2024年04月19日( 金 )

群雄割拠のホテル開発 県外からの福岡進出の狙いは―(前)

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博多駅周辺エリアを中心に新たなホテルが次々と開業

 福岡市内でのホテル開発ラッシュが止まらない―。

 今年3月には、サムティ(株)(大阪市淀川区)が博多駅前2丁目で「エスペリアホテル博多」(地上14階建・全287室)を開業した。サムティは、中長期経営計画「Challenge40」において「ホテル開発事業の展開」を重点戦略の1つに掲げ、2015年度からの5年間で約530億円(開発用地+建築費)のホテル開発投資を行う計画を立てており、「エスペリアホテル博多」はその第1弾。JRおよび福岡市営地下鉄の博多駅から徒歩約3分という利便性に優れた場所に立地し、ビジネス層およびインバウンド客をメインターゲットとした、宿泊特化型のホテルとなっている。

 その「エスペリアホテル博多」からほど近い場所には、4月に「ネストホテル博多駅前」(地上12階建・全160室)が開業した。運営会社はネストホテルジャパン(株)(東京都港区)、所有者は総合不動産サービス事業などを手がけるいちご(株)(東京都千代田区)の100%連結子会社である(同)泊多匿名組合。「陸・海・空において非常に優れた交通利便性を有する福岡市は、国内外からの観光客数が年々増加しています。観光名所が多く自然と街が融合する九州観光において博多は拠点となり、ビジネス需要も併せて宿泊ニーズは非常に旺盛です。このような環境下、本ホテルは博多駅徒歩 5 分の立地優位性があり、こうした宿泊ニーズを捉えることが期待できます」(いちご)としている。

 5月には、ワシントンホテル(株)(愛知県名古屋市)が博多駅前4丁目の住吉通り沿いに「R&Bホテル博多駅前第2」(地上12階建・全283室)を開業した。同社は、福岡市内ですでに「R&Bホテル博多駅前第1」(博多駅前3丁目)と、「博多中洲ワシントンホテルプラザ」(中洲2丁目)を運営していたため、この「R&Bホテル博多駅前第2」が3つ目だが、今後も福岡市に限らず大都市圏の立地の良い場所に、積極的にホテル展開をしていく方針だ。

 6月には博多駅南1丁目で、東急不動産ホールディングスグループの東急ステイ(株)(東京都渋谷区)が「東急ステイ博多」(地上11階建・全216室)を開業した。1泊から長期滞在まで対応するスタイルが特徴のホテルブランド「東急ステイ」は、これまで主に東京の中心部で展開されていたが、この「東急ステイ博多」が九州初進出となった。なお、「東急ステイ」は19年2月には中央区春吉3丁目で「東急ステイ福岡天神」(地上13階建・全252室)の開業も予定。出店理由については「ビジネス需要や国内レジャーでの需要に加えて、訪日外国人旅行客が増えていることから、出店エリアとして選択させていただきました」(東急ステイサービス)。今後も、同ホテルブランドの全国展開を加速させていく方針だという。

 WBFリゾート沖縄(株)(沖縄県豊見城市)は、7月に中洲3丁目で「ホテルWBF福岡中洲」(地上13階建・全134室)を、8月には博多駅南2丁目で「ホテルWBFグランデ博多」(地上14階建・全275室)を立て続けに開業した。中央区春吉3丁目には同じホテルグループの「ホテルWBF福岡天神南」(17年3月開業)があり、福岡の多様化する観光・ビジネスニーズに応えていくとしている。

 また8月には、静岡鉄道(株)(静岡市)が博多駅前4丁目で「静鉄ホテルプレジオ博多駅前」(地上14階建・全182室)を開業した。静岡鉄道では第二期中期経営計画においてビジネスホテル事業を成長事業として位置づけており、事業エリアの拡大と多店舗化に取り組んでいくとしている。今回の「静鉄ホテルプレジオ博多駅前」は、静岡鉄道にとって、ビジネスホテル事業として初の県外進出となる。その進出先に福岡を選んだ理由については、「福岡市は国内屈指の国際会議の開催都市でもあり、豊富な国内外のビジネス需要に加え、レジャーおよび観光需要を取り込むことを見込んでいます。また、都市基盤として魅力的なホテルマーケットがあり、今後、さらなる発展を目指そうとする勢いが福岡にはあります。将来にわたり成長意欲が高く、ホテルマーケットとしても期待できることから、弊社ホテルブランドを発信する場として、ビジネスの幅を広げられる可能性を強く感じており、今回の出店を決めました。弊社では、10棟体制を当面の目標において、静岡県のみならず東京から福岡までの主要都市への出店を目指していますが、他の候補都市とともに、福岡でも適地があれば検討していきたいと考えています」(静岡鉄道・広報)としており、今後は東京から福岡までの主要都市を重点エリアとして、さらなる出店を進めていく方針だ。

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(つづく)

【坂田 憲治】

(後)

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