2024年03月19日( 火 )

成長を続ける国内化粧品市場 インバウンド・時短ケア商品がけん引

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 マーケティングリサーチ事業の(株)富士経済(東京都中央区)はこのほど、化粧品市場調査を発表。訪日外国人観光客によるインバウンド需要と、「時短ケア化粧品」の拡大など、かつては浮き沈みのない堅調市場が一転、近年は成長を続けている。

化粧品市場は年平均3.0%増

 調査は企業調査およびインターネットによる消費者調査を実施し、市場動向と消費者意識の両面から国内市場の現状と将来動向を予想。直近の2017年の国内化粧品市場は前年比4.0%増の2兆7,858億円に達したといい、化粧品市場は15年以降、前年比3.0%を超える拡大が続いている。

 訪日外国人観光客数については、幅広い価格帯で消費額が拡大。国内需要は、「時短ケア」に対する根強いニーズがみられる一方、美容意識の高まりから、複数品目を使用したケアやメイクに対する需要も回復している。

 具体的に、インバウンドは制度品系の高級ブランドを中心に需要を取り込んでいる。インスタグラムなど、ソーシャル・ネットワーク・システム(SNS)による情報の拡散で、若年層を中心に「SNS映え」するオートクチュール系のメイクアップアイテムの需要が高まっている。

 中価格帯では、サンスクリーンやリップクリームなどボディケアを中心にインバウンド需要を取り込んでいるほか、制度品のマス向けカウンセリングブランドは「シワ改善」などの医薬部外品や、トレンドに合わせた商品投入を行うメイクアップ商品が好調だった。

 また、敏感肌ブランドが機能性を強化することで敏感肌層以外の幅広い需要を取り込んでいる。低価格帯においては、シートマスクや洗顔料などのスキンケアアイテムを中心に取り込み、メイクアップでは「ティント」など、新規コンセプト・剤型を取り入れた商品の需要が増加。活況が続いているという。

2020年には3兆円市場に

 時短ケアについては、前年比7.8%増の1,284億円。ここ数年の時短志向や節約意識の高いユーザーの需要を意識した商品アイテムは拡大しており、スキンケアでは化粧水など、ベースメイクでは化粧下地などを使用しながら時短ケア商品を併用するユーザーが増加しているという。

 17年については、スキンケアの最後に使用し、寝ている間に高い美容効果が得られることを訴求した「スリーピングパック」が広く浸透、オールインワンでもパック効果を付加したアイテムを投入する傾向がみられたほか、BB・CCでは新規剤型のクッションタイプの投入が活発になり、需要喚起が進んだとしている。

 同社では今後も化粧品市場は堅調に拡大するとみており、18年は17年と同程度の伸長で4.0%増の2兆7,858億円の見通し、20年には3兆円超え(3兆72億円)を予測している。

【小山 仁】

関連記事