2024年04月28日( 日 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~初めての経験(後)

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 そんなことを考えていくと、昔よりも今の方が、投手もそうだが、打者は夏場の過ごし方にもっともっと注意を払わなければならないような気がする。
 それだけに、若い選手たちが出てきた今年は、どんな調整をしてグランドに出てくるのか、どんな経験をするのかが、非常に興味のあることになる。

 とくに、ここまで身体を張って頑張ってきた選手ほど期待が大きくなるが、自分では気がつかないだろうが、そうした選手ほど身体の疲れがきていることも事実だ。アマチュア時代には、春の大会と秋の大会にコンディションを調整してくれば良かったのだけれど、プロ野球は2月から緊張したなかでキャンプを行い、球団首脳陣に力を認めてもらい、オープン戦に入る。そして、またまた緊張したなかで結果を残して開幕1軍のメンバーに入り、開幕から試合に臨んできた。ということは、どれだけ鍛えた身体を持っていたとしても、疲れがないということはあり得ないと思われる。

training 身体の反応というものは大変正直で、春のキャンプが始まってすぐに、自主トレをしてきたにもかかわらず、身体に張りを覚える。そして今度はオープン戦が始まり、試合というかたちの練習に移ると、もう一度体の張りを感じ、そして開幕戦を戦うと朝起きて「身体が痛いな~」と思うものだ。それぞれ精神的に緊張して、知らず知らず身体に力が入っているということと思われる。

 そんな日々を過ごしてきての公式戦のなかで、毎日毎日試合をこなしながら、この疲れをどのようにして取るか。自分で考えることは当然だが、先輩に聞くのも1つの手だろう。また、コーチの経験を聞くのもいいだろう。この問題は、大きな課題となるはずである。

 阪神の1番打者として頑張っている高山選手、捕手の原口選手、開幕から好投を続けて6試合目で初勝利を挙げたDenaの今永投手、そして捕手の戸柱選手、ヤクルトで頑張る原樹理投手、素晴らしいスイングを見せてくれている楽天の茂木選手など、多くの新人選手が1軍という結果を求められる厳しい場所で、連日の緊張感と、そこから来るストレスとの戦いのなかで疲れる日々を過ごしながら、いろいろな方法を模索し、「こんな方法」「あんな方法」と試しながら頑張っていくことだろう。

 我々の時代では、チームトレーナーに相談するというのは、ある程度実績を残してからということだったが、今の時代ならば遠慮はいらないだろう。自分の身体がいつも同じように動ける状態をつくるために、どうすればいいのか。教えてもらいながら、経験を積むしかない。壁は自分で乗り越えるもので、人は乗り越えてくれないということも、勉強するだろう。

 この時期、若手選手たちは、運動選手に必要なものの基本となるのは、「運動」「休養」「栄養」の3要素ということをどこまで学習するだろうか――。これは、自身の将来を左右することだと思う。

(了)

 
(前)

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