市民と行政とが一体となり「オール那珂川」でのまちづくり推進を
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2018年11月14日 13:00

市民と行政とが一体となり「オール那珂川」でのまちづくり推進を

那珂川市長 武末 茂喜 氏

「快適さ」と「癒し」が共存し、子育て支援や教育環境も充実

 ――「那珂川市」の誕生おめでとうございます。まずは今のお気持ちをお聞かせください。

初代市長の武末茂喜氏により、開市宣言が行われた

 武末市長 思い返すと、「平成22年国勢調査」において人口5万人にあと一歩届かず、涙を呑んだ経験から、人口のさらなる増加と定住化を推進するための人口増加策を展開してきました。その結果、「平成27年国勢調査」において悲願の人口5万人を突破し、福岡県内では21年ぶりの単独市制施行を成し遂げることができたことは、非常に嬉しく思っております。
 現在の全国的な人口減少社会のなかで、人口5万人を突破して市になるというのは、なかなかないことです。こうして「那珂川市」という新たな歴史を刻むことができるのは、行政だけではなく、関係者の皆さまとの連携による「オール那珂川」の取り組みの成果だと思います。

 ――ここで改めて、那珂川市のPRをお願いいたします。

 武末市長 本市では、「快適さ」と「癒し」の2つの魅力を一緒に感じることができます。まず、全国的にも珍しい新幹線の回送車両を利用したJR博多南線で博多駅まで最短8分と、福岡の都心部への交通アクセスが良いほか、市内にはコミュニティバス「かわせみバス」が走り、通勤・通学、買い物などにとても便利な「快適さ」があります。一方で、市の中心部から車で10分ほど南に走ると、滑らかに流れる那珂川、幾重にも連なる脊振連山と緑豊かな筑紫耶馬溪など、四季を感じながら美しい景観を望むことができ、心と体に「癒し」を与えてくれるなど、2つの魅力が共存していることが挙げられます。

 また、市民の平均年齢が県内でも3番目に若く、子育て世帯が多いことから、子育て支援にも力を入れています。2014年に開館した子育て支援拠点施設「ふれあいこども館(那珂川市複合児童福祉施設)」では、未就学児とその保護者を対象とした多彩なイベントやプログラムや、小学生対象の遊び場や中高生の学習の場を提供しています。ほかに、子どもの年齢などに応じた子育て支援の情報を得ることができる子育て支援ポータルサイト「nobi nobi」(のびのび)や子育て支援アプリの運営も行い、情報発信にも注力しています。加えて、国の英語教育モデル地域に指定されるなど、小学校を含めて英語教育が活発なことや、中学校ではタブレット端末を活用した情報技術活用教育の導入のほか、民間学習団体を活用した「Nスペ講座」の実施によって学力向上を図るなど、教育環境の充実にも力を入れています。
 このようなさまざまな施策により、本市では「住んでみたい、ずっと住みたい」と思っていただけるようなまちづくりに取り組んでいます。

観光振興や定住促進、政策によるブランド化

 ――以前の取材の際に、定住人口の増加だけでなく、交流人口の増加も進めて行かれるとお聞きしましたが、具体的にはどのような施策を進めていかれますか。

「那珂川市」の市役所銘板の除幕も行われた

 武末市長 以前、「観光振興についても取り組んでいき、那珂川町の都市部と農村部、そして中山間部というそれぞれの魅力をぜひ皆さまに知ってほしい」という主旨の話をしたと思います。

 そのなかでは、今年3月に「五ケ山ダム」が竣工し、周辺エリアでは観光化に向けた整備が進んでいるほか、5月にはこの一帯が「五ケ山クロス」と命名されました。この名称は264件の応募のなかから選定されたものですが、これはダム湖の形状の見た目に加えて、自然、都会、人、アクティブなどさまざまな要素がクロスし、多くの人々が訪れ、集い、交流ができることをイメージしたものです。ここに新たに誕生するのは4施設で、周辺地域の情報発信基地でもある「ベース」には、アウトドアショップや飲食店が入るほか、湖面を活用したアクティビティの受付場所にもなります。また、「リバーパーク」と「ポケットパーク」という2つの公園ではすばらしい景観を楽しめるほか、目玉となる「キャンプサイト」はキャンプ施設として整備され、質の高いアウトドアリビングを目指します。このように五ケ山クロスでは、那珂川の自然豊かなフィールドを生かして、満足度の高い体験型の観光地にしていきたいと考えています。

 ――今後の都市計画やまちづくりの構想についてはいかがですか。

 武末市長 本市の“東の玄関”は博多南駅ですが、“西の玄関”は片縄や道善の国道385号周辺になります。新市街の拠点づくりとしては4カ所の計画がありますが、そのなかでは現在、西鉄バス那珂川営業所周辺の約10万m2の用地での都市開発を先行して進めています。一方で、那珂川には「農業振興地域」として、用途変更が非常に難しいエリアもあります。そのため、都市部と農村部、そして中山間部とが1つの市内にあることを生かす方法でのまちづくりを進めていきます。

市制施行は“通過点”さらなる活性化に向けて

 ――最後に、那珂川市の初代市長として、ご自身の抱負をお聞かせください。

武末市長自ら、那珂川市としての初の住民票発行を行った

 武末市長 少子・高齢化による人口減少や、地方分権の進展、住民ニーズの多様化・高度化など、地方自治体を取り巻く環境は大きく変化しています。そうしたなか、今後は近隣市との差別化を図った魅力的な行政サービスを提供していくことが重要であると考えており、本市では市制施行を契機として自治体としての総合力を高め、魅力的なまちづくりを進めることで、人や企業に選ばれる自治体として継続した成長を実現したいと考えています。

 そのためには、市制施行により基礎自治体としての権限を広げ、地域の実情に合った質の高い行政サービスを提供することが必要不可欠です。また、都市的なイメージの向上といった利点を最大限活用し、人口増加、新たな企業の進出や雇用の創出に向けた取り組みを積極的に進めていくことが、さらなるまちの活性化や税収の増加、財政基盤の安定につながるものと考えています。

 今回の市制施行はゴールではなく、あくまでも“通過点”です。これからますます複雑化および多様化する行政需要に的確に対応していくためにも、これまで以上に市民と行政とが一体になった「オール那珂川」の取り組みを進めながら、今後のまちづくりを進めてまいります。

今年9月末、町としての62年あまりの歴史に幕が下ろされた

【坂田 憲治】

<プロフィール>
武末 茂喜(たけすえ・しげき)

1952年11月、福岡県那珂川町(現・那珂川市)出身。75年に福岡大学卒業後、77年から那珂川町役場に勤務。2008年9月に那珂川町長に就任。3選を経て、18年10月1日の市政施行にともない、那珂川市の初代市長に就任した。

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