2024年05月03日( 金 )

受動喫煙規制、大幅に後退~健康増進法改正案を閣議決定

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 9日午前、政府は健康増進法改正案を閣議決定した。同改正案は受動喫煙対策の強化を目的とするもので、公共の場での禁煙を初めて罰則付きで義務づけた。一方、既存の小規模飲食店については一定の条件つきで喫煙を認めており、当初の厚労省案から後退したかたちだ。

 同改正案では、これまで受動喫煙防止の努力義務を課していた飲食店について原則屋内禁煙とする。既存の小規模飲食店については、「個人経営」もしくは「資本金5,000万円以下」で「客席面積100m2以下」の場合に、「喫煙」や「分煙」などの標識を掲示すれば喫煙を認める。さらに、学校や病院、行政機関などを敷地内禁煙とするが、屋外に喫煙場所を置くことは認めている。

 厚労省の当初案では、喫煙を認める飲食店の面積を30m2以下(厨房なども含む)としており、改正案は3倍以上の面積まで緩和された。公的施設については敷地内全面禁煙を目指していた。

 医療系学会でつくる「禁煙推進学術ネットワーク」は、東京五輪・パラリンピックの開催までに「受動喫煙」をなくすことを目指している。北京五輪(08年)やロンドン五輪(12年)では国をあげた受動喫煙防止策がとられたことなどを例に、14年には都に対して要望書を提出していた。

同ネットワーク、産業医大・大和浩教授のコメント

 「(改正案の)詳細はまだわからないが、喫煙専用室などの分煙策では受動喫煙を完全に防げません。煙は喫煙者の服にも付着するし、喫煙者の呼気などでも受動喫煙することもあります。そもそも、分煙室といってもドアの開閉が『ふいご』のような役割をするので、煙が漏れるのを完全に防ぐことはできないのです」

 

関連記事