2024年04月26日( 金 )

くるり九州ひたすら歩く旅~九州一周、完歩を目指す(11)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 国道3号線と10号線をひたすら歩く“九州一周完歩”の旅。走行距離は実に833kmにおよぶ。それも週末だけを利用し、現地に赴き九州の大動脈を歩くのだ。
 熊本県を抜けて鹿児島入りしたものの、福岡から高速道路を使っても数時間かかる。しかも、2夜連続での完歩の旅。日中の日差しを避けたナイトウォーキングといえども、この時期はさすがに暑い…。今回はどんな旅になるのだろうか。

8月12日(11日目)
照国神社前からJR加治木駅まで~23.9km

▲夜明け、日豊本線から見た桜島

 3号線と10号線が交差する照国神社前交差点にたどり着いた興奮も冷めやらぬまま、その日の夜からウォーキングを再開。10号線を北上する旅がスタートした。
 鹿児島市内は今日も蒸し暑く、汗が止まらない。変わったのは“10号線”となった道路表記と距離。3号線を南下しているときは門司から遠く離れていくので門司港までの距離が増加していたが、今度は歩くたびに門司港までの距離が減少していくことになる。

 深夜の市内は照明が多いため明るく、歩道が広いので快調に足が進む。だが、地獄は突然やってきた。旧集成館交差点あたりから歩道がなくなり、車道のみになったのだ。しかも照明はほとんどなく、生い茂る草が覆いかぶさってくる。左手は山、右手は日豊本線と海に囲まれ、とにかく狭い。しかも深夜2時頃にも関わらず車の往来が激しい。交差点も少ないので、ものすごい勢いで走り去る車の列。手元の懐中電灯と点滅式のLEDハンドライトを装備していても我々に気づかない車が多かったのではなかろうか。

 道路は海岸沿いに移り、日豊本線は左手の山手に。日中ならば、右手に錦江湾と雄大な桜島が見えるはずだが、今は漆黒の闇のなかだ。その後、バイパスに出ると九州を走る大動脈らしくなり、狭いながらも歩道が出てきた。だが、行く手を阻むものがもう1つあった。歩道に生い茂る草木である。この旅で何度も遭遇してきた難敵である。しかも、海岸線に近いことから海砂が歩道を覆いつくしており、結構滑る。

 体力を相当消費しつつも、鹿児島市を抜け姶良市に入る。するとまた、片側1車線に戻り、やや上り坂になる。しかも、歩道と街灯はなくなり、再び闇のなかに。しかし、姶良市中心部に入ると街の光が多くなってきた。姶良市は10号線バイパスを中心にまちづくりが行われており、歩道が広く快適だ。だが、明け方とはいえ気温は26℃ぐらいある。疲れから足を止めることが多くなり、汗が止まらない。
 今回の到着地はJR加治木駅と設定しているので同駅の始発に乗り込み、鹿児島市内に戻る予定だ。何とか始発に間に合うように急ぎ足で歩いた。

 10号線はJR錦江駅付近で分かれ、IC行きと市街地行きとに分かれる。もちろん、市街地を通り夜明けの加治木の街を歩く。そしてついにJR加治木駅に到着した。計画通り始発電車に乗って鹿児島市内へ向かう。車窓から見える風景は苦労して歩いた道と朝日を浴びて勇壮にそびえたつ桜島の姿だった。

(つづく)

(10)
(11)

関連記事