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2018年07月02日 11:54

ふくおかFGと西日本FHを検証する(前)

1.ふくおかFGと十八銀行の経営統合が再燃

 2016年2月26日、ふくおかFGと十八銀行が【表1】のスケジュールで経営統合することで基本合意。長崎県内で長年ライバル関係にあった十八銀行と親和銀行が2018年4月1日に合併予定と発表。長崎県に預貸金シェアが70%を超える銀行の誕生は九州の地銀だけではなく、全国の地銀に「経営統合はいつどこでもありき」との憶測を呼び、大きな衝撃を与えた。

◆申請を受けて公正取引委員会は独占禁止法に基づき審査を開始。5月に長崎県内の企業約3,000社を対象に調査を実施。結果は「借りる先がほかになくなる」との回答が多かったという。
 公正取引委員会は、『統合により長崎県内の貸出シェアの約7割を超える寡占行が生まれることで、貸出先の選択肢がなくなる可能性がある』と問題視。

◆ふくおかFGと十八銀行は2017年1月20日、公取委が寡占の弊害懸念を指摘し、審査が難航していることから、経営統合を半年延期すると発表。

◆公取委は長崎県内の取引先企業に対し再調査を実施。その結果、「競争が制限され貸出金利引き上げなど融資先が不利益を被る恐れが強い」との多数の意見を受けて、再度『現状では統合を認可しない』方針を決めたといわれる。それを受けてふくおかFGと十八銀行は昨年7月25日、寡占を懸念する公取委の審査が長期化しているため、無期限での統合延期を発表した。

◆ふくおかFGと十八銀行は今年5月7日、再度経営統合に前向きな姿勢を示し、「長崎県経済の活性化に貢献する経営統合の実現に向けて」を発表。寡占的になることを避け、競合する西日本FHの傘下にある長崎銀行に債権譲渡および店舗譲渡するとしている。譲渡する側と譲渡を受ける側のバックには、ふくおかFGと西日本FHが控えている。この2つの金融持株会社の実力をこれから検証していくことにしたい。

2.ふくおかFGと西日本FHの経営成績について。【表2】を見ていただきたい。

(1)経常収益について

この表から見えるもの

◆ふくおかFGの連結経常収益は前期比+59億円の2,375億円(0.8%増)。西日本FHは前期比▲32億円の1,426億円(▲2..2%)。日銀のマイナス金利政策は西日本FHに大きく影響したようだ。その差は949億円で1.6倍となっており、ふくおかFGの強さがわかる。
・単体を見ると福岡銀行は前期比▲7億円の1,720億円(▲0.4%)とマイナスは福岡銀行だけだっ
た。増加額が大きかったのは西日本シティ銀行で前期比+34億円の1,399億円(2.5%)。増加率が
大きかったのは熊本銀行で前期比+18億円の256億円(7.7%増)となっている。

(2)経常利益について
◆連結で見るとふくおかFGは前期比+1,060億円の716億円。前期▲344億円となった要因は、傘下の熊本銀行と親和銀行を統合した時点の「負ののれん代」の1,834億円だった。統合後10年間で累計886億円を償却し、残り948億円を約10年をかけて年間92億円ずつ均等償却する予定だったが、日銀のマイナス金利政策の影響を見越して、17年3月期に「負ののれん代」を前倒し償却したからだ。金融環境が大きく変化していることを見据え、将来の変化に対応する余力を確保するための最善の策だったといえよう。西日本FHは前期比+69百万円の339億円(0.2%増)と微増だった。

◆単体で見ると経常利益のマイナスは福岡銀行だけで前期比▲30億円の570億円(▲5.2%)。西日本シティ銀行は前期比+71億円の411億円(21.2%増)と大きく増加している。増加率トップは熊本銀行で前期比+37億円の64億円(141.1%増)となっている。次が長崎銀行で前期比+170百万円の691百万円(32.9%)だった。

(3)親会社に帰属する当期純利益について
◆連結で見るとふくおかFGは前期比+1,036億円の493億円と黒字転換している。いっぽう西日本FHは前期比▲7億円の214億円(▲3.4%)と二期連続してマイナスとなっている。日銀のマイナス金利政策の影響がじわりじわりと出てきているように見える。

◆長崎銀行の当期純利益や収益を見る限り、顧客がすんなりと長崎銀行をメイン行にするとは思われない。ふくおかFGと十八銀行は何としてでも経営統合したいとしているが、はたして公取委はどのような判断を下すのだろうか。

・表にはないが九州FGは16年3月期、肥後銀行と鹿児島銀行の経営統合にともなう「のれん代」の発生益884億円を一括処理し1,084億円の当期純利益を計上。これはふくおかFGとは違い両行の経営基盤がしっかりしていたことを示している。

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(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
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