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2016年11月08日 07:03

ブロックチェーン革命とは?(後)

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 「ブロックチェーン」とは、ブロックがチェーンのようにつながっていることを意味する。
 ブロックとは、個々の取引データをいくつかまとめたものを言う。ブロックのなかにある、個々の取引の記載内容を決めるのはユーザーである。過半数以上のユーザーから認められた取引データだけがブロックに記録され、永遠に残るし、誰もが参照できるようになる。取引が継続されるにつれて、ブロックはどんどんできあがる。
 ところが、ブロックができると、参加者のすべてのブロックも同じ内容にアップデートされる。同じデータがいろいろなところに存在しているため、中央集権的なデータベースではなく、分散型データベースになる。今までのデータベースは、金融機関が集中管理を行い、ハッカーの攻撃を防ぐために膨大な費用をかけている。
 しかし、ブロックチェーンの場合には、たとえ1つのブロックが攻撃を受けて壊れたとしても、別のブロックを参照することで、ブロックはすぐ修復ができる。今までは2者の取引を金融機関が保証していたが、ブロックチェーンの場合には、参加者全員が保証する仕組みだ。金融機関の介入がなくなるので、当然、取引コストも安くなる。
 それに、皆に情報が公開されていて、改ざんもほぼ不可能になり、セキュリティ性も強化されるわけである。今までの金融取引は情報を隠すことに重点を置いていたが、ブロックチェーンは、逆に情報を公開することで不正ができないようにするという、発想の転換である。

net-min ブロックチェーンが利用された代表的な事例は、ビットコインである。ビットコインがどのように使われているかがわかれば、ブロックチェーンも理解できるだろう。
 ビットコインを発明したのは、ナカモト・サトシという謎の人物である。ビットコインは当事者同士でやり取りできる電子貨幣で、P2Pネットワークを活用して、二重支払いも防止できるとされている。このP2Pネットワークで二重支払いを防止するのに使われる技術が、ブロックチェーンである。P2Pとは、インターネット上で、サーバーなどを経由せず、ユーザー同士がデータなどをやり取りすることを言う。ブロックチェーンは、別の言い方では、「公開台帳」とも言える。10分ごとに、10分間で取引した内容をまとめてブロックとして公開する。公開された記録と照らし合わせて、もしその他の記録に漏れや誤りがあったら、すぐ同期化される。取引があっても、取引として認められてブロックに記載できるのは、過半数以上のユーザーから認められた取引だけである。

 このようにブロックチェーンは、従来の金融機関が抱えていた高コストの壁を乗り越えられるし、同時にセキュリティ面での問題も解決している。
 またブロックチェーンは履歴管理ができるので、金融取引だけでなく、他の分野への応用も期待されている。

 それでは、ブロックチェーンは良いことずくめなのだろうか――。

 ブロックチェーンにはまだまだいろいろな改善の余地があって、研究開発が進んでいる状況である。今の状況で指摘されている問題点としては、ブロックチェーンの場合には、第3者の介入がないだけに、間違って送金した場合、それを取り戻すことは難しい。銀行の場合には、銀行に電話をかけて事情を説明して取引を修正してもらえるが、ブロックチェーンの場合には、電話をするところが存在しない。
 もう1つの問題点は、ブロックチェーンの匿名性である。取引当事者を特定できないため、麻薬取引などに悪用される可能性も高いし、徴税が難しくなる可能性もある。個人の自由は高まる反面、金融機関のビジネス機会喪失と政府統制が弱体化する恐れがある。

 しかし、ブロックチェーンの可能性は大きく、その未来にかけて世界的な大手金融機関は、しのぎを削っている。

(了)

 
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