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2017年11月28日 13:21

中国経済新聞に学ぶ~中国企業 日本ブランドを買収加速 チャイナビジネス最前線 

 「TOSHIBA、TOSHIBA、新時代の東芝!」東芝映像ソリューション(株)(TVS)のこのcmのフレーズが以前中国で人気になり、今でも多くの人がそれを覚えている。しかし、この世界的に有名な日本のテレビブランドは今後、中国企業となる。
 東芝はテレビ事業などを担うTVSを中国の家電大手、海信(ハイセンス)に譲渡することを14日に発表し、これまで囁かれていた買収のうわさが真実であることが確認された。
 ハイセンスと東芝の共同発表によると、TVSの株式95%を129億円でハイセンスに売却する。売却が完了次第、ハイセンスはTVSの商品、ブランド、運営、サービスなどのすべての事業を引き継ぐ。売却は来年2月末までに完了する予定という。
 ハイセンスの関連の責任者は取材に対して、東芝(株)が今後もTVSの株式5%を所有することを明らかにした。

 近年、中国のテレビブランドが相次いで世界に目を向けた戦略を打ち出している。前出のハイセンス責任者は、「ディスプレイ技術を皮切りに、当社は現在、家庭、コミュニティー、スマート都市をめぐる産業生態を構築しており、世界戦略を推進している。近年、W杯やUEFA欧州選手権、全豪オープン、F1など、世界的なスポーツ大会のスポンサーになっており、米国や欧州市場で高成長を実現している。中国市場以外に、当社のテレビは南アフリカやオーストラリアでもトップの座に座っている」としている。
 中国の電子視像業界協会の彭健鋒・副秘書長は、「ハイセンスのTVS買収はWin-Winの提携。ディスプレイ産業チェーン全体が少しずつ中国へ場所を移しており、東芝がTVSを経営し続ける意味があまりなくなっている。中国のメーカーと提携すれば資源の効果的な配置と利益の最大化を実現できる」と分析している。
 1990年代半ばから後半にかけて、廉佳、長虹、ハイセンス、TCL、創維などの中国のブランドが台頭し、TVSを含む海外のテレビブランドは大きなプレッシャーを受けるようになった。2010年の時点で、中国の液晶テレビの販売台数は年間4,500万台を超えたものの、そのうちTVSは50万台にも届かなかった。
 2010年、東芝の世界での液晶テレビの販売台数は1,400万台と、世界シェア8%を占めたものの、中国や韓国のブランドの熾烈な競争を経て、11年からは毎年赤字経営となり、複数回の業務改革を実施したものの、回復には至っていない。欧米市場での自主研究開発や生産、販売から撤退し、13年末には中国でのテレビ自主生産を停止した。

 現在、TVSなどの日本のブランドは世界の出荷台数トップ5から姿を消し、コンサルティング会社・WitsViewの統計によると、2016年世界の液晶テレビ出荷台数トップ5は、サムスン、LG、ハイセンス、TCL、ソニーだった。15年の出荷台数と比べると、サムスンが横ばい、LGとソニーは減少しているのに対して、中国ブランドのハイセンス、TCLは国外市場の出荷台数が増加したのを背景に、それぞれ1,330万台と1,320万台に達した。
 ハイセンスのTVS買収は中国の製造業が世界のミドルレンジ・ハイエンドブランドにおいて台頭している縮図にすぎない。現在、ソニー、パナソニックを除く、「メードインジャパン」を武器にする日本ブランドの家電業務の多くが中国企業によって買収・運営されるようになっている。そして、日本ブランドのロゴを掲げるだけの正真正銘の中国商品となっている。

 公表されている資料をまとめると、2015年12月、中国の創維(スカイワース)が東芝のテレビと二槽式洗濯機の製造拠点であるインドネシア社を買収した。また、16年3月に、美的が東芝の白物家電事業の株式80%を買収した。15年、長虹が中国での三洋ブランドのテレビ事業を買収した。12年には、海爾(ハイアール)が三洋ブランドの白物電事業を買収した。11年、家電量販大手・蘇寧は三菱重工のエアコンの中国におけるブランド運営権を買収した。14年、TCLは三洋電機がメキシコにもつ液晶テレビ工場と工場運営会社の株式90%を買収した。16年に鴻海がシャープを買収する前、ハイセンスはシャープの北米でのテレビ事業やライセンス利用権などの買収していた。
 サイト・電科技の徐建文最高経営責任者(CEO)は、「短期的に見て、ソニーがテレビ事業を売却する可能性はない。パナソニックのテレビ事業はすでに中国から撤退した。そのほかの中国での事業は正常で、テレビ事業を売却することは考えにくい。パナソニックのほかの事業は順調で、一部を売却する段階にはない」との見方を示していている。

 しかし、家電業界関係者は、現在の業界の発展動向からして、中国企業は今後もさらに多くの日本ブランドを手に入れていくだろうと予想している。
 日本の家電メーカーを買収しているほか、中国の製造企業は近年、他の国でも「爆買い」を実施しており、自動車メーカー・吉利が10年に、スウェーデンのボルボを米フォードから買収した際は多くの中国人が喜びの声を上げた。
 10年、吉利は18億ドル(約2,000億円)でボルボを買収。この中国自動車史上最大の買収劇は大きな議論を呼び、「弱小の吉利にボルボの再建をする力はない」との声も上がった。しかし、統計によると、ボルボは08年の金融危機の影響から完全に脱し、16年の世界での販売台数が53万4332台と、3年連続で過去最高を更新していた。
 吉利のボルボ買収のほか、聯想(レノボ)がIBMのパソコン事業やモトローラ・モビリティ、海爾が米GE社の家電事業、中国海洋石油がカナダ石油大手ネクセン、TCLがフランスの大衆消費電子メーカトップ4に入るトムソン、美的がドイツのロボット大手クーカ、双匯が米豚肉加工大手スミスフィールド・フーズ、北京首農グループと中信農業がアヒルの一種であるチェリーバレー種の飼育大手、英チェリーバレー・フォームズをそれぞれ買収した。これら各業界の買収劇は大きな注目を集めた。


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