決算対策としての生命保険
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日本企業のうち、実に99%以上が中小企業です。また国税庁によると、3月決算の法人数が全体の約20%、次いで9月決算の法人数が全体の10%を占めており、2番目に多い決算月となります。経営者の多くは、決算月の前後は多忙となり、バタバタ決算月を迎えたという経験がおありだと思います。
それで今回は、決算対策について取り上げてみましょう。決算において、本業の申告については顧問税理士が、その企業に対して有効な経理処理、税務処理を指導すると思いますが、その決算見込みに対しての対策についてお話しします。
決算時の経営者(事業主)のお悩みとしては、「決算時期に確定した利益を繰り延べたい」「利益を資産化したい」「緊急時の予備資金を確保したい」「将来の事業承継について対策を打ちたい」などが考えられます。対策としては「オペレーティングリース」「生命保険」「不動産の減価償却、売買」「社会保険対策」などがありますが、そのなかでも経営状況に応じて柔軟に対応ができるのが、「生命保険」です。
「生命保険」とは本来、経営者に万が一のことがあった場合の備えです。近年は経営者がご存命でも、生活障害状態になられた際に支払われる保険金で法人の経営に備えることができる「生活障害保険」というものがあります。この保険には、「保険料を全部または一部を損金に算入して税負担を軽減できる」「退職金などの費用を支出するタイミングで解約金を予定通り受け取って(益金計上)赤字を避けることができる」などのメリットがあります。
先日、ある経営者から決算対策の相談がありました。例年500万円前後の利益が、今期の見込み利益は約1,000万円とのことでした。いくつかご提案させていただいたなかから、その方は「生命保険」での対策を選択されました。社長の死亡保障は十分でしたが、生活障害時の保障を考え、「生活障害保険 契約者法人様、被保険者社長様、保障額1億円、保険料500万円」のご契約となりました。結果として、保険料500万円は損金計上により利益を圧縮でき、また他役員の退職金の原資づくりができたので、大変喜んでいただけました。
では、なぜ決算月において生命保険の見直しをするかということですが、保険料の支払いを年払いにすることで、1年分の保険料が経費に計上できるからです。決算を目前に控えている経営者の方々、生命保険の保障内容を十分確認して、決算対策として見直し・加入を検討されてみてはいかがでしょうか。生活障害を抱える将来の可能性もあるということを念頭に入れて、対策を打つことも必要な時代です。
<プロフィール>
玉井 省吾(たまい・しょうご)
(株)アンツインシュアランス 代表取締役社長
1965年生まれ。長崎出身。88年、福岡シティ銀行入行。県内外の支店に勤務し、中小企業の法人営業を担当。事業者に対し、事業融資、経営アドバイスを行う。99年、外資系保険会社に入社し、ライフプランナーとして勤務。その後、保険を活用した経営コンサル業を開始。2018年1月より現職。関連記事
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