2024年04月19日( 金 )

ふくおかFGと十八銀行の経営統合~公取委の不承認を検証する(中)

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明暗を分けた経営統合

1.半年遅れで公取委が承認した第四銀行と北越銀行の経営統合

 そんな中、2017年4月5日、新潟県に本店を置く第四銀行(新潟市)と北越銀行(長岡市)が経営統合で基本合意したと発表。6月に公正取引委員会に経営統合の審査を求める届け出書を提出した。
 県内トップバンクの第四銀行と2番手の北越銀行はともに第一地銀。新潟県の人口減少が著しく経営環境が厳しくなっていることから、金融庁の後押しもあり経営統合することを決めたようだ。
 【表1】と【表2】を見ていただきたい。新潟県における地銀の貸出金および収益力シェア表である。

※クリックで拡大

 

これらの表から見えるもの

・第四銀行と北越銀行が経営統合すると17年3月期の貸出金シェアは82.5%。17年9月(中間)期82.4%。一方競争銀行の大光銀行の貸出金シェアは17.5%。18年9月期17.6%。収益力比較表からも経常収益・経常利益・当期純利益のいずれも80%を超えているのがわかる。

◆そのため公取委は9月から11月にかけて新潟県の約6,900社を対象に、借り入れ状況や金融機関に対する意識などを調べるため、アンケート(有効回答率は約50%)を実施。融資を大企業・中堅企業・中小企業向けに分類し、経営統合が利用者の選択肢を奪うことにならないかを分析していたという。また貸出金シェアが寡占的だったことから、両行が営業する地域を10前後に細分化して競争環境を分析したため、通常よりも時間がかかったと説明している。

◆そのため両行は10月27日、公取委の企業結合審査が想定より時間を要しているとして、経営統合を2018年4月2日(予定)から同年10月1日(予定)に変更すると発表。

◆公取委は2017年12月15日、第四銀行と北越銀行の統合計画は審査の結果、経営統合しても新潟県における金融機関の競争を制限せず、利用者の選択肢が確保されると判断。独占禁止法に基づく排除措置命令を行わない旨の通知を行い、一部店舗のライバル行への譲渡などの承認条件もつけない方針を示し、審査を終えている。
 はたして公正取引委員会は、金融庁をバックにしているふくおかFGと十八銀行の経営統合を今後どのように処理するのだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
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