2024年04月23日( 火 )

一丸となって地場経済のさらなる浮揚へ(4)

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福岡商工会議所 会頭 藤永 憲一 氏

会員と経済界発展のために

 ――現在の会員数は約1万6,000社とのことですが、会員数の増減についてはどのような状況なのでしょうか。

▲福岡商工会議所 藤永 憲一 会頭

 藤永会頭 正確な会員数は、今年6月末現在で1万5,577社です。会議所への入退会の状況は、新規の入会が年に約1,000社ある一方で、退会が年に約800社。差し引き約200社が年間の純増数です。ただし、退会数には廃業や倒産、また移転された事業者などが含まれますので、純粋に退会を選択された事業者数は400~500社くらいです。

 会員増強については、3カ年ごとに掲げている「中期方針」でも大きなテーマの1つとなっており、そのためには新規の入会を促進させるとともに、退会防止に向けた取り組みを行っていかなければなりません。新規会員の獲得に向けては、福岡商工会議所の会員になればどのようなメリットがあるのか、そこをきちんと提示していくことが大事です。

 その一方で、退会される方に対しては、「なぜ退会されるのか」といった理由をきちんと収集・分析したうえで、会員のメリットを享受できていない事業者の方々への周知を図るなどして、何とか退会を防止していきたいという思いがあります。やはり商売でも何でも一緒だと思いますが、会費を払ってまで入会する意義やメリットがないことには、なかなか入会にはつながりません。それぞれの事業者に対して、丁寧に説明を重ねながら、入会促進と退会防止の活動を強化していきたいと思います。

 ――会員数1万6,000社というのは、福岡市の事業者数からすると、多いほうなのでしょうか。

 藤永会頭 会議所に入会する資格のある事業者のうち、実際に入会されている事業者の割合―これは「組織率」という言い方をするのですが、その組織率は地方に行くほど高くなる傾向があります。地方の小規模都市であれば、組織率が5割に達する例も珍しくありません。一方で、全国的に政令市などの拠点となる都市の会議所では、組織率がやや低くなる傾向があり、福岡市ではおおよそ2割くらいです。ただし、逆に考えると、まだまだ伸び代が十分に残されているともいえますので、今後とも会員増強に向けて、会議所一丸となって取り組んでいく所存です。

 ――最近、福商から送られてくる資料や案内などを見ていますと、コンサルタント会社が実際に行うような、専門的な事業支援なども行われているようですね。職員の方々のレベルも、かなり上がってきているように感じます。

 藤永会頭 やはり我々会議所は、中小企業などの事業者に対して支援・指導していく立場にありますから、マーケットの変化や会員からのニーズに合わせて、追いつけ追い越せで進化していかないことには、存在意義がありません。そのためにも、日々新しいことにトライしながら勉強を重ね、事業者からのさまざまなニーズに応えられるようにしていきます。

 福岡商工会議所は来年140周年の節目を迎えますが、これまでの長年の歴史のなかで受け継がれてきたものがあり、会員事業者を含めた地場・福岡の経済社会の発展に寄与するという基本的な役割は変わることはないと思っています。そこについてはこれまでと同じように踏襲しつつも、いろいろな社会情勢や環境の変化、世の中の大きなトレンドなどに合わせて、中小企業が抱える課題もいろいろと変化してきますので、それらを常に解決・支援していけるよう、会議所としてレベルアップを図っていきたいと考えています。

 ――最後に、これから福岡商工会議所をさらに良い組織にしていくために、どのようなことに取り組まれていかれますか。

 藤永会頭 商工会議所に限らず、どんな組織でも一緒だと思いますが、やはり1人ひとりがやりがいを感じられないことには、組織は活性化していきません。リーダー経営者にとって基本的なテーマだと思いますが、その1人ひとりのやりがいを、いかにして広げていけるか―。なかなか簡単にはいかないでしょうが、皆がより一層やりがいをもって働けるような組織にしていきたいと思います。そして、福岡商工会議所の基本である「伴走型支援」の下、会員事業者1人ひとりに寄り添いながら、個々の会員の発展および地場・福岡経済界の活性化のために、皆で一丸となって尽力していきたいと思います。

(了)
【文・構成:坂田 憲治】

<プロフィール>
藤永 憲一(ふじなが・けんいち)

1950年8月生まれ。福岡県出身。73年に京都大学経済学部卒業後、九州電力(株)に入社。経営企画室長、上席執行役員を経て、2009年6月に取締役常務執行役員に就任。12年6月に(株)九電工の取締役専務執行役員に就任し、13年6月代表取締役副社長執行役員、14年6月代表取締役会長を経て、18年6月相談役(現職)。18年6月、礒山誠二前会頭の辞任にともない、福岡商工会議所 第30代会頭に就任した。

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