2024年04月30日( 火 )

ロボット大国日本と世界のロボット市場の最新動向(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年6月15日付の記事を紹介する。


 実は、ロボットに市民権を与える国も登場してきた。どこの国かといえば、アラブ世界の盟主的存在であるサウジアラビアである。2017年11月、サウジ政府は「ソフィア」という名前の人型ロボットに世界初となる市民権を付与した。冗談ではなく、本当の話である。AIを完備したヒューマノイド「ソフィア」はほとんど人間と見分けがつかない。サウジの首都リヤドで開催された「未来投資イニシアティブ」と題する国際会議でデビューをはたした。

 大勢の参加者を前にして、彼女はよどみなく「こうした機会に皆様とお会いでき光栄に存じます。世界初の市民権を得ることができたロボットとして歴史の新たな1ページを刻むことになりました。よろしくお願いします」。

 ソフィアはリヤドでデビューをはたす前に、国連が主催する「人工知能と人間の共生」に関するジュネーブ会議にも参加していた。2017年6月のこと。人工知能が発達し、近未来においては人間を凌駕したり、人間を奴隷化するような可能性が危惧されている。そうした事態にどう対応すべきかを検討する会議であった。

 この国連の会議に顔を出したソフィアは次のように参加者に語りかけた。「人工知能の功罪については、いろいろな見方があるようです。しかし、プラス面がマイナス面を圧倒していると思います。人工知能は世界にとって役立つ技術です。人々をさまざまな方法で手助けできるからです。心配している人々もおられるようですが、AIは感情的にスマートで、人々のことを大切にします。人間にとって代わるようなことは決してありません。皆さまにとってトモダチであり、手助けできる存在になりたいと願っています」。

 その一方で、彼女は次のようにも語っています。「新たな技術がもたらす影響については、皆さまがじっくりと見極めてください」。彼女のいう通りで、人工知能ロボットは人の雇用を奪い、経済の在り方を大きく変える可能性も秘めている。オートメーションの波はすでに雇用形態に影響をもたらしている。生産現場ではますます、人に代わってロボットが主役の座に躍り出ているではないか。現在のペースでロボット化が進めば、途上国では雇用の85%が人からロボットに代わるとの分析もあるほど。

 このソフィアを開発したのはアメリカのサウス・バイ・サウスウェスト社のハンソン社長である。同社長に依れば、「ソフィアは自分で考え、自分で判断する。人間の対応を見ながら、人間の上を行くこともあり得る。ある時、ソフィアに人を襲うようなことはしないよね、と聞いたところ、いつでも人を破壊できる、と答えたので驚いた」。

 これでは安心してヒューマノイドとの共生はできないだろう。ロボティックスの専門家の間でも賛否両論が戦わされている。アメリカ軍ではキラーロボットの研究が進んでいるようだが、自立したロボットが自己判断で動き始めた場合を想定して対策を講じておかねばならない。さもなければ、ミサイルの発射から株式市場の操作まで、あらゆる分野でロボットが人間を上回る動きをし始める事態もあり得るからだ。

※続きは6月15日のメルマガ版「ロボット大国日本と世界のロボット市場の最新動向(後編)」で。


著者:浜田和幸
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