2024年04月20日( 土 )

中国人の「爆買い」は終わらず?

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 日本政府観光局(JNTO)が20日に発表した今年1月から6月までの訪日外国人客数は、前年同期比28.2%の1,171万4,000人だった。最も多いのは中国の307万6,600人で、前年同期比41.2%増と驚異的な伸びを見せている。一方、観光庁が同日発表した4-6月期における訪日外国人消費動向調査によると、中国の買い物代は1,983億円と突出しているものの、1人当たりの旅行支出は前年同期比22.9%減の21万9,996円と失速。 観光庁によると2期連続で減少しており、「爆買い」の陰りを指摘する声もある。

20160722_001 JNTOによると、6月の訪日外国人客数は前年同月比23.9%増の198万6,000人。このうち中国は同26.0%増の58万2,500人で6月としては過去最高を記録し、ロシアを除く全体が伸びているなかでも最も多い。要因としてはクルーズ需要、日中間の地方航空路線の拡大、端午節にともなう連休、訪日プロモーションの効果などが考えられる。5月は熊本地震による影響からかやや落ち込んだものの、それでも4月から3カ月連続で50万人超を維持。訪日外国人客数の増加を下支えしているのはやはり中国で、前年同月比の伸び率の推移から今後も勢いは続いていくだろう。

 4-6月期の訪日外国人全体の旅行消費額は前年同期比7.2%増の9,533億円と、1-3月期に続いて9,000億円台を維持した。しかし1人当たりの旅行支出は15万9,930円と前年同期比の9.9%減。旅行者数は596万人で前年同期比19.0%増だったことから、消費単価の減少を旅行者数の増加が補う形となった。国別の1人当たり旅行支出では、1位がベトナムの23万8,375円(前年同期比13.7%増)。中国はオーストラリアやスペイン、ロシアからも下回っている。もちろん為替の影響もあるので直接の比較はできないが、中国の落ち込み幅は全体で最も大きい。

 1人当たり旅行支出の内訳を見ると、中国の買い物代は12万3,597円。1-3月期は15万1,293円であり、減少傾向にあることは間違いない。1人当たりの金額だけなら、爆買いにブレーキがかかったと見ることもできる。しかし10万円を超える買い物をしているのは、相変わらず中国人だけ。しかも中国人の訪日数は増加しており、消費単価の減少をカバーしていることを踏まえると、個人の爆買いが落ち着いただけとみるべきで、全体の爆買いはまだ続いていくだろう。

【平古場 豪】

 

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