2024年05月04日( 土 )

ソレキアのTOB合戦が決着~佐々木ベジ氏が勝利、富士通が敗れる(後)

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ソレキアは富士通の天下り先だった

 佐々木ベジ氏はバブルの時代に、低価格の家電販売で名を馳せ「秋葉原の風雲児」と呼ばれた。米国の化粧品大手エイボン・プロダクツの日本法人に買収を仕掛けたが失敗。東証二部上場の機械メーカー谷藤機械工業(株)を買収した。現在のフリージア・マクロス(株)だ。

 だが、1997年に通販会社のピーシーネット(株)が倒産。個人として560億円の債務保証をしていた佐々木氏は、破産を宣告された。以後、経済の表舞台から消えた。

 その佐々木氏が、20年ぶりに兜町に戻ってきた。株主主権のコーポレート・カバナンスコード(企業統治)が導入されたことで出番を迎えた。佐々木氏が大義名分に掲げたのがソレキアの経営刷新だ。

 ソレキアは1958年に富士通の特約店、富士電機(株)の取扱店、小林電材(株)として創業(2002年に現商号に変更)。90年に店頭公開を行い、現在は東証ジャスダックに上場している。
 2017年3月期の連結決算は、売上高が198億円(16年3月期201億円)、営業利益は2.2億円の黒字(同1.4億円の赤字)、純利益は1.4億円の黒字(同1.9億円の赤字)と黒字転換した。電子カルテなど医療情報システムが伸びた。

 佐々木氏は富士通とソレキアは資本関係でなく、人脈でつながった企業関係だということを炙り出した。富士通はソレキア株の2.7%を所有する9位の株主にとどまる。ところが、9人の取締役のうち、副社長、専務など4人が富士通出身だ。富士通はソレキアを天下りの受け皿にしていたわけだ。

 アナリストや投資家は、富士通が乗っ取り屋に対抗してソレキアを完全子会社にするのは、戦略的な判断に基づくものでなく、メンツを守るための行動とみなした。36億円を投じてソレキアを買収する合理的理由がない。富士通は株主に説明がつかなくなり、TOBを断念せざるを得なかった。
 今後は、佐々木氏とソレキア経営陣とのバトルの第2ラウンドが始まる。

(了)
【森村 和男】

 
(前)

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