官民連携で目指す、ベッドタウンエリアのモデルケース 「くう、ねる、あそぶ」が充実した、那珂川市へ!
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2018年11月16日 10:00

官民連携で目指す、ベッドタウンエリアのモデルケース 「くう、ねる、あそぶ」が充実した、那珂川市へ!

那珂川市 事業間連携専門官/(株)ホーホゥ 代表取締役 木藤 亮太 氏

 2013年7月から宮崎県日南市でテナントミックスサポートマネージャーとして油津商店街の再生事業を手がけ、約4年の任期中に29の新規出店やIT企業誘致を実現した木藤亮太氏。17年4月からは故郷の福岡県那珂川町(当時)に戻って「事業間連携専門官」に着任し、官民の枠組みを越えたコーディネーター的役割を担ってきた。今回の市制施行を受けて、これから目指すべき那珂川市のまちづくりについて話を聞いた。

「行政内」「官と民」の2つの連携

 ――これまで事業間連携専門官として、どのようなことを手がけてこられましたか。

木藤 亮太 氏

 木藤 私が那珂川に帰って来る前に手がけた、宮崎県日南市の油津商店街の4年間の再生事業は、行政と民間が非常にバランス良く連携したことが成功の秘訣だったと考えています。その経験を、自分の故郷である那珂川でいかに再展開できるかが、私自身のミッションだと思っています。

 私の役割は大きく2通り、まず1つ目は、行政のなかでの事業間の連携です。行政はよく“縦割り”といわれるように、部や課が違うだけで事業の連携が難しいという課題があります。そうした行政内の意識を切り崩し、うまくつなげて相乗効果を生み出していくことです。

博多南駅前ビル「ナカイチ」

 もう1つは、行政と民間との連携です。これも、日南・油津で学んだことの1つで、行政主体の事業は予算や期間が限られています。いわゆる事業の持続が難しく、たとえ効果を生み出せたとしても、一過性で終わってしまいかねません。そうさせないためには、民間の発想で動くことができる体制を会社として立ち上げ、収益を上げながら自活してまちづくりに取り組んでいくことができる仕組みが有効です。

 日南・油津では、実際に(株)油津応援団という株式会社を立ち上げたのですが、同様の仕組みがここ那珂川でも必要だと考え、事業間連携専門官という役割を担いながらも、(株)ホーホゥという会社を立ち上げています。ホーホゥでは、博多南駅前ビル「ナカイチ」の運営を受託しているほか、「なかがわよかとこ発見隊」というこれまで観光がほとんどなかった那珂川市に新たに観光を生み出す事業や、市民に地産地消をPRしていく「イタダキ!!なかがわ」という事業などにも取り組んでいます。

 このように、行政の力だけでは生み出せない持続性を、民間の発想を用いてつくりながら、しっかりと官と民を連携させて事業を展開させていく。こうした「行政内」と、「官と民」という2つの連携を、今進めているところです。

地域に密着し「住む」から「暮らす」へ

 ――今後、那珂川市ではどのようなまちづくりを進めていくべきか、木藤さんのお考えをお聞かせください。

 木藤 人口規模でいえば、日南市も那珂川市もそれぞれ人口5万人程度でほぼ同じです。ただし、日南市の減少傾向に対し、那珂川市は増加傾向にあります。また、日南市では住民のほとんどが市内で働いているのに対し、那珂川市の住民は大半が隣接する福岡市に働きに出ており、いわゆるベッドタウンになっています。このように、同じ人口規模の2つの市でも背景はまったく異なります。こうなると、「まちの活性化」を考えた場合に、真逆の発想をしなくてはなりません。

新たに観光を生み出す「なかがわよかとこ発見隊」

 日南市のように、人口が減っているまちでは、現状は厳しいですが、その分、何をすべきかの課題も見えやすい。一方で、人口が増えていて、ある意味で余裕があるように感じてしまうまちというのは、なかなか課題が見えづらい。しかし、その課題が見えにくいなかでしっかり課題を見つけ、将来的な予測をしながら的確にまちづくりを進めていくこと。それが今後の那珂川市のまちづくりでは重要です。

 たとえば、これまでの那珂川町ではただそこに居住している“住む”人が多かったのではないでしょうか。これからの那珂川市では“暮らし”のなかで那珂川市を感じられる、もっと地域経済や地域文化に密着したライフスタイルを創造していかなければならないと思っています。私は今、那珂川市のまちづくりのわかりやすいイメージとして「くう、ねる、あそぶ」の充実というものを掲げています。福岡都市圏のベッドタウンですから、「ねる」場所なのは間違いありません。でもそれだけではなく、「くう(消費する)」や「あそぶ(余暇時間)」という部分で、市内のいろいろな資源を活用すること。もう少し具体的に言えば、「くう(消費する)」というのは地産地消につないでいくこと、「あそぶ(余暇時間)」というのは地域での観光・レクリエーションにつないでいくことで、現在の私たちの取り組みにつながります。どちらもキーワードは「地域資源の活用」です。そういったライフスタイルが重要だという価値に市民が気づくことができるように、少しずつ機運を高めていくことができれば、全国のベッドタウンエリアにおける将来的なまちづくりのモデルケースになり得るのではないかと思っています。

 私は、那珂川市の魅力はコンパクトななかの多様性だと思っています。都心部から自然が豊かなエリアまで環境面での多様性はもちろん、新旧住民が混在するなかで、さまざまな発想や感覚をもった人々が暮らしています。これらを顕在化させていくことが、近隣の自治体との差別化のポイントになると思います。

 人口5万人を達成した那珂川市の今後は、さらなる増加をやみくもに目指すのではなく、目線を少し変えて市民の生活の豊かさを創出していき、市民のやりたいことが実現する、充実や楽しさを感じられる暮らし、そんな那珂川市民の姿を外から羨ましがられるような、そんなまちになっていければ理想です。これからもさらに地域で活動をしている人たちを丁寧につなぎながら、官と民がギュッと連携して、今までになかった面白い動きをもっと起こしていけるように、その動きをもっともっと発信していくこと。それが、那珂川が市制施行を経てこれからの5年、10年で目指していくまちづくりの姿だと思います。

【坂田 憲治】

<プロフィール>
木藤 亮太(きとう・りょうた)

1975年生まれ。福岡県那珂川市出身。九州芸術工科大学大学院修了後、(株)エスティ環境設計研究所に勤務。2013年7月、全国公募で選ばれ、日南市油津商店街テナントミックスサポートマネージャーに就任。17年4月からは故郷の那珂川町(当時)に戻って「事業間連携専門官」に着任し、さまざまなまちづくり事業に携わっている。現在、(株)ホーホゥの代表取締役、(株)油津応援団の専務取締役も務める。

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