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2017年12月26日 07:05

ファクタリングの有効活用が、中小企業の活路をつくる

中小企業を取り巻く資金調達の課題

 日本における中小企業数は、全382万社のうち380.9万社と、全企業数の99.7%を占める(2017年経済産業省中小企業庁調べ)。日本の経済活動の大部分を担う中小企業だが、多くは資金調達の面で問題を抱える。中小企業の資金調達は、担保を設定したうえでの金融機関からの借入が主流。しかし、担保となる不動産を保有していない事業者も多く、なかには黒字経営でありながら、借入できず倒産してしまう企業も存在する。
 このような状況について経済産業省でも「中小企業の資金調達を円滑化するため、不動産担保や個人保証に過度に依存した従来型銀行融資ではない資金調達の途を拡大することが強く求められている」とし、売掛債権を流動化による資金調達を推進している。その1つが、ファクタリングサービスだ。

企業を救うファクタリングサービス

 ファクタリングサービスとは、企業の売掛債権をファクタリング会社が買い取るサービスのこと。
 そのメリットとして、まず売掛債権を早期に現金化できることが挙げられる。掛け取引の場合、支払いまでの期間が長いと、資金繰りに影響が出るケースがある。ファクタリングは即日から数日程度で資金化が可能で、急な支払いなどにも対応。
 第2に、ファクタリングは融資ではないため、金融機関からの融資などに比べ審査に通りやすく、担保が不要だ。また借入金ではないため、金利や返済義務も発生しない。
 第3に、貸借対照表のスリム化が挙げられる。バランスシート上、売掛債権をファクタリング会社に譲渡すると、「流動資産」の売掛金がそのまま「流動資産」の未収入金となる。そして、売掛金が支払われると「流動資産」の現金になる。負債にならないため、バランスシートが膨れ上がる恐れがないのだ。負債が少なければ金融機関からの信用にもつながり、あとの融資などが受けやすくなる。
 このようにファクタリングは、売掛債権が増加し資金繰りが厳しい企業にとっては、救いの一手ともいえる。

 ファクタリングの取引は、2社間と3社間に大別される。2社間取引とは、ファクタリング業者とファクタリング利用会社で直接取引すること。まずファクタリング業者が売掛債権を買い取り、利用会社が取引先から債権の支払いを受けたら、ファクタリング業者へ支払うことで成立する。この取引では取引先(売掛先)に知らせなくてよいため、資金繰りに困窮していることを取引先や銀行に知られずに済む。ただし回収リスクも高くなるため、手数料相場は10~30%と比較的高めに設定されている。
 3社間取引は、取引先(売掛先)に了承を得たうえで契約すること。ファクタリング業者が買い取った売掛債権を、取引先がファクタリング業者へ支払う。手数料は1~5%程度だが、取引先が難色を示したり、資金繰りが苦しい会社とみなされ、今後の取引に影響を与える可能性がある。
 ファクタリングでは、手数料のほかに掛目も引かれることになる。掛目の相場は80~95%程度で、売掛先の事業規模や業種・業態によって異なる。

安全な業者を適正に利用することが重要

 福岡にも、ファクタリング業者は多数存在する。たとえば、(株)トラストゲートウェイ(福岡市中央区)は、豊富な経験を生かし、業種を問わずファクタリングサービスを展開する。売掛額50万円~5,000万円までなら最短1日から資金化できる仕組みも、急を要する企業にとってはありがたい。

 同社では、一般的な売掛金買い取りだけでなく、医療機関に向けた‟医療報酬債権ファクタリング”も取り扱う。医療報酬債権とは、医療機関が診療費の保険支払い分を、国民健康保険団体連合会(国保)または社会保険診療報酬支払基金(社保)に請求する債権のこと。同債権は翌々月ころに支払われることが多く、高額な医療機器や薬品類を取り扱う医療機関が資金繰りに困窮するケースがある。同社ではこの医療報酬債権を買い取り、最短1日で資金化する。医療報酬債権は債権譲渡通知が必要なため必然的に3社間取引となるが、他業種のように今後の融資や取引に影響を与える心配はない。
 また、同社は利用会社へのフォローを徹底。たとえば3社間取引で取引先からの了承を得る際、相手に不信感を生じさせず了承を得ることが厳しい場合がある。同社では、利用会社からの要望があれば同行し、信用を損なわないようにサポートする。さまざまな業種を取り扱ってきた実績をもつだけに、業種別のルールなどに応じた対応ができ、取引先の納得感も大きい。
 2社間取引では独自の財務改善プログラムを提案する。一時的にファクタリングを利用することで財務内容を改善へ導き、銀行やノンバンクからの融資を受けやすくするのが狙いだ。金融機関への紹介や取次業務など、顧客ごとに必要な提案を行う同社のサービスは満足度も高く、信頼を獲得してきた。結果、顧客からの案件紹介や、高い口コミ評価を得ることに成功している。

 経産省の推奨もあり、ここ数年で急増したファクタリング会社。なかには、ヤミ金融などによる偽装会社も存在する。一部の悪質な業者のために、ファクタリング自体に懐疑的な意見も存在するが、本来は資金調達を円滑にするための、有用な手法だ。
 中小企業にとっての資金調達は自社の命運をかけた、重要な取引であることも多い。それだけに焦って偽装会社の罠にかからぬよう、注意が必要だ。また、売掛債権の譲渡は将来の収入を消費することでもあるので、ファクタリングに頼り続けると結局首が回らなくなる可能性がある。
 信頼できる業者との適度な取引が常用化すれば、担保がない中小事業者や、新興企業でも資金繰りしやすくなる。中小企業や新興企業の経営がスムーズ化は、日本経済の円滑化につながる。
 経営者は従来の資金調達方法にとらわれず、新しい手法を適切に取り入れていくことが求められる。

【中尾 眞幸】

 
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