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2018年08月10日 10:35

シシリー島便り・日本人ガイド、神島えり奈氏の現地レポート~資格取得に挑む(前)

 今回は、これまでシシリー島で資格を取得するために挑んできた自身の経験を語ろうと思う。パレルモ市で仕事を始めたのは、地元の旅行手配会社で働くことを決めたからだ。主に日本人観光客、そのほかスペイン人、アメリカ人観光客などを相手にする会社だった。大学を卒業後、数年就職をした後、人生で初めて海外で仕事をすることになったわけだが、不安よりも、やる気に満ちた自分がいた。

 当時のシシリーは、在住する日本人が、今よりさらに少なかったので、会社にとって私は貴重な存在だった。会社の雰囲気は、とても良かった。すでに10年以上、日本人観光客を相手にしている会社だったので、社員たちが日本人の性格を熟知していたこともあるだろう。

 現地での滞在期間が長くなればなるほど、現地人の特徴、性格、習慣などが理解できるようになり、外国で日本人を相手にする仕事の難しさを実感した。

 シシリーでは誰もが日本人の几帳面さ、計画性がすばらしいと称賛してくれた。日本人は、あらかじめ、あらゆる可能性を検討し、問題を起こさないように努める。これは日本人特有の性質だと思う。シシリーの人たちは私に「日本人は予想していなかった問題が、万が一起きた際、パニックにならないのか?」とよく聞かれる。

 日本人の問題発生時の改善力をシシリーの人にも見習ってほしいと思うことが多々ある。シシリーでは何年、何十年経っても問題が放置されていることが少なくないからだ。たとえば、ゴミ問題がそうだ。ゴミ収集率の悪化、分別ごみが徹底されていないなど課題が山積みだ。

 少々、話がそれてしまったが、私は日本人観光客の旅行手配や緊急時サポートなどもした。会社での事務仕事は単調だったけれど、ラジオを聴きながら仕事ができるなど、比較的自由な社風だった。社員は15人程度という小さな会社ではあったが、まとまりがあり、チームワークが良かった。

 勤務時間は午前9時から午後1時までで、その後、皆一度帰宅し、昼食を家で食べる。その後、一休みし、再び午後4時に出社、午後7時まで勤務する。土曜日は午前中のみの勤務だ。しかし、ある時は、夜中に日本人観光客の男性の鼻血がとまらず、午前3時に電話で起こされ、病院に同行したこともある。

 シシリーで結婚、出産後、子どもが1歳になるまで産休をとらせてくれた。普段ならそのまま家庭に入るのが日本の文化かもしれないが、両親共働きも多いシシリー島では、やはり2人で働かないと経済的に厳しい。

 月日を経て2010年、シシリー州が、現地案内ガイド資格試験を実施するので、申し込みをしてみたらと声をかけられた。あまり深く考えていなかったが、何となく申し込み手続きをした。試験日が公表されたのは、その2年後、ほとんど忘れかけていた。

 シシリー州の4都市に試験会場が設置され全州で受験者が3万人を超えた。州都となるパレルモ市では12月9日、1日目の試験が開かれた。試験は事前にそれぞれ25人ずつのグループに分けられる。口頭試験のみの一発勝負だ。試験は週に2回ほど、つまりだいたい50人ぐらいが毎週試験を受けるかたちになる。12月に始まった試験は、翌6月まで続いた。

 試験日が発表されたのは10月、試験がある12月までの約2カ月間、仕事をしながら、当時まだ小さかった娘たちの面倒もみた。家庭と仕事との両立で勉強する時間はあまりなかった。しかし、せっかくの機会だ、頑張ろうと気力を震い立たせ、家族が寝た後、夜中や、明け方に勉強をした。

 寝不足で昼間の仕事がきつく、大学受験を思い出した。身体的に辛い毎日だったが、精神的にはとても充実していた。勉強をすればするほど、それまで長い間住んでいて、気にすることがなかった街並みを以前とはまったく違った印象で見られるようになり、勉強するのが、どんどん楽しくなった。

(つづく)

<プロフィール>
神島 えり奈(かみしま・えりな)
2000年上智大学外国語学部ポルトガル語学科を卒業後、東京の旅行会社に就職。約2年半勤めたのち同社を退職、単身イタリアへ。2003年7月、シシリー島パレルモの旅行会社に就職、現在に至る。

 

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