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2017年11月27日 07:02

中島淳一・ニューヨークを歩く(後)

 新たな活動の足掛かりは、明らかに得られた。ニューヨークでの絵画個展、1人演劇上演を見事に成功させた中島淳一氏。先日のレポートでは表現しきれなかった体験と思いを、改めてしたためてもらった。氏の活動が新しい領域に入る、そのきっかけが多くの人々の支えもあって形づくられていく、その足跡をご覧いただきたい。

 11月8日、空間コーディネーターから、建築空間にあう作品の依頼があればオファーを受けるかどうかを訊かれる。サイズはどれくらいの大きさまで、描けるかなどの質問も。完成した作品に関してはアーティストをリスペクトする意味でも、基本的にはクレームはつけないとのこと。無論、オファーがあれば受けると答える。

 11月9日、New York Hilton Midtownで開催されたニューヨーク日本商工会議所主催の“JCCI’s 33rd Annual Dinner Gala: “Strength in Unity” – A Celebration of the U.S.-Japan Partnership”に招待される。オペラ歌手のドミンゴや、ノーベル賞受賞者の根岸博士、ディビィド・ロックフェラーの甥のスピーチがメインのまさにセレブのパーティであった。

※パーティについては、下記のレポートも併せてご覧ください。
中島淳一ニューヨーク便り(中)~11月11日

 11月9日、キャパ70~170の魅力的な小劇場を視察。しかし、集客が確実にできるのは日系会館だというのがMY EVENT USAのコーディネーターの弁。来年は「卑弥呼」「羅生門」「釈迦」の字幕スーパー付き三夜連続公演はどうかという。日系新聞社にかなりインパクトのあるアピールができる。話題になり、客が定着すればダウンタウンの小劇場での公演も可能になる。役者としての存在感が認知されればさらなる展開も可能になる。たしかにコーディネーターの提案は的を射ている。まずは確実に集客ができる日系会館でニューヨークでの俳優修行をさせていただこうかと決意を新たにする。
 その日の午後、現代美術の中枢チェルシー地区のギャラリーをめぐる。コーディネーターの紹介でONISHI GALLERY のオーナーと話す機会に恵まれる。氏の話を要約するとアメリカ人は投資目的で作品を購入する。子孫に作品を資産として残す。購入した作品を自分のステータスを上げるために美術館に寄贈する人もいる。美術館に収蔵されるとそれが画家のステータスと知名度を押し上げ、作品の価格が高騰する。コレクターはアメリカの何処の美術館に収蔵されているかを検索する傾向がある。その第一歩を踏み出すためにはまずはチェルシー地区のギャラリーで作品を発表するしかない。売れるかどうかはやってみるしかない。やるからには持続してやり続けるしかない。チェルシー地区のギャラリーは現代美術が中心なので抽象的な「dawn」 シリーズのほうが好まれる。ただし、「sunflowers」は写実的な表現ではないので人気が出る可能性も否定できない。「sunflowers」には1人演劇「ゴッホ」とからめたストーリーをアピールできるというメリットもある。しかし、まずは方向性を統一しなければならない。個性を明確に打ち出すことが肝要なのだ。
 ここで逡巡している場合ではない。話を聞いて心は決まった。まずはONISHI GALLERYで来年個展をするしかないと。個展期間は2018年 5月31日(木)〜6月13日(水)、オープニングレセプションは5月31日(木) かもしくは6月1日(土)。集客をより見込める日をギャラリー側が後日判断して決めるということに。

 11月13日、Christie'sにレオナルド・ダビンチの作品を観に行く。ダビンチが1500年ころに制作した「救世主(Salvator Mundi)」がオークションに出品される前に一般公開されているというのだ。個人コレクターが所有するダビンチの絵画作品としては最後の1点だという。予想落札価格は1億ドル(約113億円)。しかし、Christie'sに着くとあまりの長蛇の列に嘆息を洩らすしかなかった。やむなくMOMAニューヨーク近代美術館へ。ジャスパー・ジョーンズやアンディ・ウォーホルなどの現代美術の巨匠の代表作をじっくりと観た後、夜はスペイン料理を堪能し、その後、ヴィレッジ・ヴァンガードでジャズに浸る。

 あっという間の16日間だった。帰国の飛行機のなかでダビンチの作品が508億で落札されたことをニュースで知る。予想落札価格の4倍以上である。ニューヨークの美術市場のスケールは桁外れだ。来年はアパートを借りて少なくとも数カ月は滞在せねばと心に誓う。世界中の精鋭が集まるニューヨークにはとてつもないエネルギーが渦巻いている。その真っ只中に身を置き、己を磨き、見果てぬ夢を具現化したい。その一心に身を包みながら、福岡のアトリエに戻る。

(了)

 
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