2024年04月19日( 金 )

新しいまちの新しい商工会 九都連が望むまちづくり(後)

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 ――今後の活動展望をお聞かせください。

 横尾 この地区は高校も多いですし、糸島まで含めるとたくさんあります。九大総務部さんとの交流も始まり、九大学術研究都市として、学生さんと連携した活動を考えていきたいですね。あとは、子育て世代をどう取り込んでいくか――。商業と子育ては、密接に関係していると思います。

 山下 まちの方々のニーズをしっかり聞き取りたい。どんなことが求められているのかを聞き取り、把握したうえで、それを基に何ができるのかを考えていけたらと思います。

お食事処まこっちゃん オーナー 大橋 誠  氏

 大橋 まずは九都連の存在を知っていただいたうえで、地域からの要請を知る必要がありますね。

 過去に今宿商工業協同組合でも、駅から降りてくる方を対象にして、商工会の活動についてのアンケート調査を行ったことがあります。その結果を見ると、自分たちが感じていることと住民の意識とが、乖離している部分もありましたね。たとえば、「今宿タイムズ」という新聞を20年ほど出していますが、当人たちは住民の9割くらいが知っていると思っていたのに対し、調査結果では6割くらいしかその存在を知らないわけです。そういう現状のデータ分析をやってみたいなとも思います。

 あとは、学生さんたちを取り込んで何をするか。企業さんとの連携をとって、九都連ならではの取り組みをしていきたいです。

 横尾 域内の各学校の生徒会長を連れてきて、「学生サミット」みたいなのはどうですかね。

 松竹 まちづくりをテーマにした、九大の学生さんたちの会合に参加したことがあります。各エリアを7つくらい分けて、自分たちで開発を計画して発表するようなものでしたが、半数くらいは留学生で、発表も英語でした。そのなかから立ち上がったのが、「周船寺商店街のシャッターに絵を描こう」というプランで、これは実現しました。そういった発表内容から一番良いなと思うところにお金がついて、協賛金を集めて学生のアイデアが実現できたら面白いですよね。交流も含めて、若い方たちの意見交換の場があれば素敵だなと思います。

 横尾 その子たちが、これからのまちをつくっていくんですよね。小学6年生だったら12歳ですから、あと10年もしたら社会に出るわけです。

 瓜生 あと、病院から外をのぞいただけでも、多くの外国人が通りを歩いています。故郷を離れて寂しいと思っている外国の方が気軽に集まれる交流の場とか、日本人であっても「ここで大学生活を過ごせてよかったね」とか、「またあそこに戻って仕事をしたい」と思ってもらえるようなまちづくりができれば良いですね。

さいとぴあ 館長 松竹 恵里子 氏

 松竹 ある方なんかは、幼少期にこの辺りに住んでいて、その後、親の赴任で海外に移り住み、東京に戻ってきて大学を選ぶときに、「絶対に九大」だと思ったそうです。いかに子どもたちを巻き込み、どうかたちにしていくのかは課題ですが・・・。やはり、子どもたちを巻き込むまちづくりが良いと思います。

 横尾 子育て世代の視点でいうと、やはり子どもの学力は気になります。せっかく九大があるのだから、今ここに住み暮らす子どもたちにとっての大学というイメージは、九州大学のはずです。ただし、近くにはありますが、いざ入ろうとすると意外に“遠い”のが九州大学なのですが(笑)。

 大橋 九大効果で学力が上がる地域を目指すのは良いですね。西新でも、修猷館があるからみんな目指しますし。

 松竹 福岡のなかで、百道が「住み暮らしたいまち」として選ばれる理由は、学力が高いという理由もありますしね。この地域の学力が上がれば、自然も豊かですし、さらに魅力的なまちになるんじゃないでしょうか。このまちにとって、「子どもたち」はキーワードだと思います。

 ――最後に、今後のまちづくりへの思いをお聞かせください。

 松竹 さいとぴあは地域の人たちの交流の場として存在していますので、これからも最大限活用していただきたいですね。九都連と地域とが一緒になって、皆さまに喜んでいただけるような場の提供を心がけていきたいと思います。

 大橋 九都連として組織を拡大しながら、学生さんと地域の方を結ぶような活動をたくさん行っていきたいです。九大生が就職をしてこの地を離れても、先々でまたこの地に戻ってきて何かをしたくなるような、魅力あるまちづくりに挑戦したいなと思っています。

 山下 私たち以外の住民の方々も、少なからずこのまちのことを考えられていますので、その気持ちを汲み取って、みんなでつくっていけるようなまちにしたいと思います。

 横尾 糸島半島の玄関口でありたいです。糸島を訪れる人は必ずここを通るほど、それだけの交通の要衝なので、“福岡の西部地区の雄”として認知されるまちづくりを行いたいです。それがいつかは、我々の商売につながるでしょうし、子育てをしていくなかで、誇りあるまちになっていくのだと思います。

 瓜生 我々は商業者の集まりです。そもそもまちに人がいなければ、私たちは商売を成り立たせることができません。そう考えると、やはり人が集まるのは「安全できれいなまち」だと思いますので、卑しい気持ちではなく、仕事とまちづくりがつながっていることを意識しながら、安全できれいなまちを保っていきたいと思います。

(了)
【児玉 崇】
 

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