2024年10月16日( 水 )

【長崎・茂木】旅人と地域の交流から生まれる『体験型観光』

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NAGASAKI HOUSE ぶらぶら

 公共施設の建替えを始め、再開発に沸く長崎市中心部から車で約15分。都会の喧騒から離れた静かな港町のゲストハウスが、地域活性化への挑戦を続けている。未経験から始めた宿泊ビジネスで、旅人たちとの交流を通してみえてきた可能性とは――。

『体験型観光』を創出

NAGASAKI HOUSE ぶらぶら
 NAGASAKI HOUSE ぶらぶら

 江戸から明治にかけて、島原・天草・肥後・薩摩と長崎を結ぶ海上交通の要所として問屋や旅館・料亭で栄えた茂木(もぎ)。交通機関の発達とともにその役割は減り、今では、にぎやかな長崎市街地とはうって変わった静かな港町として存在する。

 その茂木で廃業した旅館を再利用し、2015年8月にオープンしたゲストハウス「NAGASAKI HOUSE ぶらぶら」が3周年を迎えた。前職は不動産会社の営業マンという大島徹也代表は、「使われていない不動産を活用し、旅人と地域の方たちをつなぐ場をつくろうと、未経験ですが、旅仲間が集まり、試行錯誤を繰り返しながら続けてきました」と振り返る。

 オープン当時は、ちょうど長崎の主要産業である造船業で大型客船を建造中。外国人労働者の宿泊先として重宝され、順調なスタートを切った。しかし、それは、ゲストハウスとしての本来のあるべきかたちではない。「田舎には田舎の良さがある」と「ぶらぶら」の仲間たちは、茂木のまちの人々との交流を深めながら、茂木に“来る理由づくり”を始めた。

国際交流も魅力の1つ

 

元高級旅館ならではの設備
元高級旅館ならではの設備

 

 始めに、旅人目線で茂木の魅力をブラッシュアップ。長崎で一番歴史のある神社、地元で有名な老舗菓子屋やパン屋、銭湯など、まちの魅力をオリジナルの地図やネットで発信した。加えて、地元の人々の協力を得て、とれたての野菜や魚など地元の食材を使った料理教室、タイ式整体法、コーヒー焙煎、型絵染体験、ステンドグラスづくり、ペーロン、海釣りなど『体験型観光』のプログラムをつくり上げた。

 透き通った茂木の海

 さらに昨年夏からは、SUP(スタンド・アップ・パドルサーフィン)体験と手ぶらで楽しめるBBQ(バーベキュー)がスタート。「ぶらぶら」からも見渡せる茂木の透き通った海が、日常では味わえない情緒を引き立てる。SUP体験は、ほかの地域からも声がかかるなど好評だ。

 「ゲストハウスは、まちづくりとの親和性が高いのではないかと感じています。今後も地域の活性化につながるように続けていきたい」と語る大島氏。若者や他の地域から来た人たちが集まるコミュニティで生まれたアイデアが、地方創生に大きなヒントを与える可能性は高い。

【山下 康太】

<INFORMATION>
NAGASAKI HOUSE ぶらぶら

所在地:長崎市茂木町2190-11
TEL:095-836-0306
FAX:095-836-0450
URL:http://nagasakihouse.com/

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