2024年04月28日( 日 )

スポーツ庁に文書不存在!「もぐり」だった日本相撲協会の危機管理委員会

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重大法令定款違反の発覚

スポーツ庁の行政文書不開示決定通知書

 (公財)日本相撲協会の監督官庁である文部科学省の下部機構であるスポーツ庁は筆者の行政文書開示請求に対し、2018年11月20日付で「未取得・不存在」を理由に開示請求を棄却決定した(添付資料参照)。筆者が請求したのは、日本相撲協会の危機管理委員会に関する目的・権限などを規定した最新の規則一式である。

 危機管理委員会は、同協会定款第55条に基づき設置された各種委員会の1つ。当然ながら、定款に掲げられた同協会の目的(第3条)や事業遂行(第4条)に資するものでなければならず、その目的および権限も定款の範囲内にある。

 また、同協会が各種委員会を設ける場合、その規則は定款に基づくものであり、法的には定款の一部として、定款変更と同様の手続で、最終的に監督官庁の許認可を得なければならない。

 従って、監督官庁のスポーツ庁が危機管理委員会の設置に関する理事会の手続記録を含め、危機管理委員会の施行規則を保有しないということは極めて重大な法令定款違反であることを意味している。

 つまり、日本相撲協会の危機管理委員会は「もぐりの委員会」なのだ。

 日馬富士暴行事件に関し、この「もぐりの委員会」は、会員力士の刑事犯罪事件の捜査を行い、貴乃花理事の業務遂行責任のみを追及し、貴乃花理事の解任手続で主要な役割を演じた。本来、これらの行為はすべて明確な権限規定によらなければならない。

 そもそも理事解任手続は理事会の専権事項であり、理事会が下部組織である各種委員会に委任すること自体が重大な法令違反である。理事各自が、自ら直接解任理事(貴乃花)の解任事由を確認せず、かつ解任理事(貴乃花)の弁解に対して、適切な理由を本人および世間に公表しなかったことは、明白な法令定款違反の解任手続である。

後続する法令定款違反の業務執行

 本年度の中頃に制定されたとされる親方の全員一門所属義務規則は定款第4条の2号および9号に基づく定款第46条に規定する人材育成業務委託契約に関する規則であるから、法的性質は単に定款第3条および第4条の範囲内で認められる理事会の業務執行権の自由裁量の範囲ではない。

 規則である限り、定款の下部規定として法的拘束力を有し、その後の理事会の業務執行をも拘束する。従って、不都合だから、勝手に理事会の決議で廃止変更することができるものではない。これらも「緊急性の度合い」があることによってのみ、事後的報告と事後的監督官庁の事後承認が認められる。当然、緊急性の度合いについては監事の緊急性に関する確認報告書が添付される必要がある。これらはすべて、今年度の事業報告として来年度の早い時期に監督官庁に提出されなければならない。国民、そしてその耳目を自認する報道機関は、まさにこの事実に注目しなければならない。協会一丸となっての虚偽報告を行う可能性が極めて高いからだ。

【青沼 隆郎】

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