100年に1度の渋谷大改造計画の全容 中期経営計画で成長投資2,600億円(後)
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2018年11月03日 07:01

100年に1度の渋谷大改造計画の全容 中期経営計画で成長投資2,600億円(後)

縁の下で支える渋谷大改造

渋谷駅街区(宮益坂交差点方面より望む)
提供:渋谷駅街区共同ビル事業者

 この世紀の大規模開発を縁の下から支えているのが、都市再生機構(以下、UR都市機構)だ。現在、東急電鉄とともに、「渋谷駅街区土地区画整理事業」を推進。地区面積は約5.5ha、事業費約631億円で、施行期間は26年度まで。地権者は東急電鉄、JR東日本、東京メトロの3社だが、代表施行者が東急電鉄、同意施行者としてUR都市機構が関わり、事業の技術支援を行っている。10年10月に事業計画認可を得て、本格的に工事着工した。

 本事業は、東急東横線の地下化、東京メトロ副都心線との相互直通運転を契機に、渋谷駅の機能更新と再編、駅ビルの再開発と一元的に駅周辺の都市基盤整備と街区の再編を行い、公共施設の整備改善と宅地の利用増進を図ることを目的としたものとなっている。
 主な整備内容は、東口駅前広場(地上・地下)、雨水貯留槽、西口タクシープール、西口駅前広場、渋谷駅東西を結ぶ自由通路の整備と銀座線橋脚や渋谷川の移設がある。「工事は東口が先行しており、自由通路なども含め西口も順次進めています」(UR都市機構)。

 1日の乗降客数が約300万人の渋谷駅。世紀の大改造を円滑に進めるため、関係各所との調整や協議の準備、技術支援も行っている。「事業が輻輳して動いているため調整などは大変ですが、UR都市機構のノウハウを生かして円滑に事業が進むよう支援しています」(UR都市機構)。

「駅東口歩道橋架替工事」で歩行者動線を再整備

東急・渋谷駅前

 これまでの渋谷駅周辺の歩行者動線は複雑で、乗り継ぎの利便性に欠けていた。その一部にあたる歩道橋を架け替え、地下歩道も合わせて再整備。歩行空間を拡大し、バリアフリー化するなど、利便性と回遊性を高める。開発事業者と協力しながらエスカレーターや歩行者デッキも設置し、お年寄りやベビーカーも安全に渡れるようにする。
 そのうち、国土交通省東京国道事務所と東急建設・JFEエンジニアリングJVが担当している工事が、「国道246号渋谷駅東口歩道橋架替工事」だ。渋谷駅東口交差点に架ける歩道橋を整備する。

 現在、渋谷駅前の歩道橋は、通勤時間帯になると歩道橋を渡るために行列ができる。ピーク時には1時間あたり5,000人が歩道橋を利用しており、国道246号周辺では1日約7万台の車両が行き交う。1日約10万人(西口・東口合わせて1日約20万人)が利用する歩道橋としては脆弱であるため、渋谷再開発とともに東口・西口歩道橋を架け替えることになった。まずは、東口歩道橋から先行して着工。新しい歩道橋の完成までに、渋谷駅東口交差点では小規模なものを含め、およそ30回の通行止めが実施される計画だ。

ポスト五輪で注目される「渋谷駅桜丘口地区再開発」

 “ポスト五輪”工事で注目されているのが、東急不動産が参画する「渋谷駅桜丘口地区再開発」だ。「渋谷ストリーム」と同様に、南北のまちの分断を解消して桜丘の玄関口とし、商業、業務、居住機能に加え、外国語対応の国際医療施設、サービスアパートメント、子育て支援施設も導入し、産官学連携のもと渋谷発のベンチャーを育成する起業支援施設を整備。仕事も遊びも暮らしもすべての人を支える、充実の生活空間を構築する。

 次に注目されているのが、渋谷スクランブルスクエア東棟の完成後、27年度の開業を目指している中央棟・西棟の工事だ。同工事の事業主体は、東急電鉄、JR東日本、東京メトロ。中央棟は地上10階・地下2階、高さ約61m、西棟は地上13階・地下5階、高さ約76m。同時に行われる西側の区画整理では、西口駅前広場やバスターミナル・タクシープールなどの整備により、乗換動線の強化が図られる。
 駅前の広場や通路を拡充することは、渋谷が抱える社会課題の1つの解決にもつながると予想される。2020年以降の“ポスト五輪”の渋谷駅前の再開発事業では、両プロジェクトが中心になる。

東急グループが推進する広域渋谷圏構想とは?

 一方、渋谷の周囲には代々木公園、原宿、表参道、恵比寿、代官山、中目黒などがあり、地域として産業・観光両面で非常に高いポテンシャルを秘めている。東急グループではこれらの地域を含めた持続的に成長する都市圏をつくり出すことを目的に、「Greater SHIBUYA(広域渋谷圏)構想」を立案。周辺でのさらなる事業展開にも意欲を示している。クリエイティブコンテンツ産業・都市観光・魅力あふれる資源の集積により、エリアとしての魅力をさらに高める方針だ。これが、渋谷とその周辺地域のポスト五輪の開発戦略となる。

 東急電鉄が中期経営計画期間で掲げた基本方針のキーワードは、「サステナビリティ」。持続可能な社会を構築していくなかで求められるのは、さらなる変化を見据えた都市構造の革新である。そのため、計画では大規模プロジェクトを着実に推進しつつ、さらにその先の持続可能なまちづくりへの挑戦も行う。渋谷と東急沿線の新たな付加価値の創造とは、具体的にどのようなものか―。今後の再開発の動向に、さらなる注目が集まる。

2027年頃の渋谷駅周辺のイメージ
提供:東急電鉄

 

(了)

【長井 雄一朗】

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