を入れ込むと、次の楽天戦で思わぬ展開が待っているかもわからない。そのため、慎重に入りたい。ソフトバンク打線は、つながりが非常に良いチームだけに、いかに打線を「点」にして戦うことができるかだろう。そして、次の楽天戦に臨みたい。ここをうまく抜けると、以外と後のカードをすんなりと行ける可能性があるとみている。今季、ここまでは監督・コーチが頑張り、この位置にいるのかな。ビシエド選手の頑張り、ナニータ選手の頑張り、良いところで平田選手が打ち、頑張ってきたが、交流戦が1つの山かもしれないと思う。

 そして、上げ潮のDeNAはどうか。セ・リーグのなかで、この時期から一番頑張りそうなチームがここだろう。野手のメンバーがやっとそろい、これで石川選手が元気を取り戻してくれるともっと期待が大きくなるのだが、メンバーはそろってきた。そして、打線としての勢いも付いてきたように感じる。
 問題は、パ・リーグの打者に対して、投手陣がどこまで頑張れるか。ここの投手も、どうしても力で押し切るタイプの投手が少なく、かわすタイプの投手が多いだけに、パ・リーグの打者からすれば組みやすいタイプが多いと見える。井納、山口、モスコーソ、そこに面白いところが、新人の今永投手。この投手は初めての対戦でもあり、コントロールの良い投手だけに、パ・リーグの各打者が少し苦労しそうに見えるのだが、どうだろうか。石田、砂田投手という若い投手にも期待したいところだが、緊張感との戦いかな。もう1つは三上、山崎の抑え投手が、どんな投球を見せてくれるか。このチームは、交流戦が楽しみだ。

 最後に広島を見てみたい。私は、シーズン前の広島の戦い方は投手中心のチームであり、打撃戦に持ち込むよりも投手戦に持ち込み、接戦をものにする――というようなことを考えていた。だが、開幕するとまったく違うチームのような戦いを見せ、昨年苦しんだ菊池選手、丸選手が好調、ルナ選手の加入でエルドレッド選手が考えられないほどの打撃を見せて、1番に定着した田中選手が素晴らしい成長の跡を見せて、ルナ選手が故障でいないということを忘れさせてくれる打線になっている。
 5月18日終了時点での21勝19敗の中身を見ると、1点差での勝利が2試合しかない。投手中心のチームとしてはどうかな。3点以内の試合も7試合だけで、その他はそれ以上の点差での勝利ということになると、打線がいかに頑張ってきたかということがわかる。圧巻は4月29日、30日、5月1日のヤクルト戦の勝利だろう。第1戦が9対4、2戦目が12対2、3戦目が10対7と、完全に打ち勝った試合展開である。広島カープの試合だろうか?心配になる。
 反対に敗戦だが、1点差の試合が8試合あり、もう少しという残念な試合である。2点差4試合、3点差1試合というところで、それ以外が5試合。19敗のうちの12試合が2点差での敗戦ということは、カープの野球の戦いのなかでは、何とか考えたい展開ではないだろうか。勝ち越しているが心配だというところは、この点である。交流戦で戦うパ・リーグのチームは、打撃戦が得意なチームが多い。ここのところをしっかりと頭に入れて、先発投手陣をしっかりと整備して臨みたいところだろう。

 今年もパ・リーグのチームが大暴れするのだろうか。それとも、セ・リーグのチームが昨年の屈辱を晴らすのか――。短い期間だが、見どころがいっぱいの交流戦になるだろう。

 

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