新しいまちの新しい商工会 九都連が望むまちづくり(前)
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JR筑肥線・九大学研都市駅の開業から13年、九州大学の統合移転も完了し、以前の田畑が広がっていた風景は一変した。2017年末には今宿・周船寺・元岡の3つの商工会が隣接するこのエリアで、九大学研都市駅地区商業連盟(以下、九都連)が誕生。新しいまちの新しい商工会が目指すもの。多様な人材が集まる九都連の理事メンバーに、まちづくりの展望を聞いた。
――九都連を立ち上げての感想をお聞かせください。
横尾 私は準備委員会の2回目から参加しています。この地域の出身というわけでもなく、当初はあまり出しゃばるのもどうかと思いましたが、ここで生まれた子どものためにも、子育て世代の父親として参加できて嬉しいです。
瓜生 私は、この辺りが田んぼだったころにこの場所で動物病院を開業したのですが、まさかこんなにまちが発展するとは思っていませんでした。九都連ができたことで、この地域で仕事ができる感謝の気持ちをさらに表せるようになりました。
山下 正直、まちづくりという観点で考えたことはありませんでしたが、今は会長や理事メンバーの方々の思いに触れるなかで、いろいろと勉強させてもらっています。これまでは地域のイベントに参加するだけでしたが、こうやって九都連に関わることで、運営側の楽しさがわかってきました。
大橋 私は今宿生まれ、今宿育ちで、現在は居酒屋やスナックを経営しています。今宿の商工業協同組合の理事を務めるなかで、九大学研都市駅エリアで新たに商工会が立ち上がるという話をいただき、九都連に参加させていただきました。以前からこの地区のお祭りに関わっていましたので、九都連への参加は自然な流れでした。やはり今宿、周船寺、元岡といった隣接エリアと連携して、九都連が盛り上がっていければ良いと思います。
横尾 ちなみに、私も今宿商工業協同組合の理事です。九都連は、どこか近隣の団体と掛け持ちしているメンバーが多いですね。
松竹 私は指定管理業者として、福岡市西部地域交流センター「さいとぴあ」の運営に携わっています。新たなまちが生まれるところでの施設運営は初めてでして、変わりゆく地域で、どういうことができるのか。また、交流センターとして、いかに交流を創造していけるのかを常々考えています。これまでの5年間で、さまざまな魅力をもった方々と知り合えたので、その方たちがより新しい魅力を創造できるような地域であってほしいと思い、さいとぴあでは「魅力の創造」を次の5年間の柱に据えています。
――九都連の強みは、何だと思いますか?
松竹 さいとぴあはオブザーバー的に九都連に参加していますが、九都連は若い方たちが中心で動いていらっしゃるので、決まるのが早く、動きも早い。このまちのニーズを察知する力や発信力に長けた団体だと思います。
大橋 おっしゃるように、決定や実行のスピードが早いことが、1番の特徴ではないでしょうか。
山下 ほかには、若い世代の方が多く、活気があると思います。
横尾 1年近く活動をしてきて思うのは、大きく2つあります。1つは、「かたちがない」「0である」というところです。つまり、しがらみがなく、制限もないということ。良くも悪くも伝統がありませんし、何をやっても自由ということが、大きな特徴の1つだと思います。
もう1つは、九大学研都市駅周辺の伊都エリアは新しいまちですので、ここで生まれ育った大人がいないということです。ですから、学生にしろ、転入してくる若い子育て世代にしろ、お互い“よそ者同士”なので、コミュニケーションの垣根が低く、まち自体のレスポンスが早い。皆さん興味津々で見ているので、環境としてはやりやすいです。
――逆に、課題は何だと思われますか。
横尾 他地域との連携が不可欠だと思います。このまちは、すでに今宿・周船寺・元岡地区の3つの商工会が活動を行っていますから、九都連も含めた4つの商工会でつくっていかなければならないはずです。ですが、そういった連携が今のところ、課題だと思います。
瓜生 できたばかりの団体で理事メンバーが頑張っていますが、一般会員さんを含めて組織全体として、まちづくりに対する意識付けができるのかが不安です。まちの人口が増えてきたらお店も増えてくるでしょうから、この地区で商売を始める方たちの受け皿にならないといけない。横のつながりを強めていきたいですね。
横尾 九都連の会員さんには、九大学研都市駅支店とか、多店舗展開している企業の店長さんだったりする方が多く、ちょっとした会合などは理事メンバーしか集まらないことがあります。現在、38人ほどの会員がいますが、九大学研都市駅支店に着任したら、知らないうちに九都連の担当になっていたような方も多くいらっしゃると思います。
大橋 活動を始めたばかりなので、認知度の低さも課題ですね。3年くらいはしっかり活動して、実績を積み上げながら、“核”となるような独自のイベントをつくっていきたいです。
山下 まだまだ存在は知られていないので、まずは知ってもらうことが一番大事かと。
松竹 学生さんたちのイメージでいうと、「商工会=商店街」なんです。アーケードがあるのが商店街だそうです。そういった象徴的なものがないなかで、商工会として発信力をもつために、どうやって認知してもらうのかが課題だと感じますね。
(つづく)
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