大戸屋HDのお家騒動は決着せず、功労金2億円支払いに創業家は白票投じる(前)
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創業家と経営陣の対立が話題になった定食専門店「大戸屋ごはん処」を展開する(株)大戸屋ホールディングス(HD)は6月28日、東京・新宿のハイアットリージェンシー東京で第34回定時株主総会を開いた。
会社側は、亡くなった実質的な創業者である三森久実(みつもり・ひさみ)氏に対して、功労金約2億円を支払う議案を提出。これで創業家と経営陣の和解が図られると見られていた。議案は可決したものの、創業家は白票を投じた。功労金が宙に浮いてしまった。新たな騒動に発展する可能性がある。「最も重要」と指摘された功労金の問題
お家騒動を振り返ってみよう。
2015年7月、実質創業者の久実氏が57歳の若さで急逝。久実氏の功労金の支払いや長男の三森智仁(ともひさ)氏の処遇をめぐり、久実氏の妻の三枝子未亡人と窪田健一社長が対立した。窪田社長は久実氏と叔父甥の関係にあたる。
16年5月の取締役選任議案に、三枝子氏と智仁氏が反対を表明したことで対立が表面化した。同社は同年8月に創業家との和解を目指し第三者委員会(委員長・郷原信郎弁護士)を設置。9月26日に報告書を提出した。
報告書は、内紛については創業家と経営側の両方の非を指摘。第三者委員会の郷原委員長は、まだ支払われていない功労金問題の解決が「最も重要」としたが、経営側は「不当な要求は拒絶」すると従来の姿勢を変えず、双方のにらみ合いが続いていた。今年の株主総会を前に、経営側が2億円の功労金を支払うことで歩み寄りを見せた。これにて創業家との対立に終止符を打ちたいと考えた。だが、事前に創業家には説明していない。久実氏の株式を相続した三枝子氏が13.15%を保有する筆頭株主で、智仁氏が5.64%の第2位の株主だ。創業家が株主総会でどう出るかに焦点が集まった。
功労金の支払いは可決したものの…
株主総会に提出された議案は4つ。第1号議案は取締役10名の選任の件、第2号議案は故・三森久実氏への1,005万円の弔慰金贈呈の件、第3号議案は三森久実氏への創業者功労金贈呈の件、第4号議案はストックオプションとしての新株予約権を発行する件。
焦点は、創業者功労金2億円の支払い。同社では役員退職慰労金制度を廃止しているため、功労金の支払いについては、総会での承認が必要だ。総会に出席した株主からは、「金額が大きすぎる」といった疑問が呈されたという。
大戸屋HDが29日に提出した臨時報告書によると、第1号議案の取締役10名選出の件では、窪田健一社長の賛成率64.31%をはじめ、他の取締役の賛成率も64%台で全員選任された。創業家は全取締役に反対票を投じた。創業家だけでなく、一部の株主も反対した。
第2号議案の弔慰金贈呈の件と、第3号議案の創業者功労金贈呈の件は、ともに63.20%の賛成率で可決した。反対票はほとんどなく、創業家は白票を投じた。ところが、第4号議案のストックオプションとして新株予約権を発行する件は、否決された。これは議決権に対し3分の2以上の賛成が必要な特別決議だ。賛成率63.14%で可決に必要な3分の2以上の賛成に届かなかった。創業家が反対した。
(つづく)
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