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2018年06月11日 07:04

魚食普及の情熱を胸に 日本の食卓を支えるアキラグループ(前) 時代を紡ぐ企業110社 

(株)アキラ水産

脈々と受け継がれてきた「薄利多売」と「顧客第一」

 1918(大正7)年に創業し今年100周年を迎えた(株)アキラ水産は、仲卸の(株)コウトク水産、(株)安部水産、(株)一心、加工・通販の(株)アキラ・トータルプランニング、海産物直販を担う(株)四季海せんの5社でグループを形成。福岡の台所「福岡市中央卸売市場」の鮮魚市場で仲買を営むアキラ水産を中心とし、鮮魚介類の仲買や加工、販売を行う海産物のエキスパートとして、近年減り続ける魚食の再復興を目指している。

 アキラ水産は安部泰宏代表取締役会長兼社長の祖父・栄次郎氏と伯父・明氏、父・篤助氏が現在の柳橋連合市場に「明市場」として開業したことから始まる。その後、鮮魚に青果、乾物、呉服まで取り扱う「明百貨店」へと広がっていった。そのころから魚を原価で売り、トロ箱(鮮魚を運ぶための箱で数十銭程度の価格で買い取られるもの)の儲けだけを利益にしていた。今でいう「薄利多売」を当時からモットーにしていたのだ。

 「薄利多売」の精神を徹底した「明百貨店」は顧客からも喜ばれ全盛期を迎えていたが、43年に戦争の激化で閉鎖を余儀なくされた。そして終戦から2年後の47年、福岡市中央区の天神市場で鮮魚小売業を再開させた。ここでも「薄利多売」と「顧客第一」のスタイルは人気となったが、55年ごろに火災が起こり、市場の半分が燃えてしまった。これを機に生鮮部門を現・親富孝通りに移転させたが、立地のハンデや周囲との価格競争が始まったため、小売業に見切りをつけ、仲買業へと転向した。そのころ、高校を卒業した泰宏氏は父の知り合いの鮮魚店で経営のノウハウを学び、2年の修行を経て(有)明商店(現・アキラ水産)に入社。量販店専門の店づくりに変え、一気にシェアを拡大させた。

消費者ニーズの変化に対応し魚食普及に努める

 しかし近年では、魚を取り巻く環境は激変。「獲れない、売れない、食べない」のないない尽くし。漁獲高も年々減少し続け、市場全体の売上は全盛期の3分の1まで落ち込んでいる。加えて若者の魚食離れも進み、調理に手間のかかる丸魚を買って調理する人が少なくなっている。しかし、安部代表は「魚が売れないのはおいしくないからではなく、手間がかかるからだ」と考える。

 「手間がかかるところを我々がすべて行えば、きっと多くの人に魚を食べてもらえるはずです。そういう想いのもと、2016年7月に古賀工場を建設し、17年には市場内の工場をリニューアルしました。従来の捌いておろすことが中心だった一次・二次加工から『焼く』『煮る』『揚げる』『蒸す』といったあらゆる加工ができる設備をそろえてさまざまな商品の開発を進めています」(安部代表)。

 昨今、家庭では魚を捌ける人自体が少なくなっている。共働きの家庭が増えるなか、手間がかからず食べられるような商品は重宝される。魚が嫌いなのではなく、魚を料理する手間が嫌いだという人は少なくないだろう。厳しい業界環境にあっても、「どうすれば、もっと魚を食べてもらえるのか」を常に自問自答し、顧客の目線で商品を生み出していく。それが同社の強さの1つだ。同社が手がける人気商品「アキラの鯛茶」などもおいしく食べてもらうための工夫といえる。

 商品開発だけではない。安部代表は全国水産物卸組合連合会副会長、九州地区水産物卸組合連合会会長、福岡市鮮魚仲卸協同組合理事長などを歴任し、福岡魚食普及推進協議会会長として、08年から魚食普及イベント「市民感謝デー」を毎月第2土曜日に開催している。75歳を過ぎた今も現役として同イベントに参加し、魚食の素晴らしさを自ら伝えている。

 また、同社は鮮魚仲卸として全国で初めてISO9001の認証を取得(06年4月)。加工場でも厚生労働省が定める食品衛生管理の国際基準であるHACCP(ハサップ)仕様とし、顧客に食の安心と安全を届けている。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:安部 泰宏
所在地:福岡市中央区長浜3-11-3-711
設 立:1969年9月
資本金:4,850万円
TEL:092-711-6601
URL:https://www.akirasuisan.co.jp

<プロフィール>
安部 泰宏(あべ・やすひろ)
 1939年3月福岡市生まれ。福岡大学附属大濠高校卒業。(株)アキラ水産の代表取締役会長兼社長を務める一方、全国水産物卸組合(連)副会長や九州地区水産物卸組合(連)会長、福岡市鮮魚仲卸(協)理事長を務める。2005年に藍綬褒章、11年に旭日雙光章を受章。

 
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