問題噴出、機能性表示食品制度と向き合うためには(前)
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エフエスラボ(株) 代表取締役 佐藤 大吾氏
施行から3年が経過した機能性表示食品制度。行政の成長戦略の施策として2015年から施行され、公表件数は1,300を超えた。その一方で、届出から2年以上経過しても公表されない商品や公表の撤回が多く、公表されている商品の販売会社の景品表示法による行政処分など、さまざまな問題が噴出している。制度そのものはどうあるべきなのか。機能性表示食品のCRO事業を手がけるエフエスラボ(株)代表取締役・佐藤大吾氏に現状を聞いた。
――機能性表示食品の届出をめぐる問題が年々多くなっていますが・・・。
佐藤 15年に制度が開始されましたが、当初は特定保健用食品(トクホ)よりもハードルが低くなり、中小企業や異業種など、どの企業も適切な商品を開発すれば、トクホ並みの表示が可能となり、市場参入できるという流れだったのですが、逆に年々ハードルが上がっています。これは制度の内容云々ではなく、運用に問題があるかと。その要因と1つして、行政と事業者、消費者へのコミュニケーション不足があるのではないかと強く感じています。そもそも届出をする企業各社が自己責任のもと、ガイドラインなどで確認すれば良いのですが、難解な部分が多々あり、大きな問題となっているかと思います。
――具体的にどういった問題があるのでしょうか
佐藤 制度内容を社内で学び、理解・浸透させる取り組みが薄く、またそうした部署・人材もいないことで、ただ自社商品を機能性表示食品にするという目的でCROやコンサルタントに丸投げしているケースが多いです。しかし、外部も必ず機能性表示食品として公表できるという約束ができない。つまり公表に関する「答え」をもっているわけではなく、方法論までしか伝えられないので、その方法論に依頼企業が納得すれば進めるというかたちです。企業により、制度を理解するスタッフが揃っていたり、その姿勢で取り組んでいたりすれば良いのですが、外部に丸投げで体制を敷かない、または敷けない企業が圧倒的に多いことから、ハードルがさらに高くなっていると思います。
――丸投げという部分では、受託製造との関係と同じですね。製造も実質委託している企業がほとんどですし。
佐藤 そうですね。販売企業はトクホでももっていない限り、今まで自社で行政への届出をする機会はなかったわけです。しかし市場状況を見て、この制度に対応しなければ、これから販売するのが難しくなっていることを感じているから取り組んでいるのだと思います。
――機能性表示食品制度の導入は時期尚早だったという声もありますが・・・。
佐藤 時期尚早だったのかはわかりませんが・・・。ただ、行政は健康食品産業が成長産業とみて成長戦略の1つとして、この市場を伸ばすためにつくられた制度のはずだったのが、実際は行政の施策が業界側の考えと乖離しているのではないかと感じます。つまり、規制緩和として捉えていたのが、半ば規制強化のような制度と感じているところもあるのではないでしょうか。
(つづく)
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