2024年04月27日( 土 )

鹿児島県の産廃処分場、不透明な移転補償費を「違法」~鹿児島地裁

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伊藤前知事による「著しい裁量権の逸脱または濫用」

 鹿児島地裁は3月28日、鹿児島県薩摩川内市の産廃処分場「エコパークかごしま」の建設時、鹿児島県が取得した用地の一部に「違法支出」があったとする判決を出した。裁判は、地元住民らが、鹿児島県(三反園訓知事)を相手取り、同処分場の用地取得の支出を違法として訴えていたもの。

 判決によると、同地裁は、用地取得費5億円のうち約4億3,200万円を違法と判断し、鹿児島県に対し、土地の所有者であった地場ゼネコン・植村組グループの(株)ガイアテック(鹿児島県薩摩川内市)ほか2名への未払金1億6,800万円の支出差し止めと、土地取得契約時に知事であった伊藤祐一郎氏にすでに支払った2億6,404万円を請求するよう命じた。

 伊藤前知事による「著しい裁量権の逸脱または濫用」として支出が違法と判断されたもののうち、最も問題視されるのは、同処分場の直下を流れる阿茂瀬川右岸の土地にかかる賃貸借契約だ。同地は、ガイアテックの砕石プラント敷地および事務所用地となっており、同処分場の基本設計における事業用地には含まれていなかったが、計画を進めるなかで、処分場で使用する中間覆土材の仮置き場として必要とされ、追加取得されたことになっていた。

 しかし、同地の取得については契約締結から15年後に所有権が県に移譲する賃貸借契約で行われており、取得費相当額約1,555万円のほか、砕石プラントなど工作物の移転補償費を約4億2,634万円としていた。つまり、用地取得費(約5億円)のほとんどが、この移転補償費で占められていた。

 原告側は、県議会の議決を要しない賃貸借契約で行ったことについて、「議会の審査を免れる意図があった」と糾弾。不透明なプロセスで行われた上記の用地取得は、地場ゼネコンである植村組グループへの利益供与を疑われてもおかしくはない。鹿児島地裁は、「具体的なコストの比較」がされていない点を指摘し、同地取得の「必要を認めることはできない」と断じている。

【山下 康太】

 

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