2024年04月29日( 月 )

福岡から発信するアジアの未来~「第4回福岡の未来構想委員会」開催

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第4回福岡の未来構想委員会 福岡商工会議所「福岡の未来構想委員会」の第4回委員会が13日、福岡市内で開催された。同委員会は、文化・芸術・歴史などさまざまな観点から福岡をとらえ、街の未来を考える機会を設けるべく講演会・座談会・懇談会を開催しているもの。第4回目となる今回は、東京藝術大学特任教授・伊東順二氏と東京大学教授・出口敦氏に加え、特別ゲストとして建築家の伊東豊雄氏を招聘。伊東豊雄氏は、これまでに日本建築学会賞作品賞、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダルを受賞するなど、世界に名を馳せた日本人建築家の1人。2013年には「建築界のノーベル賞」ともいわれるプリツカー賞を受賞した。福岡では、04年にアイランドシティ中央公園の体験学習施設「ぐりんぐりん」を手がけている。伊東豊雄氏は、これまでに自身が手がけてきたプロジェクトについて解説しながら、「福岡から発信するアジアの未来」をテーマに講演を行った。

建築家 伊東 豊雄 氏

建築家 伊東 豊雄 氏

 講演で伊東豊雄氏は、まず福岡市の位置づけについて触れ、アジアに近いという立地的な優位性や、近代化・都市化が進みながらも屋台のように外で飲食できるアジア的な文化が根付いている点を評価。そうした近代化と文化とが融合している姿こそが、本当の意味でのこれからの未来的な都市の在り方だと説いた。
 次に、自身が設計を担当しながらも、惜しくも落選となった「新国立競技場 B案」について触れ、この案で何がやりたかったのかを解説した。伊東豊雄氏が目指したのは、大地の赤をフィールドとして、地上に噴出したエネルギーが渦巻いて、観客席、そして天空へと波及していくようなイメージ。また、72本の巨木を支柱に据えることで空間を形成し、日本らしさをどう表現するかに主眼を置いたと話した。
 続いて、これまでに自身が手がけてきた各地でのプロジェクトを紹介。地方にこそ公共建築の可能性があるとしたうえで、岐阜市の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」のプロジェクトについて解説したほか、アジアの元気こそ学ぶべきこととして、シンガポールや台湾で手がけたプロジェクトの解説を行った。

 伊東豊雄氏は、自身の建築への考え方について、技術で自然を征服するのではなく、自然に祝福される建築こそがこれからは必要だとしたうえで、土地の持っている力がどう建築に伝わるかが重要だと総括。また最後に福岡については、福岡らしい大胆さや鷹揚さを大事にしていってほしいとして、講演を締めくくった。

【坂田 憲治】

 

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