2024年04月20日( 土 )

平和で豊かな世界の実現を~ヤッファ・ベンアリ駐日イスラエル大使に聞く(2)

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ヘブライ語と日本語の共通性

国際政治経済学者 浜田 和幸 氏

 浜田 こちらこそ嬉しい限りです。さて、実際、日本の土を踏んでの第一印象は如何でしたか。

 ベンアリ イスラエルも日本も国土面積でいえば、小国の部類に入ります。しかし、人材という資源を最大限に活用し、世界と向き合う姿勢には大いに共通点があると、日々実感しています。日本人の何気ない仕草や日常生活の隅々にまで行き届く相手に対する思いやりの気持ちには感謝するばかりです。まさに「懐かしさ」と「意外さ」(伝統と革新)との出会いに興奮しています。そんな経験ができ、毎日が外交官冥利に尽きる幸せを噛みしめているというのが本音です。

 浜田 これまで東京以外の地に足を運ばれましたか。

 ベンアリ まだ限られた場所にしか行けていません。たとえば、箱根、富士山、京都、大阪といった程度です。これからできるだけ多くの地方を訪ねてみたいと願っています。日本人の心を理解するには、各地の自然や文化に触れることが欠かせないと思うからです。イスラエルにも地震はありますが、火山はありません。日本は歴史的にも大きな火山の噴火を経験していますが、あれだけ激しい自然の猛威に晒されていながら、日本人の物静かな心根や自然を敬う気持ちが根強いのは、どこに原因があるのか。自分なりに探求してみたいと考えています。

 浜田 日本は環太平洋の火山帯「リング・オブ・ファイアー」を形成しているので、火山活動も地震も日常茶飯事です。人知を超えた自然界のメッセージとしての意味を見出そうとする考え方も日本人の精神構造に根付いているようにも思います。同じように「言霊信仰」といわれるように、言葉を大事にする文化があります。大使は日本語に関心をおもちのようですが、来日されてから日本語の学習にも取り組んでおられるのですか。

 ベンアリ 日本語に関しては、まだ初心者です。これまで多くの国で仕事をしてきたため、任地の言葉もできるだけ学ぶ努力を重ねてきました。英語でもセルビア語でも自信はあるのですが、日本語でスピーチをするレベルに達するには相当時間がかかりそうです。いまは個人教授をお願いして、日本語の学習に励んでいます。ヘブライ語と日本語には驚くような共通性もあるので、我々ユダヤ人と日本人が遠いルーツで結ばれているような気持ちにもなります。これから日本語学習を本格化させるつもりです。日本人を理解するためには日本各地の自然に触れると同時に、日本各地の人々と直接コミュニケーションできればと思っています。

 浜田 それはすばらしいことですね。実は、日本語のできる各国大使の集いがあります。総理官邸でも定期的に会合がもたれています。ぜひ、次回の対談は日本語でお願いしたいものです。

 ベンアリ ご指導のほど、よろしくお願いします。

(つづく)

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