2024年04月24日( 水 )

Jリーグ新時代へ!~放映権2,100億円大型契約を締結

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 Jリーグは7月20日、世界トップクラスのデジタル・スポーツコンテンツ&メディア企業であるPerform Groupが提供するスポーツライブストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」と放映権契約を締結したことを発表した。契約期間は、2017~26年の10年間で、契約金額は2,100億円。提示金額は年間200億円以上とみられ、現在推定金額30~50億円の4~7倍以上になる。

avispa2 Jリーグは、今季までスカパーJSAT(株)(スカパー!)と契約。この大型契約についての背景に、「来季の放映権については、スカパーJSATとソフトバンクの3社が入札していた。断定はできないが、NTTグループとのスタジアム・ホームタウンのICT化を図る“スマートスタジアム事業”の協業契約を3社間で締結したことで、NTTとのパートナーシップが構築されることが大きな要因」(業界消息通)との見方がある。

 今回の契約は、17年シーズンからJ1、J2、J3の全試合が、『DAZN』により生中継される。『DAZN』の特徴はテレビ、パソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などさまざまな機器で、いつでもどこでも高画質で中継を楽しめることだ。さらに、NTTグループとJ1クラブのホームスタジアムをはじめとした、全国のスタジアムのWi-Fiの環境整備・情報サービス提供などのICT化を推進する。

 Perform GroupのPerform Investment Japan(株)のジェームズ・ラシュトンCEOは視聴価格について「ランチかディナーかで言うと、ディナーでは絶対にない。ランチに近い価格となる」とコメント。おそらく月額1,000~2,000円になると推察される。現在の”スカパー!”の視聴は、約3,000円程度である。

 この大型契約で、Jリーグは大きな恩恵を受ける。それは、より幅広い人々にJリーグの試合を視聴できる機会が増えるため、新たなJリーグのファン層を開拓できること。その波及効果で、スタジアムへ来場する人々が増大される可能性がある。それが、各クラブへの収入増につながっていくことだ。スタジアムへの来場者が増加することで、チケット販売および関連商品の売上高が伸びることも期待される。さらに、Jリーグから各クラブへの放映権料の分配が増加し、各クラブの財務内容の強化につながり、国内外の有力選手の獲得などに活用できる。

 一方、増大する放映権料を、リーグ全体の発展やサッカー界の発展のために活用すべきという声も関係者のなかに少なからずある。スタジアムの改修・増設、草の根で活動している地域のサッカークラブ、全国各地教育機関のグラウンドの芝生化へのサポートなどさまざまな事項が存在する。Jリーグは1993年の発足以来、サッカーを通してあらゆるスポーツを老若男女が楽しめる豊かな国を目指す「Jリーグ百年構想 ~スポーツでもっと幸せな国へ。~」というスローガンを掲げてスポーツ振興に取り組んでいる。その理念があって、Jリーグが発展し、世界各国の列強のリーグで活躍する日本人選手が次々と輩出できたのだ。この莫大な放映権料がどう活用されるか注目される。

【河原 清明】

 

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