2024年04月19日( 金 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~さぁ、来年頑張ろう

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baseball 108年ぶりにワールドシリーズを制して、「ヤギの呪い」から解放されたシカゴ・カブス。インディアンスの本拠地のクリーブランドでの試合にもかかわらず、グラウンドに詰めかけた多くのカブスファン。なかには、108年ぶりの優勝を見たいという他チームのファンもいたことと思うが、凄い声援を送っていた光景が印象的だった。その反対では、インディアンスのファンの大きな落胆もテレビカメラは捉えていた。

 試合は8対7という、野球の試合で最も面白いという点の取り合いとなった。だが、ファンから見ると面白い試合でも、選手からするとこんなに苦しい試合はない。点を取っても、取っても、先が見えない試合内容。最後は、カブスの執念が勝ったと思う。雨による中断も、カブスにエネルギーを与えたように感じた。地元のインディアンスにとっては、少し追い上げに水を差されたかたちかな。勝負事というものは難しい。

 この7戦を簡単に振り返って見ると、“投手のカブス”、“打線のインディアンス”という見方をしていた私にとって、第1戦は6-0で「そうだね」、第2戦は1-5で「アレレ?」、第3戦は1-0で「地元でどうしたの?」、第4戦は7-2で「打ち負けた」という感想だった。
 ここまでの流れでは、インディアンスが3勝1敗。「地元の最終戦で決めるのではないか?」――と、そんな空気が強かったが、自慢の投手が頑張り、第5戦は2-3で勝利。敵地に乗り込んでの最後の勝負に持ち込んでの第6戦は、カブス打線が9点を取っての勝利。そして最終7戦目にも8点を取っての勝利。「まいりました」というところかな。カブスの打線が本塁打3、みんなスタンドギリギリのところに入った。
 “打線のインディアンス”は、4番のナポリ選手が完全に調子を崩していた。打席で集中できない状態が続き、3番、5番は良いだけに、ナポリ選手で打線がつながらなかったのが痛かった。
 1989年に公開された「メジャーリーグ」の映画のようにはいかなかった試合だが、こちらも68年ぶりの優勝を目指していただけにファンは残念だっただろう。
 でも、良いシリーズだった。

 今年のチャンピオン・シリーズは、日米ともに地元の球団が悔しい思いをして閉幕ということになってしまった。
 カープは、地元で2勝して「どうしても勝たなければ」という雰囲気が強くなり、皆の硬さが強く出てしまったように、インディアンスも3勝1敗となった時点で、「勝てる」という思いが強くなりすぎたかな。私には、日米とも同じような「敗因に見えた」シリーズだった。

 これで日米ともに、シーズンは終わりを迎えた、これからはフロントが、来シーズンに向けてのチームの補強をする時期を迎える。ここの作業が、来年の優勝を占ううえで大きな材料となることは間違いない。
 今回のシリーズで敗れたインディアンスは、どうしても来年は69年ぶりの優勝を目指さなければいけない。力はあったのだが、勝ち運に恵まれなかったブルージェイズ、レンジャーズ、オリオールズは、どのような補強をして、チームを勝ちにつなげるか――。ドジャース、メッツ、ジャイアンツ、ナショナルズも強いよ。そして、チームが大きな転換期を迎えている名門ヤンキースは?
 考えれば考えるほど興味が尽きない。楽しみにしたい。

 そしてアメリカでは、これから夕方からのスポーツバーでは「アメリカン・フットボール」に一段と熱が入ってくる。1月の終盤か、2月の初めに開催される「スーパーボウル」出場を目指して、各チームがしのぎを削る時期になってくる。
 そしてバスケットボールが始まり、北米ではアイス・ホッケーも賑わうだろう。冬場もスポーツバーは、賑やかな時間を過ごすことになる。

 これからの時期の私の楽しみは、駅伝競技やマラソン競技が、本格的な時期を迎えることだ。お正月に開催される実業団駅伝や箱根駅伝は、多くのファンが楽しみにしていることだろう。今年はどんな選手が頑張るのか。各チームとも、事故のないことを願っている。

 ここのところ、マラソン競技に飛び抜けた選手が出てこないのが寂しいのだが、今年あたり誰か出てくれないかな。マラソン男子が強かった時代を知っている年代としては、寂しい。そう言えば、高橋選手や野口選手がオリンピックを制し、世界記録も出していた時代を見ているだけに、最近、女子も少し元気がないように感じる。
 これから迎える冬場も、スポーツファンを大いに楽しませてほしいと願う。

2016年11月4日
衣笠 祥雄

 

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