2024年04月24日( 水 )

一丸となって地場経済のさらなる浮揚へ(1)

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福岡商工会議所 会頭 藤永 憲一 氏

 近年の福岡市は、高い人口増加率やインバウンド(訪日外国人)客による買い物特需などを背景に、「日本一元気なまち」といわれるほどの活況を呈している。そんな福岡市の地場経済を支える中小企業の牽引役であり、地場の景気浮揚に向けて大きな役割を担っている福岡商工会議所。今年6月、同所の第30代目の会頭として就任した藤永憲一氏に、会頭就任への意気込みや今後の福岡経済界の動向、商工会議所としての取り組みなどについて、話を聞いた。

(聞き手:弊社代表・児玉 直/取材日:8月28日)

会員のニーズに向き合う

 ――藤永会頭は6月26日に開催された福岡商工会議所の議員総会において、礒山誠二前会頭の辞任にともなう新会頭として満場一致で選任され、第30代会頭に就任されました。まずは、今回の就任にあたっての抱負をお聞かせください。

▲福岡商工会議所 藤永 憲一 会頭

 藤永会頭 福岡の地場経済を牽引する福岡商工会議所の会頭という大役を仰せつかって、まずは非常に身が引き締まる思いがしております。ただし、これが自治体の首長などであれば、自らの抱負や政策を掲げて立候補し、それが有権者の方々の信任を得て当選―ということになるのでしょうが、商工会議所の会頭の場合はそれとは少し違います。多くの会員のなかから議員が選任され、そのなかから役員が選任され、常議員や副会頭、そして会頭が選ばれる仕組みです。私の場合も副会頭職を務めていましたし、礒山前会頭の辞任にともなう後任を選ぶ流れのなかで、今年度からの中期方針の策定にも携わったことなどの要因もあって、私に白羽の矢が立ったと認識しております。

 そのため、まだ現段階では、何か会頭としての明確なビジョンや抱負というものを掲げているわけではありません。ですが、約1万6,000社の会員を抱える福岡商工会議所の会頭として、それぞれの会員事業者が抱える諸問題に対して、皆さまとの意思疎通をしっかりと図りながら取り組んでいきたいと思っています。

 ――会頭と副会頭とでは、担うべき役割が違うと思いますが、それについてはどのようにお考えですか。

 藤永会頭 会頭としてどのような役割を担っていくべきかについては、今はまだ自分のなかで模索中です。福岡商工会議所は、地場経済を支える中小企業の牽引役ですし、約1万6,000社の会員からなる組織ですから、会頭の責任が重いのは間違いありません。まずは会員から寄せられる基本的なニーズを1つひとつ受け止め、それに応えていくこと。そういった役割ではないかと思っています。何か、具体的に新たな政策をつくって打ち出していく、ということは、今のところ考えておりません。歴代の会頭が果たされてきたのと同じ役割を、私も粛々とやっていきたいと思います。

 ――会頭に就任されてから約2カ月が経ちましたが、この間、さまざまな役割を果たされていますね。

 藤永会頭 就任後すぐの7月1日から8日にかけては、最新の経済情勢や商工業の活動内容の把握のほか、海外の商工会議所との交流を図ることを目的に行っている「福商・経済訪問団」として、観光産業先進地のフランスのほか、世界遺産や文化芸術施設などといった観光資源を活用しているベルギー、IT・IoTを活用した先端農業を行っているオランダを訪問しました。

 そのうちフランス・パリでは、地元企業の視察のほか、パリ=イルドフランス地方商工会議所を訪問して意見交換を行っており、今後の福岡とフランスの経済交流に向けた関係構築ができたと思っています。また、7月2日にはパリで九州地域戦略会議(共同議長:廣瀬九州地方知事会会長、麻生九経連会長)主催による「九州合同レセプション」も開催され、2019年ラグビーワールドカップのPRと、九州内の周遊観光促進のプロモーションを実施しています。翌3日は在仏日本国大使館主催の昼食会が開催され、私が出席させていただきました。

 今回の訪問では、ラグビーワールドカップに向けて福岡・九州の観光をPRするとともに、街全体が観光地として整備されている現地の様子を見ることができ、九州周遊ルートの形成などの観光産業の発展を目指すうえで、非常に参考になる視察になったと思っています。

 また、7月18日・19日には、九州商工会議所連合会として、財務省や国土交通省、中小企業庁、観光庁を訪れ、「経済政策に係わる要望」や「『平成28年熊本地震』震災からの復旧・復興に関する第4次要望」「『九州北部豪雨』災害からの復旧に関する第2次要望」の各要望書を提出させていただきました。そのうち財務省では、麻生太郎副総理兼財務大臣とお会いし、一昨年の熊本地震や昨年の九州北部豪雨で被災し、いまだ復旧のメドが立たない交通インフラの早期復旧や各地域の実状についての意見交換を行っています。

(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】

<プロフィール>
藤永 憲一(ふじなが・けんいち)

1950年8月生まれ。福岡県出身。73年に京都大学経済学部卒業後、九州電力(株)に入社。経営企画室長、上席執行役員を経て、2009年6月に取締役常務執行役員に就任。12年6月に(株)九電工の取締役専務執行役員に就任し、13年6月代表取締役副社長執行役員、14年6月代表取締役会長を経て、18年6月相談役(現職)。18年6月、礒山誠二前会頭の辞任にともない、福岡商工会議所 第30代会頭に就任した。

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