トリビュートの不動産再生(13)「活況続く」2026年の不動産市況

トリビュート    タワーマンションの短期譲渡規制や、投資用不動産を用いた相続税節税への抑制検討、さらには外国人投資家への規制議論など、2025年後半は不動産市況に影響をおよぼしかねないニュースが相次いだ。こうした動きに加え、金利上昇にともなう購入力低下は今後、徐々に顕在化してくると見られる。

 こうした環境変化について、「たしかに相続税対策に特化した投資商品は、淘汰が進むでしょう。しかし、都心部への需要集中という大きな流れは変わらない。不動産マーケットは2026年も、引き続き活況に推移していくと見ています」と語るのは、不動産再生を手がける(株)トリビュート(福岡市中央区)の田中稔眞社長だ。福岡市でいえば、天神や博多駅周辺がその中心となり、なかでも市場を牽引する存在として「ホテル」への投資需要を挙げる。

トリビュートの不動産再生

まだまだ開拓余地ある福岡都心のポテンシャル

 「当社では、入居者のいる建物と敷地を取得し、ホテル開発用地としてデベロッパーへ売却しています。その際、建物は当社が保有し、立ち退き交渉を担当。交渉完了後に解体、もしくは空きビルとして引き渡すスキームで不動産事業を推進しています。『福岡はまだまだホテルが不足している』というデベロッパーの認識は依然として強く、中心部では引き続きホテルアセットへの投資需要が非常に旺盛です」(田中社長)。

 同社では、こうしたデベロッパーとの共同事業を【COVISION】と名付け、福岡市内を中心にすでに複数の実績を積み重ねてきた。現在進行中の案件は、いずれもホテル開発を前提とした計画だ。「立ち退きや権利調整は、時間を要しても慎重に進める必要があります。こうした分野は地場企業に優位性があり、デベロッパーのトレンドやニーズへの理解度の高さは当社の強みだと考えています」(田中社長)。

 博多駅や天神周辺には、「なおポテンシャルを十分に引き出せていない土地も多い」と田中社長。デベロッパーを支える立場だからこそ手がけられる案件も少なくないとし、「再開発の進展によって立地の評価は変化していく。その動向を見極めながら、福岡の都市力向上に貢献できれば」と語る。

藤崎駅3分の好立地 老朽マンションを商品化

 11月には地下鉄藤崎駅から徒歩3分の賃貸マンションを取得した。築40年を超える賃貸マンションで、1階の路面区画にはテナントが入居しているものの、老朽化の影響もあり、住居部分では空室が目立つ状況だった。

 450坪超の敷地面積に加え、西新駅からも徒歩圏にあるなど、恵まれた条件を備えた物件であることから、トリビュートでは建替えによってポテンシャルを最大化することが最適と判断した。現在は立ち退き交渉を進めており、マンション開発用地としての商品化に取り組んでいる。

【永上隼人】

中国との関係悪化による
ホテル事業への影響

 トリビュートでは、博多駅から徒歩8分のオフィスビル・内山東光ビルや、天神周縁の賃貸マンション・レジデンス高砂といった物件の空室を、宿泊施設にコンバージョンして運用している。

レジデンス高砂 客室
レジデンス高砂 客室

    トリビュートのグループ会社・(株)TRホールディングスの専務取締役・永田誠氏は、中国との関係悪化による影響について、「中国人旅行客の割合は累積で内山東光ビルが3%、レジデンス高砂が6%と低水準にとどまっており、影響はほぼありません」と説明する。内山東光ビルの10月の稼働率は100%と非常に好調な推移をたどっており、さらなるコンバージョンも検討していきたい」とした。

 同社では、【COVISION】に加えて小規模物件の取得・運用にも力を入れ、ストック事業の強化も進めていく方針。好立地の狭小地では、小型のホテル開発も計画しているという。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中稔眞
所在地:福岡市中央区渡辺通1-1-1
サンセルコビル6F
設 立:2009年4月
資本金:1,600万円
TEL:092-292-2313
FAX:092-292-2314

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