• このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年06月25日 11:06

韓国経済危機説の真相(前) 韓国経済ウォッチ 

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 最近、韓国経済が危機に陥る可能性があるとする警告をあちこちで耳にするようになった。もちろん、今すぐ韓国経済が崩壊するという話ではない。しかし、現在の韓国経済が一見好調に見えても、未来の対応を間違えると、危機に陥るような兆しが見えているのだろう。実際、韓国経済を取り巻く環境には不透明感が高まり、将来を予測することが難しくなっている。その代表的な例を挙げるなら、米中の貿易戦争と、米国の利上げである。

 米国のトランプ大統領は自国の貿易赤字を解消すべく、中国製品に25%の報復関税を課すことを発表した。それを受け、中国の習近平国家主席も米国の農産物などに、同じ率の関税を課すことで応戦した。米中が貿易摩擦を起こし、衝突すると、経済の輸出依存度の高い韓国経済にとって、大きな打撃になることは火を見るより明らかだ。

 米・中が韓国の輸出に占めている比重は、全体のなかで36.7%だ。もし米国、中国、EUが関税を10%引き上げたら、韓国の輸出額は367億ドル減少するという統計も出ている。この輸出減少額は韓国の全体輸出金額の6.4%に当たる。米国の報復関税で、中国の米国への輸出が減少すると、当然韓国の輸出にも影響が出る。

 韓国の対中国の輸出は昨年1,421億ドルだった。そのなかの78.9%は中間財の輸出で、部品、素材などで構成されている。中国は韓国から部品、素材などを輸入し、それを加工、組み立てし、米国に輸出している。米国の関税によって中国の米国への輸出が減少すれば、韓国の中国への輸出もおのずと減少する。それに、この貿易戦争は拡散され、EU、日本なども巻き込まれることになる。世界に保護貿易の機運が高まれば、韓国経済にとっては長期的なマイナス要因になりかねない。

 もう1つは米国の利上げである。アメリカは世界金融危機を乗り越えるため、超低金利政策を展開してきた。しかし、2015年12月から利上げを開始し、その間、6度の利上げを実施した。その結果、現在の基準金利は1.5%~1.75%になっている。ところが、米国の度重なる利上げ政策により、新興国から資金が流出し、新興国の金融、貨幣などが不安定になりつつある。

 米国の連邦準備委員会の調査によると、米国が1%の利上げを実施すると、新興国のGDPは0.8%縮小するという研究報告がある。低金利政策が続く中で、世界各国は借金が大幅に膨らみ、負債が2016年基準で世界GDPの225%に達し、世界金融危機が発生した2008年よりも12%高いことが問題として指摘されている。

 それでは、なぜ韓国経済危機説は流れているのだろうか。韓国経済を支えてきた石油化学、造船、鉄鋼などは中国の追撃で、徐々に産業競争力を失いつつある。現在は半導体だけが絶好調で、韓国経済は何とか輸出好調が続いているが、詳細を調べると、半導体偏重と大企業偏重が大きな懸念材料となっている。とくに、鉄鋼、ディスプレイなどで韓国を追い越した前例のある中国は、自信をつけて、次の狙いを半導体に定め、国を挙げて半導体産業の育成に血眼になっている。さらに、将来の有望産業と見なされている人工知能、自動走行などにも中国は莫大な資金力を背景に、投資を集中させ、米国と世界の覇権を競うほどになっている。もし中国の脅威が現実になった時、韓国経済はどのような危機に陥るか専門家は警鐘をならしているのだ。

(つづく)

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年08月17日 08:00

モダンプロジェが大名に本社移転

 モダンパラッツォシリーズの賃貸マンション企画会社・モダンプロジェが17日、本社を移転した。新本社は今年2月に完成していた「モダンパラッツォ大名」の10階。2階はテナ...

2019年08月17日 07:30

寝室が変われば人生が変わる 健康住宅専門店、早稲田ハウス

 「睡眠負債」という言葉がある。毎日の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響をおよぼすおそれのある状態だ。これを放っておくと、肥満や2型糖尿病などの代謝疾患の...

2019年08月17日 07:10

香港、マカオ、深圳 視察報告 「世界一港湾都市」奪取計画の現在地(前)

 東京、ニューヨーク、サンフランシスコが世界3大港湾都市圏とされている。中国は今、これらを凌駕する世界一の港湾エリアを建設している。香港、マカオ、そして深圳などを含む...

2019年08月17日 07:05

LINE、ANA、福岡市が共同で「ドローンで産地直送」の実証実験

 バーベキュー会場から、LINEでアワビやサザエを注文すると、玄界島から産地直送の新鮮食材がドローンで届ける実証実験が8月1日に福岡市西区で行われた。実証実験は、LI...

2019年08月17日 07:00

【夏期集中連載】金融機関を取り巻く現状(前)

 日銀のマイナス金利政策が3年以上続く中、金融機関は依然として厳しい経営環境にある。しかも、少子高齢化が進展する日本では、国内産業全体の大きな発展は今後も望むべくもな...

2019年08月16日 08:00

【企業研究】老舗百貨店の矜持と覚悟

 創業84年の(株)井筒屋。これまで北九州・小倉を拠点に福岡・大分・山口において店舗展開を行い、九州地場百貨店の代表格としての地位を有していたが、時流とともに栄枯盛衰...

2019年08月16日 07:30

田舎がアニメに「出る」理由~地方の疲弊とアニメ会社の収益改革

 7月28日、所用で唐津に行くと、駅の改札のすぐ近くで「ゾンビ」に遭遇した。といっても、本物ではない。アニメ「ゾンビランドサガ」のキャラクターに扮した同作のファン、い...

2019年08月16日 07:06

“未完成”をメリットに進化を続ける機能性表示食品制度!~4度におよぶアクティブな改正で制度自体が業界をけん引!

 健康食品業界を大きく変えたといわれる「新たに機能性表示を可能とする仕組みの整備」が2013年6月14日に閣議決定されてから、早いもので6年の月日が流れたことになる。...

2019年08月16日 07:05

中小企業の現場で実現できるのか 働き方改革の課題とこれからの展望(後)

 働き方改革の時代は、働き方が異なる人がお互いに力を合わせて仕事するパッチワーク型、モザイク型のチームワークになると予想している。バリバリ働く人だけでなく、介護や育児...

2019年08月16日 07:00

『盛和塾』稲盛塾長、最後の講演(10)

 京都の地から始まり、全世界に広がった盛和塾という組織そのものは、本年12月をもって幕を閉じることになります。しかし、これからもフィロソフィを学び続けると同時に、その...

pagetop