2024年05月01日( 水 )

九州地銀の頭取交代~2年で9行(前)

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 九州地銀18行のうち、今年新頭取が誕生したのは、大分銀行・宮崎太陽銀行・北九州銀行の3行だった。

<新頭取3人について> (別表1参照)
◆大分銀行
 大分銀行の後藤富一郎専務(61歳)は、昨年6月に代表権を付与されていたため、4月1日付で頭取に昇格。在任6年の姫野昌治頭取(64歳)は代表取締役会長に就任。今後予想される金融再編の舵取りを担うことになりそうだ。

◆宮崎太陽銀行
 宮崎太陽銀行は2010年3月、金融機能強化法に基づく公的資金(整理回収機構)130億円の注入を受けており、林田洋二新頭取(66歳)は経営の強化に専念するものと思われる。一方、川崎新一会長(68歳)は、人口の減少に伴う地域経済の縮小が進んでいる現実を踏まえ、生き残りを賭けて金融再編に本腰を入れて取り組むものと見られている。

◆北九州銀行
 北九州銀行・山口銀行・もみじ銀行の三行を傘下に持つ山口FGの福田浩一社長(63歳)が退任し、吉村猛常務(56歳)が昇格。福田氏は兼務する山口銀行頭取も退任し、代表権のない会長に就任。トップの交代を受けて、北九州銀行の頭取には、昨年6月に山口銀行専務から頭取含みで転籍していた藤田光博専務(62歳)が昇格。加藤敏雄前頭取(68歳)は代表権のない会長に就任。兼務していた山口FGの専務(ナンバー3)も退任。同様に山口FGのナンバー2の専務で、10年間もみじ銀行の頭取を務めた野坂文雄氏(67歳)も、プロパーの小田宏志常務(55歳)と交代し、同行の代表権のない会長に就任。
 そもそも福田社長と野坂・加藤専務のトライアングル体制となったのは、04年5月21日に開催された「山口銀行の臨時決算取締役会議」がきっかけだった。
 山口銀行相談役として今も毎日社用車で出勤している田中耕三元頭取(90歳)。その相談役が主導した「田原鐵之助頭取(当時)交代のクーデター」に加わったからだといわれる。
 この頭取交代劇をモデルに『実録 頭取交替』(浜崎裕治著/講談社)が出版されたが、登場する甲羅万蔵相談役や古谷政治頭取・原口俊也取締役・大島俊之取締役は、12年経った今も現役を続けているのだ。
 昨年6月、福田社長は北九州銀行ともみじ銀行の会長に就任。野坂・加藤両氏をいずれ顧問か相談役にする予定だったといわれる。しかし、福田氏自身が病気になり、社長交代を急がざるを得なくなった。そのため自分は非常勤の取締役に下り、仕方なく野坂氏と加藤氏をそれぞれの銀行の会長(ただし、代表権なし)に据えたというのが真相のようだ。
 この2人は会長として残りはしたものの、山口FGの役員を退任しており、権力闘争に敗れたのではないかとの見方が広がっている。

(つづく)
【北山 譲】

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(後)

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