わらび座ミュージカル「ジパング青春記」特設ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年11月27日 15:01

内田は無罪か?日大アメフト事件に見る「日本の法律は世界の非常識」(3)

青沼隆郎の法律講座 第19回

内田無罪論の骨子

 警視庁は内田監督が宮川選手に違法タックルを指示した事実は確認できなかったとした。その無罪論の根拠となった事実の1つは、すでに公表された有罪論の決め手となった違法タックルの直後の内田監督と井上コーチの会話「宮川がやりましたね」「おお」という会話を近隣にいて聞いたとするチームメイトの証言の撤回と、違法タックルの直後のビデオ映像からは内田監督が宮川選手の違法タックルを見ていないと判断されることと、井上コーチは内田監督から離れた場所でほかのコーチと会話をしている映像から、2人の間には有罪認定とされた会話事実そのものがないとされた。

 「法律的」真実論の致命的背理は結論を支える事実が恣意的かつ選択的であることである。結論に不都合な事実の一切が無視されるか強引に否定される。場合によっては都合よく証拠が捏造される。

(1)内田指示の存否の判断
 最も決定的証拠は宮川選手自身による自白である。この自白が虚偽ないし誤解によるものとの証明が尽くされない限り、内田指示の存在は否定できない。

 ただし、宮川選手の自白によれば、自身が直接、内田監督から違法タックルの指示を受けたという事実は存在せず、内田監督の指示は井上コーチを介して伝達されている。従って、内田指示の否定は井上コーチによる指示伝達行為の不存在を証明することになる。

 警視庁の内田無罪論では、この決定的事実関係に関する捜査報告がまったく存在しない。井上コーチは宮川自白の直後に直ちに記者会見を開いて内田指示の不存在、宮川選手への指示伝達を否定しているが、警視庁は一体何をもって井上コーチの証言が真実であると判断したのかがまったく示されていない。

 宮川選手の自白は具体的な事実によって構成されており、井上コーチはその具体的事実の1つ1つが虚偽であることを立証しなければ、自白の証明力を否定したことにはならない。

 井上コーチの証言は単なる全否定であり、自白の信用性・証明力を否定したものではない。具体的な事実によって構成された宮川自白と単なる全否定の井上コーチ証言とのどちらが真実であるかの論理的判断の問題である。

(2)重大な証拠法の誤用・濫用
 刑事被告人の自白には補強証拠が必要である(憲法第38条第3項)。これは刑事被告人の自白が拷問や利益誘導などの真意に基づくものでないものが多数存在した過去の歴史的経験則を憲法で明文化したものである。従って、そのような可能性のない民事裁判では証人の証言についてさらに「客観的」「物証」を求めることはない。

 ところが、警視庁の無罪論では宮川自白には補強証拠がないため信用できないと、とんでもない暴論を展開した。宮川自白にはもともと客観的補強証拠など存在しない。宮川選手と井上コーチとの間で内密に交わされた会話だからである。このような客観的状況を無視して、補強証拠の不存在を理由に宮川自白の信用性を否定することは論理的に背理である以上に明らかに先に宮川自白の存在を否定する意図のもとに、詭弁論を展開したもので、悪質な証拠法理の悪用・濫用である。

 警視庁の無罪論には、さらに重大な犯罪的証拠法論理の濫用がある。それが、悪質タックルの後に井上コーチと内田監督による「自認会話」の存在を証言したチームメイトの証言の撤回である。極めて重大な犯罪的結果であるため、一度だけ報道されたが、二度と報道されていない。国民には何時でもその被害に会う可能性があるという意味で、しっかりその違法性・犯罪性を理解していただきたい。

(つづく)

<プロフィール>
青沼 隆郎(あおぬま・たかお)

福岡県大牟田市出身。東京大学法学士。長年、医療機関で法務責任者を務め、数多くの医療訴訟を経験。医療関連の法務業務を受託する小六研究所の代表を務める。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年12月06日 07:00

「様子見多く、高止まり」も 宗像が上がったことで下落局面へ(前)NEW!

 不動産価格は、高止まりの状態にあります。それが明らかな下げに転じる時期は正確にはわかりませんが、オリンピック終了や首相交代によって、その時期が訪れる可能性は高いでし...

2019年12月06日 07:00

芸術・文化のまち復権へ 副都心・池袋の再開発(前)NEW!

 2014年5月、豊島区は東京23区で唯一「消滅可能性都市」であると指摘されたことで、衝撃が走った。「池袋にあれほどの賑わいがあるのに、そんな馬鹿な話はない」という声...

2019年12月05日 18:10

【横田一のSAKURA〈桜〉front row】前田晋太郎・下関市長~取材メモ(12月2日、4日)

 ――市長、どういう枠で行かれたのか、前回答えられなかったのですが、「桜を見る会」。 前田市長=どちらさまですか。 ――(名刺を差し出した後)どういう立場で参加な...

美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─(14)

 ライオンズクラブ(以下LC)337-A地区からの朝倉市立松末小学校体育館床改修工事の寄贈をめぐって、これまでNet IB Newsで13回連載してきた。大きな疑問点...

2019年12月05日 16:10

香港が中国経済にとって重要である理由

 香港の反政府デモに対し、中国政府がいずれ力ずくで抑えつけるのではないかと懸念される。しかし、一国二制度の下で中国大陸とは異なる法制度が適用される香港は、中国のほかの...

2019年12月05日 15:54

福岡市が入札 石城町や鳥飼などの市有地売却へ

 福岡市博多区石城町の474坪、城南区鳥飼7丁目の467坪など4カ所の市有地が入札により売却される。いずれも建物は解体されており、更地となっている。

2019年12月05日 15:54

【交通取締情報】12月6日、柳川市で実施

 福岡県警は12月6日(金)柳川市で可搬式オービスによる交通取り締まりを実施する。

2019年12月05日 14:19

(株)AIコーポレーション(旧・T.F.K)(東京)/生保・損保代理店業ほか

 AIコーポレーションは12月5日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

2019年12月05日 14:12

香港区議会議員選挙を中国はどう見ているか

  中国政府系メディアは香港区議選の詳細には触れず、その政治環境が異常であったと強調。中国政府は香港に関して表立った対応を見せていないが、過去には行政長官選挙への民主...

2019年12月05日 13:38

九州新幹線西九州ルート線路設備、熊谷組が12.3億で落札

 九州新幹線建設局発注の「九州新幹線(西九州)、17k・44k2間線路諸設備他」工事を、(株)熊谷組が12億3,500万円で落札した。

pagetop